地獄に君臨する王とその妹の、ちょっとした騒動を描いた物語。
ほのぼの日常ものの異世界ファンタジー掌編です。キャラクター同士の掛け合いというか、彼らの生活のひとコマを覗くような感覚が魅力。
とはいえ、主な舞台はタイトル通り「地獄」で、その荒涼とした風景と、主人公ら兄妹ののんびりした様子とのギャップが楽しいお話です。
階層化された世界などの独特の設定と、ライトで親しみやすいキャラクターの造形が魅力的。
一見マイペースな風の主人公と、やたらと怒りん坊なその妹。彼らがどうして地獄に暮らすようになったかの過去に始まり、実は結構な実力者であることを匂わせる描写などもあったりして、ただ呑気に暮らしているだけではないところも見せてくれます。
殺伐とした世界にぽっかり咲いたかのような、呑気な日常が楽しい作品でした。