第4話 成就
「神さま、なりたいです」
「…そんなにすぐ決めなくても良い。口止めされているとは言え、人間的に言えば、徳もなにもない、酷い話だ…」
「でも少なくとも、最高神様とジアは私に優しくしてくれそうですよ?」
「…決めてしまったのか。…これ。神界に行く前に、契約書を書いてほしい」
すぐペンを取る私を見て、ジアは「ちょっと待って…」と言った。ただ心配しているような目を向けられて動揺するが、ジアはかまわず言う。
「神界に行ったら、最初は悪いことばかりだ…。他の神には邪険に扱われるし、最高神様に会った途端やっぱり辞退もできない。神界でも人間のようないざこざは起きる…。しかも人間より遥かに気まぐれで力が強いから、注意しないと殺される。だから誰と会うときもすぐに心を開いては…」
途中からは聞いていなかった。ペンを素早く走らせ、紙にサインしてしまう。それを見てジアが「え」と声を上げていたが、気にすることはない。
「ジアさん。私にこんなに親身になって心配してくれたのも、ジアさんが初めてです。ほんとに嬉しかったです。ジアさんが補佐してくれるなら、頑張れそうなんです」
「別に、心配とかでは…」
「あ…ジアさんは、その神が引退したら今度は私の下についてくれるんですか?」
「…紬がよき君主になるのなら。とにかく時間が押している。その契約書を僕に。最後に立会人の俺の名前を入れて…そうだ、よく見ておいたほうがいい…。契約書は完成したら、こうやって燃える…。ここからは神の領域だから、こんなファンタジーにも慣れろ。じゃあ、そろそろ行くが…心の準備は万端か?」
「もちろんです!」
かくして、紬は神になり、その願いを誰にも知られずに成就した。
そして、ここからは神の物語。次期死神となった紬が描く、ファンタジー。
死神と砂糖菓子な世界 Fuwarena @FuwaRena
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。死神と砂糖菓子な世界の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます