第6話

足が動かせなくなってからも、ぼくは、それまでとあまり変わらない生活を過ごした。


食べたら寝て、寝たら食べて。


変わったことといえば、行動範囲が狭くなったことと、回し車がなくなったこと。


引っ越し当初から軽快に回し続けた回し車は、「また挟まったら危ないから」と取り外されて、小屋の外で哀愁を漂わせている。




ぼくの命はもう長くないだろう、と考えているらしく、ご飯は前よりももっと美味しくなった。


常に、ぼくの手が届く場所に置いてくれるし、古くなったのに気付いたら、すぐに新鮮なものに交換される。


ぼくがどこでトイレを済ませても、怒ることなく片付けてくれる。


足が悪くなってから、むしろ生活環境はよくなっていて、だから、ぼくは、また元のようにぷくぷくと太り始めた。




おんなの人たちは苦笑していたし、おとこの人は呆れていたけれど、三人とも、少し元気になったようだから、別に悪いことではないのだと思う。


ぼくもぼくで、ほとんどいままでどおりの生活ができるのだから、不満なんてないのだし、何の問題もないだろう。


そうしてぼくは、もう一つ、季節を重ねた。

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