複雑な気持ちです。あの憎たらしいだけのフレデリック。
最初から彼は家と言うものにがんじがらめになっていた。
だからこそ、ここまでヤンを苛めてやりたかったんじゃ無いだろうかと思えました。
彼もまた宿命に翻弄される哀れな人間の一人だった。
人は善悪のみに生きるに有らず。そんな言葉が思い浮かびました。
そして怪我をした兎の宿命が、ジュールに重なる場面はとても切なかったです。
作者からの返信
mono黒さん、コメントありがとうございます。
このシーンでそこまで読み取って頂き嬉しい限りです!
単純な悪役って本当にいるのかなと思います。フレデリックにも人知れず悩めるところがあって、自分を犠牲にして生きなきゃいけない、その鬱屈したものが何かのかたちで表れるのではないかと。
分かりやすい罰が与えられるよりも、こういう人生を死ぬまで送り続ける方がきついのではないかと思いました。
ウサギの話はシビアですがこれが現実だろうと思います。どうしてもジュールに重なってしまいますね。
ここにきてフレデリックにも逃れられない背負わされた宿命のようなものを感じ、フレデリックの複雑な胸中に思いが及びました。
憎らしいとずっと思っていたフレデリックだったけど、何か哀れなものを感じてしまいました。
>「それに、こいつは野生のウサギです。飼いならすことはできません。結局森に帰すほかないんですよ。残酷ですがね、そうするしかないんです」
フェルナンの言葉が心に刺さります。
傷ついたうさぎを見てジュールを思い出したヤン。
うさぎとジュールを重ね合わせているのでしょうか。
作者からの返信
サクリフィス(犠牲)という題はフレデリックのことも含んでいます。彼も逃れられないものばかりで本当はがんじがらめなんですよね。自分にも周りにも嘘をついたまま人生を終えていく者の哀れさを読み取って下さってとても嬉しいです。
フェルナンとの場面は野うさぎをジュールのメタファーとして使いました。うさぎの運命とジュールを重ね合わせ、ヤンはふと心配になったようです。