著者あとがき
まずはこの作品を読んで頂いた方々に感謝しております。
この「生地物語」は星海社FICTION新人賞2017年秋に送りました。座談会では平林様にあのようなお言葉、評価を頂き、とても嬉しかったことを鮮明に覚えています。
私が商業を意識してから最初に決めたことに
「喜怒哀楽」をテーマに四作品書こう
がありました。
現在、このカクヨムにて掲載しております
「パズルボーイ」(哀)
「ダウンタウンに勝ちたくて」(喜)
現時点でネットにはあげていない
「お客様は神様ですか?」(怒)
そして
「生地物語」(楽)
です。
また、実験的な試みとして
「セリフを一切使わずに書いてみよう」
と考え、世の中にセリフのない作品がどれぐらいあるか?また、それらの作品はどれほどの文字数なのか?
など、そんなことばかり考えていました。
(後に数少ない、作品を読んでくれていた方の一人から「セリフがないと言うより、全て『地の文』の作品だね」と言われ、初めて『地の文』の言葉とその意味を知りました)
また、読んで頂いた方ならすぐにお分かりになられたと思いますが、この作品は私の経験したことを元に書きました。私小説の括りになると思います。書きながら途中から芽生えた感情。最終話にその想いを全て書きました。
この作品は小説というよりも長いメッセージに近いと思います。
昔、お世話になった、優しかったあの人たちとはもう会うことはないのか?そう考えるとやりきれなくなりました。もし、この作品が世に出て、あの人たちの誰か一人にでも届いてくれれば。そんな想いを持ちながら書いていました。
そんな作品ですが、自分が書いた作品の中では一番好きな物語です。
繰り返しになりますが、この作品を読んで頂いた方々に感謝しております。
工藤千尋
生地物語 工藤千尋(一八九三~一九六二 仏) @yatiyo
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