繰り返す
増田朋美
繰り返す
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今日は、夏がやってきたというのに、なぜか、曇っていて涼しいなと思われる日だった。一学期というと、なかなかクラスになれないという子もいるだろうし、すぐになれてもう友達ができてしまう子もいるかもしれない。
植松直紀が勤めている高校は、基本的に一クラスしかなくて、学年の区別もなかった。なので、組替えで、生徒が不安定になるということは、あまりないというのが、自慢かもしれなかったが、、、。
今日も、植松が、頭をフリフリしながら、おはようございますと言って、職員室に入ってくると、職員室は、物々しい雰囲気になっている。
「あの、何かあったんでしょうか。も、もしかして生徒の誰かが今はやりの発疹熱なるものにかかったとか、そういうことですかね?」
と、植松は隣の席に座っていた、女性教師に聞いてみると、こういう答えが返ってきた。
「植松先生、知らないんですか。昨日、保護者の方から、学校へ電話がありました。ある女子生徒から、お金を取られたそうです。それが例の、あの、」
「鮫島徳子ですか?」
と、植松は思わず聞いた。
「ええ、そうですよ。あの子まだ懲りないんですね。さんざん悪事をしでかして、まだそういうことをやっているんだから。本当に、成績が優秀じゃなければ、退学にしてもいいと思うんですけど。」
ちょっと年配の男性教師が、そういうことを言った。
「確かに、退学ということは、普通高校には当てはまりますが、うちの学校はただでさえ、問題があって、それでうちの学校に来たという生徒ばっかりなんですから、むやみにそうしてしまうと、彼女の躓きの根は、いつまでたっても、変わらないと思いますよ。」
と、隣に座っていた、金本という、年配の教師が発言した。
「何を言っているんですか、金本先生。ご自分の年を考えてくださいよ。もう、当の昔に七十を超えてるでしょう?そんな年で、生徒に向き合えるなんて、到底出来そうじゃありませんね。」
と、ちょっと若くて頼りなさそうな先生が、そういうと、金本先生は、ちょっと肩を落とした。
「でも、鮫島徳子だって、もう三年しかここにいないんですから、それでいいじゃないですか。それだけあたしたちが耐えれば、また新しい生徒が来て、また新しい歴史が始まるっていうと大げさだけど、あたしたちが、我慢していればそれでいいんじゃないの?」
と、若い女性教師がそういうことを言うと、ほかの教師も口々にそうだそうだと言い始める。
「その姿勢が一番いけないんじゃないですかね。」
と植松がぼそっと言うと、ほかの教師たちは、変な顔をした。まるでやれるもんならやってみろ、とでも言いたげな顔だ。隣の席に座っている、金本先生は、いつもの年寄りらしい、クールな顔をして、また生徒が提出したノートを、添削している。
そのうちに、予鈴がなったため、植松は授業をしに、教室へ行った。
「おはようございます!」
生徒たちは、植松にちゃんと挨拶する。制服を乱したりする生徒もいない。そういうことは、しっかりできている学校であるのだが、その中に鮫島徳子もちゃんといる。みんな教科書をちゃんと開いて、特に落書きもしている様子もないし、植松が数学の話をしても、ちゃんと聞いている。いわゆる教育困難校と言われるような、そんな様子は全く見られない。しっかり勉強しようという、姿勢も見られる。高校としては素晴らしいが、同級生の金をとったという事件が起きたとは、どうしても考えられなかった。
「えーと、今日は、関数についてでした。じゃあ、次回は、もうすこし、立体の世界についてやりましょう。ちょっとドラえもんの世界も関わってくるから、次回を楽しみにするように。」
授業終了のチャイムが鳴ったので、植松は次回の予告をして、授業を終了させた。生徒たちは、しっかり起立して、礼をして、ありがとうございましたと挨拶する。こんな学校に、他の生徒からお金を取った生徒がいるなんて、本当にそうなのだろうか、信じられないほどであった。
植松は、ぼんやりした頭で、職員室に戻った。先ほどのいじめの話なんて、まるでなかったかのように、学校の先生たちは仕事をしている。まるでそんなことは、まったくなかったと言いたげであった。
それよりも、生徒の大学受験の事とか、成績の事とか、そっちの方が、優先になってしまっていて、そういうことは、まるでどうでもいいという感じだった。先ほどの話の続きをしたいということすら、なんだか認められていないような、そんな感じがした。もう、先ほどのことは、話してはいけないというより、忘れてしまったというような雰囲気になっている。
「これじゃあな、、、。」
と植松は思わずつぶやいた。
「植松先生。」
と、老教師の金本先生が、机に座った植松の顔を見て、
「これ、お願いします。」
と、一枚の紙きれを彼に渡した。それを見てみると、放課後、カフェで話し合いましょう、と書かれていた。本当に、生徒のことを考えているのは、金本先生だけのようである。
植松は、わかりました、よろしくお願いします、と紙に書いて、金本先生に渡した。それ以上、その問題について、話す教師は誰もいなかった。
とりあえず、授業は全部終わって、放課後になる。特殊学校の終わりは早い。生徒によっては、この後すぐにアルバイトへ直行する子もいるし、予備校で補習授業をやったりする子もいるし、家庭の事情で家事をしなければならないので、全日制の高校に行くことができなかったという子もいる。
みんな、それぞれ事情があるけど、勉強したいという気持ちは同じ。校長先生が、学校の自慢をするとき、そう自慢するのだ。
中には学校に残って、先生と一緒にカウンセリングのようなことをしたり、勉強を教えてもらったりする生徒もいる。でも、そういう生徒に関しては、若くてぴちぴちした先生を望むことが多い。植松もその一人なのだと思っていたが、数学は人気のある科目ではないし、予備校でも教えてもらうことが多い科目なので、あまり質問に来る生徒は少ないのである。今日は誰も寄ってこなかった。金本先生も、年配なので人気はなかった。二人は、学校が終わると、急いで学校の外へ出て、とにかくj人の少ない店を探しましょうということにした。喫茶店は、多くの人がいて混雑していたので、ちょっと離れたところにある、イシュメイルらーめんと書かれた、変な名前の店に来た。
確かに、ラーメン屋さんなので、この時間に来訪したら、本当にすいていた。つまるところ、人は誰もいなかったのだ。二人が店に入ると、給仕係の亀子さんが、いらっしゃいませ、とにこやかにあいさつして、一番奥の席に座らせた。
「ご注文は?」
何だかトルコ系の雰囲気がある、外国人の店主がそういうと、二人は、トマトラーメンを注文した。そして、ちょっと打ち合わせをさせてもらえないかと、金本先生が言うと、ああ、どうぞ使ってくださいと店主のぱくちゃんは快く承諾してくれた。
「で、鮫島徳子の事なんですけどね。」
と、植松は、金本先生に、そういうことを切り出した。
「このままではいけない。何とかして、彼女には、いじめを繰り返すのをやめてもらわないと。この間の乞食ごっこを主催したのも鮫島だ。まあ、あの時は、ちょうど、中間試験があったので、お流れになってしまいましたが、そういうのが終わると、また彼女はそうやって悪事を繰り返す。それではいけない。」
「ええ、わかっております。でも、ほかの先生がたは、鮫島のことに、何も関心を持っていない。それではいけないのですが、もっと他の大人が、教えてあげられるようにしないと。」
と、金本先生も、植松に言った。
「金本先生、そうやってわかってくださるんでしたら、二人で一緒に、鮫島にやってはいけないと話してみましょうか?」
「いや、それはどうですかね。」
と、植松が提案すると、金本先生は言った。
「口で言っても、あの生徒はわからないでしょう。彼女の定義している大人とまったく違うものが表れてくれない限り、そういうことをするのはやめないと思います。」
「それは誰がなるんですか。学校で出てくる、歴史上の人物とか?」
金本先生は、いいえという顔をする。
「そうじゃなくて、現実にいる人がです。」
「でも、俺が幾らやっても、何をしても、まったく彼女は、変わろうとしてくれませんでした。成績こそいいですが、それだけではいけないってことをわからないというか、、、。」
「わかろうとしないんでしょうね。」
と、金本先生は言った。
「じゃあ、どうしたらいいでしょう?」
「そうですね、ほかの先生は、もう頼りようがありませんから、私たちだけでも、ほかの大人とは違うんだってこともアピールしていくことじゃないかな。」
「なんだか、そういうこと言うと、年寄りの冷や水って言葉があるよねえ。そうならないように、気を付けて。」
と、ラーメンを持ってきてくれたぱくちゃんが、にこやかに笑って、そういうことを言った。金本先生は、はははと笑った。
「まあ、そういうところが年寄りなのだということを、見てやってもらえればそれでいいかなあと思ってますよ。」
「そういうところね。」
と、ぱくちゃんは言った。
「僕たちのウイグル族では、お年寄りなんて、めったにいないから。自動的に村のリーダーになって、引っ張ってくれる存在だと思っていたけれど、日本では違うんだねえ。長生きをするってことが、
損をするような気がするよ。」
「そうですか。確かに、日本はウイグルと違って、年寄りばかりの国家ですからな。その、長生きしただけで価値があるという、ウイグルの社会とは、確かに違いますよね。」
ぱくちゃんの話に、植松はぽかんとしてしまった。金本先生は、歴史の先生だから、そういう話について行けるのだろうが、植松は全くわからない。
「ほんとだよ。僕らは学校なんて夢のまた夢だったもの。お金を払えないから、こっそり教室を覗いて、読み書き習っていたようなもんだ。日本では誰でも学校に行けるはずで、大喜びなはずなのに、なんで学校でそんな問題が起きちゃうのかな?僕、よくわかんないよ。」
「そうですか。むしろあなたの言葉を、問題がある生徒に、言ってあげたいくらいですね。」
ぱくちゃんの話に、金本先生は言った。
「どうかなあ。ウイグルの話しをしても、日本では遠い異国の話くらいしか思わないだろ。日本では、ウイグルの貧乏人の話をしたって、何もならないよ。だって、日本は、金持ちばっかりで、早くから、貧乏人はバカにするようにできてるんだからね。」
「そうですか。本来は、お金持ちも、貧乏人も平等に受けられるというのが教育なんですけどね。」
あーあ、この二人、本当にうらやましいなあ。と植松は思う。にこやかに笑って話をしているけど、実際は、生徒に聞かせてやりたい話であった。今は学校にいるのが嫌だという生徒が多すぎる。そうではなく学校は、本当は必要なことを学んでいくためのところなんだぞと、聞かせてやりたいほどである。
「それでは植松先生、話を鮫島にもどしましょう。」
と金本先生がそういったため、植松ははいと言って、犬みたいに大きな胴震いをした。
「我々がしなければならないことは、彼女に善悪を教えるために、罰するというよりも、彼女の寂しさとか、孤独感とか、そういうものをいやしてやることだと思うんですね。それがない限り、彼女は、立ち直るというか、そういうことはできないと思います。彼女にとって、人間は、みんな敵なんですよ。そうではないってことを、伝えてやることが、一番だと思います。」
「そうですか、、、。具体的には、どうしたらいいんでしょうかね。俺たちは、彼女に何をしてやればいいのでしょうか。口で言ってもわかってもらえないし、ただ、やってはいけないというだけでは、彼女には伝えられないでしょう。」
金本先生の話に、植松は言った。
「そうですね。でも、目標はそこにあります。」
と、金本先生は年寄りらしく言った。
「あのねえ、僕の住んでた村で、以前、こういうことがあったよ。」
ぱくちゃんがいつの間にか二人の話を聞いていて、腕組みをしたまま、そういうことを言った。
「実は僕たちが住んでいたところに、急に漢人が入ってきてねえ。そこで、漢人が高層マンションを建てるからと言って、僕たちは、出ていけと命じられてね。それで、仕方なく、僕たちは家を出ていくしかなかった。それで、日本語でなんというか知らないが、ハーモニカ見たいに並んだ家に住んでいたんだけどね。」
