新人メイド
増田朋美
新人メイド
新人メイド
その日、須磨八重子は、病院に行って、いつも通りに薬を出してもらった。彼女にとって病院に行くというのは、薬をもらいに行くだけの儀式みたいなもので、治療してもらうという感覚はない。というか、この病気と診断されてから、もう自分を維持するだけのための、薬をもらい続けるというだけの事なのである。例えば脚気にかかっていて、不足しているビタミンを打ってもらうというか、そういうことではないのである。
「須磨さん。」
と、受付に言われて、八重子は、受付に行く。
「えーと今日の診察料ですね。800円です。」
八重子は、それを支払った。
「すみません。あたし、本当にまだ働いちゃいけませんか。」
思わずそういってしまう。
「だって、先生もそういっていたじゃありませんか。もうちょっと我慢してください。社会参加したい気持ちはわかりますけど、今のあなたは、症状が強く出ているから、働くのはもう少し待ってと、影浦先生が言ってました。」
と、形式的な答えを出す受付に、八重子は、またため息をついた。
「だって、私は病気じゃありません。だって、実際に、誰かがあたしの事狙っているって、ちゃんと言ったじゃありませんか。」
「そういうところが、須磨さんの症状なんです。もし、どうしても何かやりたいんだったら、家事を手伝うとか、そういうことにしてください。」
と、受付は、変な顔をして、八重子に早く出て行ってくれという顔をした。
「あーあ、結局、あたしは、社会参加も生きがいも何も見つけられないのかあ。」
と、八重子は、受付に返してもらった、保険証と診察券を財布にしまいながら、そういうことを言った。ほかの患者さんも、そういうことを言っている人は多いが、大体の人は、20代とか30代で働けるようになったというのはまれである。大体の人は、何かトラブルを起こしてやめてしまう。それでさらに、自信を無くし、障害年金とか、生活保護に頼ろうという気持ちになってしまうのである。
「あたしだって、社会に出て働きたいのに。」
と、八重子はつぶやくが、ほかの患者たちは、いやそうな顔をしていた。きっと、八重子が、両親も健在で、しっかり家で見てもらっていることに、嫉妬しているのに違いない。八重子は、そう思っていた。実際には、そう思っているのではないかもしれないけれど、そう思っていた。まさか一人一人に聞き出して、自分のことをそう思っているか、確認するということはできないから、とりあえず何も言わないでいる。しかし、そんなことを言っている、ねちっこく自分の悩みを話す人よりも、自分は社会参加して、生きがいを持つという人生を選びたかった。
そういうことは、捨てなければいけないという精神障碍者は多いが、八重子はそれでも、まだ普通の人に近づいていたいという思いがあった。それは彼女の家族の姿勢でもある。八重子を完全に社会から切り離してしまうのではなく、何か仕事をしていた方が、生きがいが持てるという考えは、彼女の両親にもあった。特に働くのを強制するわけではないが、何か生きがいになることは持っていた方がいい、という考え方であったのだ。だから、そういう寛大な心を持ってくれている両親に対しても、彼女は働きたいという思いがあった。
八重子は薬局で薬をもらい、駅前のコンビニで求人雑誌を買うと、家に帰ってそれを読んでみた。いくつかできそうな仕事はあったけれども、彼女には車の運転免許というものがなかった。会社に入るには、それが、切り札になっているらしい。接客業という業種は、八重子の両親が反対しているのでできそうもない。何かつくる、いわゆる製造業も、普通自動車免許というものがなければできない。できそうな仕事と言えば、農業とか、あるいは、病院の受付に言われた通り、家事をするしか方法が無いようである。農業は、天候が相手なので、ちょっと苦手だなという意識があるので、家事仕事しか、八重子のできそうな仕事はなさそうだ。それ以外、彼女は、何もできそうな仕事はなかった。
求人雑誌を隅々まで読んで、今日は、空振りかなと思ったとき、その雑誌の最終ページに、こんな募集記事があった。
「家事手伝い人募集。年齢学歴不問、家事スキルある方を中心に募集します。」
と、書いてあるのである。なるほど。家事を、代行する業者なのだろうか。いわゆる、家政婦というか、メイドさんを募集しているのだろうか。思いきって、そこに電話をかけてみることにした。家政婦というと、中高年のおばさんばかりの職場かなと思われるけど、とりあえずやってみなければわからないと思った。そこに書いてあった、携帯電話の番号に電話すると、応対してくれた人は、八重垣さんと名乗り、いつから働けますか?と、言うのであった。八重子が、明日からでも、と答えると、じゃあ、明日来てくださいと、話がトントン拍子に進んだ。待ち合わせ場所は、家から歩いて20分くらいのところにある喫茶店。八重子は、そのくらいの距離なら、歩いて行けると思った。
翌日。八重子は久しぶりに早起きをして、言われた通りの喫茶店に行った。八重垣さんという人は、一番ドアに近い席に座っているという。八重子が周りを見渡すと、
「須磨八重子さん?」
と、薄紫の色無地に身を包んだ女性が、彼女にそう声をかけてきたので、この人だとわかる。
「私、昨日電話に応じた、八重垣麻弥子です。」
「あ、ああ、ありがとうございます。」
と、八重子は、八重垣さんの前に座った。
「須磨八重子さんね。じゃあ、昨日のお電話の通り、お仕事についてお話ししましょうか。どの家事仕事を希望されるか、お話も聞きたいから。」
八重垣さんは、そういって、一枚の紙を出し、メイドさんの役職を話し始めた。メイドさんというと、家じゅうの家事を一人でこなさなければいけないかと思われるが、八重垣さんの話によると、いくつか分担して行っていたらしい。夫人の世話をするレディースメイドや、台所仕事をするキッチンメイド、部屋の整備を担当するチェインバーメイドなど、いろんな種類のメイドがいて、それぞれ分担して仕事をさせることになっているそうなのだ。八重垣さんのところから派遣されるメイドさんたちは、みんな知的障害などがあることが多く、家の家事全般を一人でこなす、メイドオブオールワークという形態ができる人は、いないようなのだ。
「それで、あなたは、どの部署を希望されますか?初めてメイドさんをやってみるとなると、キッチンメイドとか、ランドリーメイドとかそういう仕事を希望されることが多いですけど?」
「そうですねえ、、、。」
と、八重子は迷ってしまう。家事使用人でも、こんなにたくさんの種類があったとは、全然知らなかった。確かに知的障害などがある人には、家事全般をこなすのは難しいので、専門職的なメイドというやり方をしてもいいと思われる。八重子は、キッチンメイドのような、いわゆる「下働き」的なことはしたくなかった。彼女は、人嫌いではなかったし、できるなら、誰かと会話できるような仕事のほうがいいなと思ったので、ナースメイドとして働きたいといった。ナースメイドというと、小さな子供の相手をするという、看護師ではなくて、いまでいうところの、保育士とメイドが合体したようなものである。
「了解ですよ。じゃあ、ナースメイドを希望しているお宅を探してみますから、二、三日したら、連絡しますね。」
と、八重垣さんはにこやかに笑って、新しいナースメイドを歓迎してくれた。特に、障害があることなどは、八重子は八重垣さんに伝えなかったが、八重垣さんはそんなものは気にならなかったようである。
二日後、八重子のもとに連絡がやってきた。彼女の派遣先、つまり仕事をする家庭が決まったのだ。絵師の田沼ジャックさんの家である。主人のジャックさんと一人息子の武史君の二人暮らし。昼間はジャックさんが、カルチャースクールの講師などをしているので、武史君が一人ぼっちになってしまうところから、相手をしてくれる女性を探していたという。
そしてその日、八重子は、雇用契約を結ぶため、また先日訪れた、喫茶店に行った。今度は仲介者の八重垣さんだけではなく、彼女を雇ってくれることになっている、絵師の田沼ジャックさんが一緒にいた。イギリスの出身だが、日本画を学ぶために来日し、日本画の画家として活動しているという。西洋の油絵と違って、日本画は、繊細で女性を描くには最適なのだという。そういうわけで、自分のことを画家ではなく絵師と名乗っていると言った。こんな素敵な絵を描く人のところで雇ってもらえるなんて、あたしはなんて幸せなんだろう、と、八重子は思った。そして、契約を取り交わし、八重子は、晴れて、田沼家のナースメイドとして雇われることになったのである。
八重子は、ジャックさんの車で、田沼家に向かった。小さな家ではあるけれど、画家のひとの家らしく、家の中にかわいいものがたくさんあるな、というような気がした。
八重子は、こちらからお入りくださいと言われて、玄関から中に入らせてもらった。
「ただいまあ。」
と、ジャックさんが言うと、小さな子供の足音がドドドっと聞こえてきて、武史君が、そこに現れたのだが、八重子を見ると、ちょっと、恥ずかしいのか、すぐに部屋戻ろうとしてしまった。
「武史、今日からうちでお手伝いをしてくれることになった、須磨八重子さん。ちゃんとご挨拶して。」
とジャックさんが言うと、
「こんにちは。」
と小さい声で言う武史君。
「えらいね、ちゃんと挨拶ができるんだ。」
と八重子は言ってみたが、武史君は、すぐに縁側へ戻ってしまった。ジャックさんは、すみません、人見知りする子で、と申し訳なさそうに言っている。
「いいえ、大丈夫です。あたしは、武史君の世話人として雇われたんですから、ちゃんとやります。」
と八重子は、お邪魔しますと言って、家の中に入った。武史君はすぐに見つかった。さすがに絵師の父親を持っている以上、絵が好きなんだろうか、夢中になって絵を描いている。
「武史君、何を描いているの?」
と、八重子は武史君の持っていたスケッチブックを覗き込んでキャーッといった。確かに、描いているのは、絵なのだが、誰か評論家が見れば、岡本太郎のような絵、と言えばいいだろう。何を書いているかわからない、気持ち悪い絵である。ジャックさんが見せてくれた、美女を描いた絵とは、全然違っている。
「あ、ああ、すみません。こんな気持ちの悪い絵を描いて、びっくりしますよね。僕もやめさせようと思うんですけれども、全然やめないんですよね。」
と、ジャックさんが申し訳なさそうに言った。
「だって、僕が見える花というのは、こういうものだもの。」
という武史君であるが、そこにかかれているのは、花というより、進化したウツボカズラという感じの花であった。
「じゃあ、僕は、カルチャースクールで講演がありますので、すみませんが、武史をよろしくお願いします。」
と、ジャックさんは、絵を描く道具を車に乗せて、家を出て行ってしまった。まったく外国人というと、余計なことを言わないという利点もあるが、気づかいなどを全くしないで出て行ってしまうということもあるんだなと八重子は思った。せめてもうちょっと武史君のことを、説明してくれてもいいものだが、必要がない限り、ジャックさんは、何も言わないで言ってしまうのである。
とりあえず、八重子は、武史君と二人になった
「武史君、おばさんの名前は、須磨八重子です。これからよろしくね。」
とりあえず、絵の方へ視線をもっていかないように気を付けながら、八重子は自己紹介したつもりであったが、
「おばさんはおばさんでいいよ。僕、人の名前を覚えるの、苦手だからさ。」
と武史君は、中年のおじさんみたいにそういうことを言った。
「じゃあそうすることにしましょうね。」
と、八重子は言ったけれど、武史君の書いている絵が、本当に気になった。そんなに気持ちが悪い絵を描いて、気分が悪くならないのだろうか?それほど八重子には気持ちの悪い絵だったのである。こんな気もち悪い絵を書くのはちょっとおかしいのではないか、と八重子は思った。何か矯正してあげた方がいいのでは?そう思った八重子は、こういうことを言ってみる。
「ねえ、武史君。今日はお天気がいいから、お外に行って遊んでこよう。」
本当は、小さな男の子なら外へ出かけて、野球でもしてくるのが、正常なのである。
「武史君は、野球とか、サッカーはしないの?」
「うん、僕、あんまり興味ない。野球もサッカーも、ルールがわからないし、それにみんなと一緒に、野球をしてもつまらない。それよりも、音楽したり、絵を描いた方がよっぽど楽しいよ。」
と、武史君は、そういうことを言った。それを見て、八重子は、なんだか武史君は異常者なのかと思ってしまう。
「そうなんだ。じゃあさ、おばちゃんと、ちょっと公園を歩いてみようか。一人でそんな気持ち悪い絵をかいていても、つまらないでしょうに。それなら、おばちゃんと、一緒に公園を歩いてみようよ。」
八重子は一生懸命、武史君に絵の具を置かせるように促した。武史君はそんな八重子をいやそうな顔で見ていたが、まあ、しょうがないじゃないの、というような顔で、スケッチブックを置いた。
「ようし武史君、絵の具を片付けて、公園に行こう。」
「はい。」
武史君はそういって、しぶしぶ絵の具の入ったパレットをあらった。そういうことは、普通の子はなかなかやりたがらないが、武史君はそうではなかった。ちゃんと、パレットを几帳面に洗っている。武史君が、パレットを片付けたのを確認して、八重子は、武史君を、外へ連れて行った。
二人は、手をつないで、家を出た。そして公園に向かった。本当は歌でも歌いながら、公園に向かって、歩いていくのであるが、武史君はそうではない。急に立ち止まって、あの家はだれだれが住んでいて、隣の家にはだれだれが住んでいる、など、とても六歳の子供には思えない説明をするのである。だから、小さな子供というより、話の内容を聞いていると、大人が世間話をしながら歩いているのにそっくりであった。
「じゃあ、公園に行くのに、お菓子屋さんに行こうか。お菓子を買って、ベンチかなんかの上で食べようね。」
と、八重子が言うと、
「そういうことなら、公園にある喫茶店で食べた方がいいよ。ベンチは、昨日雨が降って、濡れているかもしれないから。」
という武史君は、小さな子供のする会話とは、とても思えなかった。
「じゃあ、そこで食べようか。それでは、その喫茶店に行こう。」
と、八重子が言うと、武史君は、カフェに向かってどんどん歩いていく。ほら、誰かが来たら危ないでしょ、おばちゃんと手をつないでいて、と八重子が注意していなければ、ぱっと飛び出して行ってしまいそうだ。
「ここだよ、ここのマスターが、すごくおいしいケーキ作ってくれるの。」
と、武史君は、小さな建物の中に入ってしまった。八重子も、急いで中に入る。
「いらっしゃいませ。」
と、髭を生やしたマスターが、にこやかに笑って、二人を出迎えてくれた。
「こんにちは、マスター。あの、どこに座ったらいい?」
という武史君に、マスターは、
「ああ、好きなところに座ってね。」
とにこやかに笑って言った。カフェにはほかの客もいたが、みんな、パソコンを持ち込んで仕事をしていたり、何かノートに書いて、勉強したりしているものもいる。
「はい。それでは、注文が決まったら、呼んでね。」
とマスターがそういって、二人の前にメニューを置いた。武史君に、八重子がどれにすると聞くと、武史君は困った顔をする。
「どうしたの?」
と聞くと、
「あのね、僕、何て書いてあるかよくわからないんだよね。」
と、武史君は、そういうことを言った。こんなに流ちょうに話せるのに、なぜ文字は、読めないのだろうか。
「おばちゃん読んで。」
そういう武史君に、八重子は、声に出して、メニューを読んであげた。まったくなんで私がこんなことを、と思いながら、読んであげる。
「じゃあ僕、イチゴショートケーキ!」
と声高らかに言う武史君は、そういうところが子供っぽくて、ちょっとほっとしたのであった。でも、
「おばちゃん、僕、青いお皿じゃないと気持ち悪くなるから、マスターに、青いお皿でイチゴショート出してもらうように言ってね。」
というのでさらにびっくりする。そんなこと、指定できるもんじゃないわよと思うが、武史君はそういうことは当たり前のような顔をしてそういう事を言っているので、驚くというか、なんというか変な気持になった。
「飲み物は、紅茶でいいよ。僕、砂糖もミルクも入れないのが一番好き。紅茶には、青いカップは合わないで、赤いカップでお願いしてね。」
とさらに続けていう武史君に、八重子はまたさらにびっくりしてしまうのであった。なんで、そんなことまで指定するのと思った彼女であるが、マスターが、ご注文決まりましたか?と言いながらやってくる。
「あの、イチゴショートケーキ、、、。」
と八重子が言うと、武史君はすぐに、
「青いお皿で、赤いカップね。」
と言った。そんなこと、指定できるのだろうかと思ったが、マスターが、
「はいはい。そうだったね。確か、紅茶の色と、青いカップはおかしいと言っていたことがあったね。」
と言った。武史君はそうだよと言っているが、八重子はちょっと認識が違うと思った。そういうのは、子供らしいと言えば子供らしいが、希望にそぐわないことを言われても、耐えていけることができるようにならなければと思った。
「いや、普通に柄物のカップで結構です。」
と、八重子は修正したが、
「なんで、青いカップは茶色に交じって気持ち悪くなるんだい!」
と言う武史君。じゃあ、ほかの飲み物にしてみようか、と八重子は言うが、武史君は、紅茶以外の飲み物はまずいからいやだと言った。八重子がココアはどう?と聞いても、あんなに甘いものは、飲めないと言って、彼女のいうことは聞かなかった。八重子が武史君ちょっと我慢しようと言うと、わーんと泣き出しそうになる始末。それではいけないわよと八重子が言うと、周りの人たちから、いやな目でにらまれるほど、武史君は声をあげて泣き出してしまった。
「ああ、わかったよ、武史君のこだわりは、ちゃんとわかっているから。だから泣くのはやめて、うちの紅茶をしっかり飲んでくれな。」
とマスターはそういっている。年寄りはそうやって、子供を甘やかしてしまうと思ったが、
「いいんだよ武史君、君は、そういうこだわりがある代わりに、素晴らしい絵が描けるんだからね。」
と、マスターはにこやかに言って、青いお皿と赤いカップと伝票にひらがなで書きこんで、それを置いていき、厨房に戻っていった。
「どういう事?」
八重子は、不思議でしょうがなかったが、隣のテーブルに座っていたお爺さんが、
「大変なお子さんをもって、非常に苦労されると思いますが。」
と八重子に話しかけてきた。さすがに、ナースメイドであるということは、口にできなかった。八重子が、ぼんやりしていると、お爺さんはさらに話を続ける。
「そういうこだわりのあるお子さんほど、大人になって素晴らしいものを作ることができるんです。岡本太郎だって、そうだったし、イチロー選手もこだわりが強かったそうですよ。だから、しばらくは彼の要求にしたがってあげましょう。」
「そうね、、、。」
と、八重子は今の話を、ジャックさんにしてあげたらいいなと思いながら、聞いていた。
「はい、武史君。赤いカップに、青いお皿ね。」
とマスターがイチゴショートケーキと、紅茶を入れたカップを持ってきた。そういうことをするのは障害というのかもしれないが、武史君はそういう子にあたるのかもしれないと、八重子は思った。
「まあ、これからも頑張って。」
お爺さんは、にこやかに戦うナースメイドの肩をたたいた。
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