第7話 エピローグ

「ありがとう、五月さつきさん。五月メイに逢わせてくれて……」

病室を出て、エレベーターに向かう廊下で、拓海くんが私に話しかけてきた。


「いいえ、本当にごめんなさい。貴方を騙すことになって……」


「もういいんだ。五月メイの気持ちも分かるから……」


私は立ち止まって彼を振り返った。そして彼を見つめた。

「……ねぇ、拓海くんは本当に顔だけじゃなく心も美男子ハンサム五月メイの彼氏だね。私も憧れちゃう……」


拓海くんはその言葉に首を傾げている。

「ありがとう、五月さつきさん。ねぇ、聞いて良いかな? 五月さつきさんは、彼氏居るの?」


私は大きく首を振った。

「……残念ながら、年齢イコール彼氏居ない歴なの……。五月メイみたいに可愛くないから……」


「えっ? 五月さつきさんはとても可愛くて、キレイなのにな……。そうだ、ちょっと待って」

彼はスマホを取り出してメッセージアプリで誰かにメッセージを送っている。


直ぐに返信が有ったみたいだ。

「この近くにいるみたいだから、直ぐにこの病院に来てくれるって……」


「えっ、誰が?」


「まあ、ちょっと待って」


その十五分後。病院の待合室の長椅子に座り私と拓海くんが待っていると、ある男の子が私達の前に現れた。


「よお、拓海」


その声に拓海くんが立ち上がった。私も立ち上がりその人に軽く会釈する。


「兄貴、こちらが北見五月さつきさん。ほらこの前、紹介して兄貴も可愛いって言ってた俺の彼女、五月メイの双子のお姉さん」


拓海くんの紹介で、その男の子が拓海くんのお兄さんだと分かったが、私はその男の子の顔を見てとても驚いていた。

(えっ? このお兄さんと拓海くんは・・?)


お兄さんは私に満面の笑顔を見せてくれる。

「そうか、本当に五月メイさんにソックリだし、僕の好みの顔だ。初めまして五月さつきさん。僕は拓海のの兄、安藤誠人まことです。宜しく」

そう言いながら誠人まことさんは私に右手を差し出した。


私はその手を自分の右手で握り、拓海くんと瓜二つの誠人まことさんの顔を笑顔で見つめた。

「はい、初めまして。誠人まことさん。北見五月さつきです。宜しくお願いします!」


誠人まことさんの右手は力強くてとても暖かい。


私は自分の心臓の鼓動が高まっていくのを感じていた。


FIN

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キレイになった私は? 美玖(みぐ) @migmig

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