第4話・新たな旅へ
リリオネルの言う通り、2人の少年と青年は、ゼェゼェと息を切らせながら少々勇者を恨めしげに睨んでいる。この状況を見る限り、探されていたのは勇者のほうだった様だ。もしかすると、突然戦わなければならない状況に
「ユウシャとジュウシャはどこに向かっているのだ?やはり魔王を倒しに行くのか?魔界への行きかたはわかるのか?」
そんな事になっているとは
「えー…すみませんね、僕たちの
魔界にそんな本は滅多に無い、これはルシアノの完全な嘘なのだが、勇者と従者はそれを信じ、ラビタルとハヴァルはホッと胸を撫で下ろし、リリオネルは自分の好奇心が暴走してしまった事に気づいた。しかし、まだ言葉は続いた――
「ユウシャは、なんで魔王をやっつけたいのだ?魔王がとっても強くて、手も足もでないカノーセーを考えないのか?」
その意見に、勇者と従者は一瞬面食らって押し黙った。見目麗しい幼子が、自分たちが考えもしなかった事を突いてくるとは、思いもしなかったのだ。この人間界では、人間が
「……それが…俺の使命だから」
それしか、答えを絞り出せなかった。
リリオネルは、勇者と従者の雰囲気がどんよりとしている中で、全く雰囲気を読まずに再び口を開いた。
「魔界へはどうやって行くのか??」
それはそうだ、と、3重鎮も思った。今まで実際に、魔界までやって来た人間はいない。人間界への扉は、魔界だけにしかないのだ。重鎮たちが頭を悩ませていると、ふと思い当たる
「知らないなら正直に言え、俺達が住んでいる場所からそう遠くない。悪魔たちの住んでいる場所は知っている」
それを聞いた勇者と従者の曇っていた表情が、パッと明るくなった。彼等は、勇者と従者として選ばれてから、あまり時間が経っていない。分からないことだらけの中で、必死に情報を集めていたのだ。そこに、悪魔族の居場所を知っているという者達が現れて、居場所を教えてくれるという。もしかすると罠かも知れない、嘘かも知れないが、これまで大した功績も上げられずに少しずつ、何とか進んできた。彼等は、藁にもすがりたい状態だったのだ。
「頼む、俺たちを案内してくれ」
勇者と従者が揃って頭を下げると、ラビタルやハヴァル、ルシアノまで満足そうな表情を浮かべた。ちょうど良い機会だ、悪魔族と魔族の違いを披露しようと。魔王は、その流れに笑みを浮かべて見ていた。
「リリオネル様、こういう事になりましたが、宜しいですか?」
「よいっ!しかしこの町をもう少しみたい!あしたゆくぞ!」
「
「勿論!是非ともお願いしたい、宜しく頼むっ!」
「では、明日の昼前に、この場所で」
勇者と従者を見ながら、ルシアノが明日の予定を決めて一旦別れた。因みにリリオネルは、ラビタルの腕に腰掛けてブラブラと脚を振って、非常に楽しんでいる様子である。ここから、魔族一行と勇者一行が、共に悪魔族の王を退治する旅へと向かう事になったのだった。
純白の幼児、リリオネル。 江戸端 禧丞 @lojiurabbit
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