第9話ケーキより2
そんなこんなで、財布を忘れたアマエビは、ひたすら謝り続けていた。
「私がお詫びして支払おうと思っていたのに逆に払わせる事になって! ほっとうにごめんなさい! 」
とこれでもかとくらいに頭を机に付けていた。
奥の席に座っていると言ってもこんなに大声で話されたら流石に目立つ。
「いや、大丈夫だから。ほら、ここで払うのが男だと思うし」
とりあえずそんな風には言っておくが、アマエビはあまり納得していないみたいだ。
顔を見せないように俯いているが、どうみても落ち込んでいるのが分かる。
とりあえず
「じゃあ、俺チーズケーキパフェ頼みますね。アマエビさんはどうします? 」
アマエビの視線の先にメニューを置いた。
アマエビは置かれたメニューを手に取り、ちらちらとこっちを見ている。
遠慮しているんだろう。
このままだとずーっと悩んだままになりそうな感じがしたので、
「同じのでいいですか? 」
とアマエビが開いていたページが自分と同じページだった為、声をかけてみた。
「あ、はい。それでお願いします」
とメニューから顔を上げてこっちを見ていたが、どうやらそれで良かったらしい。
お互いの注文するものが決まったので、1つ前の席を拭いている女性の店員に声をかけた。
「すみませんー」
「はい。ご注文はお決まりでしょうか」
と席をちょっど終わったのか、こちらにむかって笑顔で聞いてきた。
「えーっと、このチーズケーキパフェを2つお願いします」
「ありがとうございます。ご注文を繰り返します」
「チーズケーキパフェが2つでよろしいでしょうか」
オーダーを聞きながら笑顔でこちらに確認をとってきた。
「はい。それで。」
「かしこまりました。少々お待ちください」
と言って店員は下がった。
店員は前のドーナツの形をした扉の中に入って行った。
本当に全部がおが菓子の形なんだなーとメルヘンな周りを見ていると
「あの子と中村君は不思議な関係だよね」
と不意にアマエビが声をかけてきた。
前を見るとまだ少し表情は暗かったガ、ある程度回復はしていた。
「ストーカーって言ってるけど、一緒にいるんでしょ? 」
「まだ2日しか一緒にいないし、今は、後輩ですよ」
「いや、ストーカーから後輩も意味分からないし、後ストーカーと1日も一緒にいるのは普通じゃないよ」
と今まで放置してきた異常な事をアマエビによって掘り返された。
どうやら、さっきまでいた周りの客は帰ったみたいで自分の周りにはアマエビしかいない状況が作られる。
「罪罪さんの事ちゃんと考えた方がいいじゃない?例えば罪罪さんに姉と妹がいるのは知ってる? 」
と手に持っていたメニューを元の
位置に戻しながら聞いてきた。
こっちをみる目は、朝の山崎ように相手を心配する目をしていた。
「いや、知らなかった。アマエビさんはなんでそんなに詳しいんですか」
「罪罪さん有名人だからね。周りの反応から分かるでしょ。それは」
と朝の時間で薄々気がついていたことを言われた
店の扉が開く音がした。チャランと扉につけられた鈴が音を鳴らした。
それが中村には何が始まる合図に聞こえた。
「でも、あいつはこの学校に入ってから来てないって言ってませんでしたか?」
「やっぱり知らない感じか。とりあえず、どんな今どんな感じか教えて貰える?」
と言われた。
今の状況を説明しろって事だろうか?
職員室では面倒になりそうだった為に罪罪の事は、表面的なことしか言っていなかった。
とりあえず相談相手が欲しかった中村は、罪罪との今までの事を話した。
長い間説明していたが、アマエビはずっと真剣に目をそらさずに聞いていた。
そして、
「ねぇ、罪罪さんの噂って知ってる?」
静かに言ってきた。
どうしよう。ストーキングされていた子を助けたらそいつのストーカーが自分に依存してきたんだが。 かな @aaa25
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