第六話 化狐

ふっと目を覚ますと、そこには蒼真と細身の女が居た。

「花音、大丈夫か。」

蒼真は少し心配そうに水を差し出す。


随分夢心地の悪い夢だった。今から十九年位前のあの忌々しい昔なんて見たくもなかった。思い出したくもなかった。

すると、俺と同じ位顔色が悪い女はニコリと微笑む。それが何処かで見た笑みで既視感があった。


彼女の腕を掴む。見た目通り華奢で冷たい腕。

「君、炎でしょ」

彼女は、引き攣った顔だった。

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神社の子 リンリン @rinberu

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