おかしな日記'20

服を脱ぐ

　病院帰りの電車の中。向かいの席で、光命と孔明が今にもキスをしそうな距離で、ラブラブで見つめ合いながら仲良く話している。

　妻の付き添いできたというのに、妻だけにつま弾きである。

　放ったらかして……。

　と思っていたら、私の隣には、光命のピンチヒッター夕霧命がいた。

　光命と孔明の話はさっきからつきない。時と場所を忘れているようで、いい感じで続いている。妻は思わす注意してしまった。

「服脱ぐとかやめてくださいよ。公共の場所ですからね」

「ボクは颯（りょう）ちゃんと違って、すぐ服脱がないからね」

　何て言い方だ、孔明さんは。

「いやいや、私がまるで露出狂みたいなこと言わないでくださいよ」

　そこまではいい感じだったのに、妻はおまけをつけてしまった。

「しかるべき時にはささっと脱ぎますよ」

（大人の情事の時）

　それを隣で聞いていた夕霧命が噛み締めるようにくくっと笑った。

　妻の思考はワープする。

　夕霧さんは、服脱ぐタイプじゃないもんね。脱ぐと言えば、焉貴（これたか）さんか明（あき）だ。あの二人、夜寝る時裸だからね。

　数日後、ふと思い出し笑いをしていると、あることに気づいてしまった。

「いやいや！　公共の場で服脱いだ夫いたよ。蓮だ！」

　まったくもって、どんな珍事を起こすんだ、超不機嫌のあいつは！

2020年11月2日、月曜日