第6話 本当の五月(メイ)は?
私と拓海くんは、
「ねえ、
病院のロビーを入って、五階の病室に向かうエレベーターを待ちながら拓海くんが私に聞いて来た。
「えっと、最初の三日で副腎皮質ステロイドを点滴で投与して、その後は経口投与に切り替えているの。それでケロイド的な発疹はほぼ沈静化したけど、まだその痕が残っているから……。多分、
エレベーターのドアが開き、二人でエレベーターに乗り込んだ。
五階に向かうエレベーターの中で拓海くんが呟いた。
「……そんなこと関係ないのに……。あいつ、俺がどんなに
その彼の言葉を聴きながら、私もドキドキしてしまった。
ふと気付くと拓海くんが私を見つめている。
「どうしたの?
その優しい表情に私の心臓の鼓動が更に高まっている。
私は大きく首を振ると、丁度開いたエレベーターのドアを抜けて、足早に
北見五月と書かれた病室の前でドアを叩く。
「はい、どうぞ」
私はドアを開けると彼女の病室に入った。
「あっ、
私に続いて部屋に入って来た拓海くんを見て
「
「……
「
そう言うと拓海くんは、
「……
「……だって、こんな顔、拓海くんに……見せられないよ」
拓海くんは大きな溜息を吐くとゆっくり首を振った。
そして
「……
「……
その声に、
「……良かった。もう大分治ったんだね。その泣き顔もキレイだよ。きっと直ぐに残りの発疹の痕も治るよ。大丈夫……」
「うん」
「そしたらみなとみらいにデートに行こう。
「愛している、
拓海くんの背中に両手を廻して、
私もその二人の姿を見ながら自分の頬を涙が流れるのを感じていた。
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