第19話そして全国へ…!「UDN47ぷらすワン」ぱーふぇくさん!?
そして三か月後。
「おおぼけこぼけちゃーん!こっち生おかわりね!」
「わああああい!ありがとうございます!今日の森さんはたくさん飲んでくれてますね!あたし、ちゅーしちゃおっかなあ?」
「え?ほんとー?」
「もりさんちゅーーーーっ!」
「もー!十七歳が大人をからかっちゃダメだよー」
「すいませーん!あたしは永遠の十七歳なのでーす!」
「もー、キューティフルちゃーん。どうにかしてよー」
「私たちは、縁故採用でも援交採用でもありません。小指採用なんですよ」
「なにそれ?」
「エンコ採用」
「おっかさーん!」
「まあまあ、今日は春先なのに『三三九度のとろけそうな日』ですからね」
讃岐さんがプロデュースした『UDN47ぷらすワン』と『粉衛門』は今日も活気に溢れ、お客さん、というよりもうファンですね。多くのファンの皆さんが連日惜し目当てでお金を使ってくれてます。そうそう。先日、讃岐さんからメンバーに重大発表がありました。
「キャッシュフローも短期間でかなり作れました。二号店と三号店を順番に出します。まず二号店はアニマルさんと『ちーむ父兄参観』にお願いします。やり方は任せます。同じくそれに続いて三号店は十八号さんと『ちーむしーおー2』にお願いします。めがねめがねさんとよくできすぎさんは『UDN47ぷらすワン』の聖地、『粉衛門』浅草本店に残ってもらいます。バランスを考えるとそれが一番だと思いましたので」
「やっとかあ!待たせすぎだっつんだよ!私の推しをごっそり連れてくぜ」
「皆さんの『個性』はもうここだけでは狭すぎますからね。週一回は勿体ないです。それに想像よりもかなり早いと思いましたよ。これからも皆さんなら大丈夫です。多くのファンの方にこれからも愛され、ファンの皆さんに『元気』をお願いしますね。それにしても『恋愛自由』なのに皆さんまだ彼氏さんは出来ないんですか?」
「え、え、え、え、えーと。ちょっとびっくりしてるんですが。私は彼氏よりファンのみんなが好きかなー。お金もたくさん貯まっていきますし。お、お、お、お」
「そうですね。アイドルとして今はとても楽しい時間を送ってますので。ファンの皆さんの『元気』が今は一番ですね。それにいやらしいですが『お金』もたくさんいただいてますので」
「あら、みんなそうなの?私は新しい彼氏出来ましたけどね」
「ええええええええ!?おっかさん!マジですかあ?」
「はいはい!皆さん。それも全部自由ですよ。二号店、三号店のメンバーはこれから活動を続けながら準備もお願いしますよ。それに本店に残るメンバーも同じです。補欠枠から新天地でのレギュラーを抜擢してもいいですし、自分たちの曜日を増やすのも自由です」
「それでも本店からそんなに多くのメンバーが抜けて大丈夫ですか?」
「その心配は一切ありません。補欠枠にも光る逸材が育っていますし、めがねめがねさんもよくできすぎさんも曜日を増やして欲しいと思ってますので。そ・れ・に!ものすごい逸材も隠し玉でいますので。『ぱーふぇく』さんと言いましてね。写真だけ特別に見せてあげます。『ぱーふぇく』さんは『料理の腕、知識』は僕と同じかそれ以上です」
そして讃岐さんがタブレットで一人の女性の顔写真をメンバーに見せます。
「めーちゃーびーじーんー」
て、これ、女装した讃岐さんじゃないですか。
「では今日も、これからも、頑張りましょう!『UDN47ぷらすワン』!!」
「おおおおおおおおおおおおおおお!」
これで讃岐さんの目標も達成しちゃうんですね。働きたくない。遊んで暮らす讃岐さんかあ…。『UDN47ぷらすワン』の大躍進は今後も楽しみなんですが…。ちょっと残念な気持ちになりますね。讃岐さんの活躍を今後も見たいと思いましたし、なんか勿体ないなあ…。
秋葉原。「ダブルゼータ」。
「SHINちゃーーーーーーーーーーーーーん!もう一杯!飲まなきゃやってらんねえ!」
「どうしたのー?『UDN47ぷらすワン』も順調だし、なんかマスコミにも注目され始めてるじゃん?」
「そう!そうなんだけどねえええええええええ!僕はお店も前より繁盛させてるし、成功してるし、お金も稼いでるのねええええええ!やっと嫁も帰ってくる!僕も遊んで暮らせる!働かなくていい!と喜んでたのにねええええええええええ!嫁のやつが『確かにお店は前より繁盛しているみたいだけど、あんた真面目に働いてないらしいね。常連の人から聞いたよ。ちゃんと額に汗して働くまでは帰りまてん!』だってええええええええ!僕は結局働かないといけないのかあああああああああああ!!!」
「あははははは!でも私が奥さんでもおんなじこと言うと思うわー」
「そんなあああああああ……。そんなSHINちゃんにハイボール…」
「あざまーーーーーす!」
どうやら讃岐さんの隠居生活はまだまだ先のようです。よかったよかった。やっぱ人間、額に汗して働かないといけませんね。ボコッ!痛い…。殴られました…。でもこれからも讃岐さんに私は殴られ続けます!え?私ですか?そんなことどうでもいいじゃないですかあー。
ファンと言う名のお客さんに『元気』を与えるうどんアイドル『UDN47ぷらすワン』はこれからも全国制覇を目指して活動していきます。いずれあなたの町にもお店がオープンする日がくると思いますよ。その時はどうぞ、御贔屓にお願いしますね!
UDN47ぷらすワン 工藤千尋(一八九三~一九六二 仏) @yatiyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます