第10話 醜い愛

僕は絶対ぜったいあいつを許さない。 人をも無情むじょうあやめるあの『悪魔 』を―


僕はしばらく立ち直れ無かった。 だって、最愛さいあいの姉が死んでしまったのだから。でも、いつまでもくよくよしているわけにはいかなかった。 絶対に復讐ふくしゅうしてやる。 あのことを思い出すのは辛かったけれど、ヒントがないので思い出すしかかった。 たしか-


「憎き妹」 とか言ってたよな。 妹…? たしかに似ているけれど、僕にお姉ちゃんは、ユキ姉しか居なかったはずだ。 両親にもそんなこと言われて無かった。 もしかして、あの二人のあいだに何かあったのか…? 僕の頭じゃ考えても分からなかった。 そうだ、日向兄に聞いてみれば、分かるかも知れない。

じゃあ、アリシアへ向かってみようかな… 僕はしずんだ気持ちをおさえ、アリシア国へ向かうことにした。


「さて、地図通りならこっちか…」 僕の目の前には、草原そうげんが広がっていた。  そうえば、最近は大変なことが多い。ステラに絡まれたり、ユキ姉が―……思い出さないでおこう……もう、歩き出そう。そして、歩み出した時、背中に、痛みを感じた。

僕って、厄介事やっかいごとに巻き込まれやすいのかな- なんて冷静に考えた。

「…さ…ない」かすんでいく意識いしきで聞き取れたのは、その言葉だけだった―



「これでいいのよ…」


そう言う彼女の名前は、レイシー・コンジェンダーと言う金髪青眼きんぱつあおめの、小柄こがらな少女だった。

レイシーside

一ヶ月前 私には婚約者こんやくしゃがいた。私は結婚相手けっこんあいてのステラ皇子おうじのことが好きだったし、彼も私の事が好きだと思う。 両思いだったの。

…でも、それはおもちがいだったの。

それは、彼が仕事でアリシア国に行ったころ、私は何週間か待っていたの。

…アリシア国は、このリミデルア国から近いはずなのに、全く帰って来なかったの…

私は心配で、彼を探してみることにしたの。 …すぐ見つかったわ。

でも、彼は、他の女と一緒いっしょにいたわ。

ひどい、酷いよ…どうして?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして??


…今思えば、それははやとちりだったかも知れない。

―でも当時の私には、それを理解する余裕よゆうも無かったのかもしれないわ。

その時思ったの。 あの女が、彼をたぶかしたんだわ、きっとそうよ…

許さない… と感情的かんじょうてきになってしまってそのまま感情のままに何日か経ったあとあの女― レアルと言う名前のむすめを―ナイフでした。

でもあとから考えてみれば、この子は彼のことを嫌っていた感じがしていた気がした。

「私の、勘違かんちがいだったっていうの…?」 それだったら、なんてことをしてしまったのだろう。 くだらない― ただのむなしい一人劇ひとりげき、だったんだ。 遠くから人の声がする。私も刑務所いきか―

一人で失望しつぼうして、一人で絶望ぜつぼうしてただけじゃない。

でも、最後にこれだけは言わせてほしい。

 

      「結局ステラは私のことを、愛してなかったのね」

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少女旅記録 らむねーど。 @777777777

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