第3話 ジア

「あの、あなたって、その私がなれる神様の、側近とか…?」

「肯定。俺はその神の側近のような存在…神の名は人間には発音しずらく覚えにくいと聞く…僕のことはジアと呼べ」

「はい、ジア、さん。私はつむぎで…えと、紬って呼んでください」

「…紬」


「それで、なんでその神になれるんですか?普通は、元からいる神が継ぐんだと思います。つまり、なんで普通じゃ無くなったんですか?」

「…ちょうどいいから。紬がなれる神は特別だから、死神とその後継者には色々な制約がつく…が、それに当てはまる神がいない…。それで最近死んだ人間の中から神に昇格させて実在しないはずの神を作るとすると…その条件に最も合った人間が、紬だった」


「…私、徳とか高くないですよね?」

「あれは人間が定めた基準で、僕らにはその感覚はない…。神々にとっては、自ら周りの神に迷惑をかけるとか、誰かに利用されやすすぎるとか、そういう人間じゃ無ければ誰でもいい…」

そう神さまの使いが言ってるんじゃ、しょうがない。今まで人間が築き上げてきた徳とか功績とかはどうでもいいらしい。だってわけわかんないから。

…つまりはそっか、神さまになれば、あの両親のこともわけわからんって思えるんだ。自分の娘が死んだ瞬間を、一番両親が悔しがる瞬間にできるんだ。

なんだ…。ふうと息をつく。

私は、あの両親を見返したい。今そのためにできることは、神様になること。そう思うと、覚悟はすぐに固まった。こんな風になったらどうするだとか、未来を何通りも予想しては、絶対に負けないと言えるくらいには。

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