柊圭介様
ジュールがようやく泣けましたね。泣けて良かったです。
それでも、不安や恐怖が拭い去れるわけではないけれど、少なくとも辛うじてこの世に繋がったような、そんな気がしました。
「嫌いにならないで欲しい」このセリフが強烈でした。
嫌われるような、汚れた存在になってしまったと、ジュール自身が一番悲しんでいて、それでも救われたいと必死に願って、震えながら手を伸ばしているような気がしました。それに答えるヤンが温かい。そして、ヤン自身も悲しい経験があるからこそわかる気持ちなのだろうなと思いました。
作者からの返信
☆涼月☆さん、
たくさん読み進めてくださり、ありがとうございます。そしてこのシーンにお言葉を頂き嬉しいです。
「嫌いにならないでほしい」というセリフを拾ってくださってありがとうございます。自分の話をすることで、せっかく出来始めた信頼関係が壊れる可能性もあったので、話したいという気持ちと同時に、話すのが非常に怖かったとも思います。震えながら手を伸ばすという表現がまさにそうだなと思いました。ヤンのあたたかさは予想もしていなかったんでしょうね。堰が切れたように涙が出るのはこういう時ではないでしょうか。
あらためてアプリヴォワゼという言葉が沁みますね。
ずっと心に押し留めていた辛い過去。できれば人に知られたくなかっただろう傷跡。
『遠ざけられる可能性』と『受け入れてもらえる可能性』
話すことを躊躇っているときほど、前者の可能性を大きく、そして恐ろしく感じてしまいそうです。
ダムに溜まった水も時に放水する必要がありますよね。無限に押し留めることなんてできないですから。ジュールの中のヤンの存在が、より一層大きくなったのを感じます。
作者からの返信
蒼翠さん、
ジュールの心に寄り添うような優しいコメント、ありがとうございます。
心が近づくことをあえて飼いならすという言葉で言ってみたかったです。
隠したままにしてもいいようなことを共有するって、恐ろしさの方が勝ちますよね。でも溜めた気持ちはいつか決壊するもので。ヤンのおかげでつかえが取れて、やっと声を出して泣けました。
この夜でヤンの存在がひと回り大きくなったのは間違いないですね。
アップライトピアノの旋律の聴こえる前の『アプリヴォワゼ①』、「嫌いにならないで欲しい」と願うジュールの姿が、やはり子鹿のようです。落とす術は無いでしょうが、こびりつく脂を落としてあげたい気持ちになります。
気まずさをやわらげるためのピアノの音でしたよね。此処でレッスンに持っていく展開、とても好きです。
「いっそのこと少女漫画のように分かりやすい世界でカリカチュアして思う存分」……そうだったのですね❤ 初読の日から妙に眠っていたはずの少女性をくすぐる小説だと思っておりました。おかげさまで少女が目覚めて大変(?)です。
あまり詳しくありませんが、19世紀という時代に生まれた芸術は良いですね。モーパッサン先生も19世紀を代表する作家ですね。この時代にはヒエラルキーが20世紀よりも濃く敷かれていたようで、成程、ジュールを動かしやすい舞台であったと言えるでしょうか。
レビューの発表は作品発表より緊張しますよね💦 貰って迷惑な人は居ないと思っても、サクサクとはいきません。(๑′ฅฅ‵๑)キャ、柊さんとそわ香さんのコメントが見えて、感動しました(涙)。足りないピースを補ってくださるような不思議な雰囲気の御方で、安心感があるのです。巡り逢わせって不思議ですね。本当に有難いものです。
作者からの返信
「嫌いにならないで欲しい」というセリフを拾い上げて下さり嬉しいです。これは自分の中では大事なひと言で。
ヤンに過去の話ができたのは大変な進歩だとは思いますが、それを相手がどう受け止めるかは別ですからね。この話のせいでヤンに汚いと思われたのではないか、自分で自分に感じている感覚をヤンも感じて嫌悪するのではないか、ジュールは不安になったのだと思います。信頼や好意を寄せる相手だけになおさらですね。
ピアノのくだりは自分でもちょっと気に入っています。現代風に言うと音楽療法になるんでしょうか。本人は自覚してないと思いますが ^^
設定を現実から離すことで書きやすくなるってありますよね、多分。ひいなさんの少女性をさらに目覚めさせてしまったなら光栄です! 19世紀の芸術は現代の人にも近い感覚があって受け入れられやすいのかなと思います。モーパッサンの話も普遍的ですもんね。
コメントご覧になりましたか ^^「足りないピースを補ってくださるような不思議な雰囲気の御方で、安心感がある」ってすごく分かります。ここではどんな方と出会えるか分かりませんね。素敵な出会いは本当に有難いです。m(__)m
私もリピートに来てしまいました。順不同に読ませていただき失礼します。
apprivoiser って味のある言葉ですよね。私の持っている学習CDに出てきます。星の王子様がきつねと友達になる時にきつねが教えてくれる言葉です。でも他では聞いたことなかったのですが・・・星の王子様も読んだことなかったりです・・・^^
作者からの返信
神原様、
号泣…。また来ていただけるなんて…。どうかお気遣いなきよう、お願いしますね。でも、とてもとても嬉しいです…!
そうです、アプリヴォワゼ、星の王子様のきつねの言葉ですね。僕も好きなのです。だからどうしてもフランス語のまま使いたかったです。一般的には動物に対して使う言葉ですよね。味があるのを分かって下さって嬉しい。
それから、すでに沢山の星を頂戴し、感謝しています。
胸がいっぱいです。ありがとうございます…!
編集済
タイトルに「アプリヴォワゼ」が見えたので、途中からここまで飛んできてしまいました。「アプリヴォワゼ」って、星の王子様のきつねの登場する場面で何度も出てきますよね。日本語訳では「手なづける」、英語では「 tame」ですが、いまひとつ意味がわからないので、どういうことなのかしらずうっと思ってきましたので。
「心が通じる」という意味なのかしらと思っていますが、ここではどんなふうに使われているのでしょうか。
では、もとのところに行って続きを読み、またあとで戻ってきます。
作者からの返信
九月さん、コメントをありがとうございます。
この言葉をご存じだったんですね!そうです、星の王子様のきつねのシーンの言葉です。フランス語だと、野生の動物を飼いならすとか手なずける、という意味ですが、もう一つ打ち解けるとか心を許すとか、そういう意味にも使います。この章のタイトルは後者のニュアンスで使っています。「心が通じる」というのに似た感じですね。
読み進めて頂きとても嬉しいです。ありがとうございます。