第7話

「だいふく、長生きだったねー」と、おんなの人が言う。


「そうだな。先代だいふくの寿命を超えたからな」と、おとこの人が答える。


「お迎えして、数日で死んじゃうかもって不安だったけど……、なんだか大往生だったね」と、もう一人のおんなの人が言って、ぼくの体に、ばさ、と冷たい土をかけた。




少しずつ、重くなっていく土に吸収されていくように、三人の声が遠くなっていく。


「小屋、また空っぽになっちゃったね」、「三代目だいふくを探す?」、「藁もエサも、結構残ってるしねー」、……、ゆっくりと、声が土に染みこんでくる。




とすん、と、重みのあるものが乗っかる音がして、三人の声は一度、ふつりと途切れた。


しばらくの沈黙の後で、「先代の隣で、安らかに眠ってね、二代目だいふく」という言葉が、ふうわりと、やわらかく、ぼくの体を包み込んだ。






ぼくは、だいふく。


しあわせに生きた、ハムスターだ。


もしまたハムスターとして生まれたら、また同じお家にいきたい。

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ぼくは、だいふく。 一白 @ninomae99

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