「ああ、そういうことですか。つまりあなたの住んでいたところに、漢民族が無断で高層マンションを建てるということになって、あなたたちは、立ち退きを命じられたんですね。それで、仮設住宅への移住を命じられた。」
と、金本先生が、そう通訳してくれたので、ぱくちゃんの言葉は、植松も理解できた。
「それでね、その高層マンションに住んでいる、小さな女の子がね、僕らの目の前で、マンションから落ちたんだ。見つけたのは、僕の兄だった。僕は、漢人なんて絶対許さないと思っていたけどさ、兄はそうでもなかったらしい。それで、女の子を、急いで家に連れ込んで、傷の手当てしたんだよ。幸い、軽いけがで済んだけどさ。でも、一生懸命介抱したんだよ。言葉なんて全然違うから、彼女が何を言っているのか、何もわかんなかったけど、でもしたんだよ。だけどねえ、すぐに彼女のお母さんと思われる人が来て、すごい剣幕で僕らをしかりつけて、帰っていったけどね。」
「そうなんですね。つまるところ、あなたのお兄さんは、マンションから転落した女の子を、民族関係なく介抱した。しかし、漢民族の母親に、とがめられてしまったんですな。その時、お兄さんはどうしていましたか?」
と、金本先生は言った。
「わかんない。ただ、言葉だって違うからさ。何を言っているのか全く分からなかったけど、黙っていた。それだけだった。」
「そうですか、そうですか。確かに漢語とウイグル語では、文法も文字も全然違いますからな。でも、きっとその少女も、してもらったことは、覚えていると思いますよ。そして彼女も、大人になって、中国のことを、考えるのではないかと思いますよ。」
いいなあ、そういう世界の歴史を知っている人は、そういうことを、何にも違和感なく話せるが、そういうことを知らない植松にはまるで分らない。
「それで、お兄さんは、どうなったんですか?」
と、それだけ、植松は聞いてみた。
「兄は、この前起きた暴動で亡くなったよ。」
と、ぱくちゃんは答えた。この前起きた暴動、日本ではあまりセンセーショナルに報道されたことはないが、2009年に、新疆ウイグル自治区で、大きな暴動が起き、100人以上のウイグル族が殺害されたという事件があった。おそらくぱくちゃんの家族はそれに巻き込まれてしまったのだろう。
「そうですか。残念ながら、そういうケースは、日本では、50年ほど前でない限り、起こることはないでしょうね。それに、日本では、長期にわたって、単一政権ですし、中国のように、王朝がコロコロ
変わるということもありませんでしたから、あなたが経験したようなことは、日本ではないと言っても過言ではないでしょう。」
まあ確かに、金本先生の言う通りなのだ。中国は、王朝がコロコロ変わっているし、少数民族と言われる、中国人でないと言われる人も、たくさんいる。でも日本はそれとは正反対と言ってもいいかもしれない。
「それでは、鮫島にはどうやって、人間の大切さを教えていけばいいのでしょうか。」
と、植松はそれだけ言って見る。
「そうですね、非常に難しいものになるでしょうが、そういう暴動なんかが起きることが、一番簡単に教えるきっかけになると思います。ですが、それはどうなんでしょうかね。」
と、金本先生は言った。
「本当は、学校の中に閉じ込めておくというのは、あまり有効な教育方法じゃありませんよ。」
金本先生ははあとため息をついた。
「それでは、どうしたら。」
「そうですね、、、。」
二人は、何を言っても糠に釘のような話をつづけてしまった。
そんなことを話している間に、植松のスマートフォンがなった。最近は電話というものも、軽視される時代になっている。植松だけではなく、金本先生の携帯電話にも、同じメールが入っていた。
「あ、植松先生。今、メールが入ったのにお気づきになりましたか?」
と、金本先生に言われて、初めて植松はメールが入ったのに気が付く。
「はあ、なるほど、転校生ですか。はあ、なるほど。豆腐店で長らく住み込みで働いていたので、学校には通っていなかった。なるほどね、年齢は、59歳。息子さんが高校を卒業したため、自分も高校卒業したくなったため、別の高校に入学したが、そこが、不適合だったため、うちへ来たいということですか。」
「そうなんですか。」
と、植松は言った。
「名前は、佐々木希望さん。来月から、うちの学校に来るわけですな。これは面白くなりますよ。自分より、年上の生徒さんと行動を共にするわけですからね。うん、これは面白くなりますよ。」
金本先生は、なんだか楽しそうな様子だった。確かに訳ありの人が、支援学校に入って来るというケースは、よくあることであるが、大体の教員は不安になることが多いものである。
「じゃあ、来月から、変わるのを待ちましょう。我々は新しい生徒を受け入れると、変わってきますよ。誰でも、変わらなくちゃいけないこともきとあるでしょう。」
と、金本先生は、にこやかに笑って、ラーメンを食べて水をがぶっと飲み干した。
そしてその一か月後のことである。
「えー、今日から、この学校で、一緒に勉強していただけることになった、佐々木希望さんです。ちょっと勉強していくのに、不自由なところはあると思うけど、みんなでフォローしてやってください。」
校長先生が、その男性を紹介した。彼は、一応学生服に似せたマオカラースーツに身を包んで、少しでも学ランに近づけようとしているのであるが、ちょっと不自然なところもあった。年齢は、59歳と、植松は紹介されていたが、それにしては、若すぎるような気がした。
「佐々木君は、仕事があるようなので、週二回の通学で、あとは自主学習になりますが、それでも学習意欲は十分にあるそうなので、よろしくお願いしますね。」
「佐々木希望です。よろしくお願いします。」
という彼は、にこやかに笑って、学校に来られる喜びを、満面な顔で表していた。
「では、佐々木君、ここの席に座ってください。」
と、校長先生に促されて、佐々木希望は、鮫島徳子の近くの席に座った。そのまま、第一限の授業が始まったが、佐々木希望は、わからないなりに、一生懸命ノートをとっている。鮫島は、それを憎々しげに見つめていた。
その数日後のことである。
佐々木希望の、持ってきた定期券が盗まれるという事件が起きた。そして、その定期券は、新聞紙に包まれて、学校近くを流れていた側溝に落ちていた。これではもう、使い物にならない。確かにバス通学をしている佐々木希望は、帰れなくなるが、別の生徒と一緒に帰っていったので、その日は、問題なく帰っていくことができた。
次の日。今度は、佐々木希望の現金の入った財布が、側溝に投げ込まれるという事件が起きた。これで本当に、佐々木は自宅へ帰れなくなると思ったが、また別の生徒が、バイクに乗せてくれて送ってくれたので、自宅へ帰ることができた。
その次の日、佐々木希望の学校用の上履きが燃やされるという事件が起きた。佐々木は、上履きをはかず、はだしで授業を受けることになったが、別の生徒が、上履きを貸してくれた。
「植松先生。」
と、金本先生が、職員室に戻ってきた植松に言った。ほかの先生がたは、いじめのことなどどうでもいいような顔をして仕事をしている。
「あの、佐々木希望という生徒は、一生懸命勉強してくれていますな。しかし、彼の、定期入れや財布、そして、上履きがなくなるという事件も起きておりますな。」
「ええ、そうですね。一体誰がそんなことをするのでしょう?」
植松が聞くと、
「多分、鮫島徳子ですね。彼女が佐々木希望のことを嫉妬して、それで悪事を働いている。そうしか考えられないでしょう。今までのこともそうだったじゃないですか。これから、鮫島と、話し合わなければいけないと思うのですが?」
と、金本先生がそういうので、植松も覚悟を決める。
「ええ、わかりました。俺も彼女と話してみます。」
佐々木希望が学校から帰っていくのを見届けて、植松は、鮫島徳子が、学校を終えて、自宅に
帰ろうとするのを、ちょっと止める。
「鮫島、ちょっといいか?」
繰り返す 増田朋美 @masubuchi4996
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