信頼していた大人から受ける暴力は、肉体的にも精神的にも『苦痛』なんて一言では片付けられないものを与えるのだと思います。特に、身寄りのない子供にとっては、ただ生きるという事自体がこんな風に、とてつもなく危うい綱渡りのようになってしまうんですね……。
その時感じた香りや色や味は、辛い記憶と共に織り込まれてフラッシュバックしそうです。まさにジュールみたいに。逃げ道を塞がれる怖さ、誤解されるもどかしさも相まって、心を握られたような心地です。
作者からの返信
蒼翠さん、コメントありがとうございます。
そうですね、全幅の信頼を寄せていた相手だからこそ、手のひらを返されたような、裏切られた感覚が余計に傷つけますね。ひとの表と裏をこんな風に知ってしまうのは、この歳では特にむごいことで。自分が守られていたことを痛烈に自覚するのはこんな時じゃないでしょうか。
スープとかおじさんの目とか、刻みつけられてしまったものは簡単には拭えないと思います。ディディエそのものの存在もこの後のジュールに影響してきますし。ジュールの痛みに共感してくださりありがとうございます。
おじさんのよそったスープ、何か妙な薬品が混入していたのではないかと思われます。苦いスープの味が広がります。これがディディエの味でした(>_<) 主人と使用人。そんな主従関係、イヤですね。強者が弱者を従えさせる怖さ。「一人になるということがどんなことなのか、僕にはやっと分かった気がした。もう、誰も守ってくれる人がいなくなるということだ」って、そのとおりで。父を亡くして一人だったジュール。ラスト二行が切ない(T_T)
前章の遺品のくだりは書き加えられたのですね。「持ち主はいないのに愛用品だけが主人の帰りを待っているように」見えましたよ。
柊さんの最新のレビュー、素晴らしかったです。簡単に「救われた」と言うのは如何かと思いますが、私は柊さんの文才に「救い」を感じた一人です! ジュールという少年もまた稀少価値の植物のようですね。壊されようと、泥をつけられようと、美しい✨✨
作者からの返信
ひいなさんおはようございます ^^
スープのくだりは匂わせる程度にとどめた方がいいかなと思って。今でもよくお酒に睡眠薬を…なんて話ありますよね。
このディディエとジュールの関係もそうですが、この作品を19世紀にしたのは、分かりやすいヒエラルキーで端的に描きたかったのもあります。現代でも精神的な部分では仰るような主従や強者弱者の立場が作られてしまいますが、このヒエラルキーは現代だと表面上は通用しづらいですし、生々しい社会小説になってしまって自分の書きたい趣旨とは違ってくるので。いっそのこと少女漫画のように分かりやすい世界でカリカチュアして思う存分書きたかったのです。だから19世紀のフランスに設定したんですよね…。
レビュー見てくださったんですね ^^
作家様の本意に合えばいいなと願ってますが…レビューは(特に初めて書く作者の方だと)緊張しますね。
ひいなさんのお言葉が温かく嬉しいです…! 心のこもったメッセージを本当にありがとうございます。m(__)m
大変なことに。
書くのもつらいシーンですね。
まぁ私も登場人物をいじめる方なので。
作者からの返信
関川さん、コメントありがとうございます。
信じていた人に裏切られるのは、特にこの年齢では、その後の人生に大きな影響を及ぼすと思います。膿を出すようなことを主人公に背負わせるのは仰るとおり書くのがつらいですが、読み手の方にとっても重たいんじゃないかと思います。読み進めてくださり本当に感謝です。