ひとのこころのわからぬ者よ

柳なつき

呼びかける

ひとのこころのわからぬ者よ

呼びかける


夜は長いか

短いか


朝は広いか

狭いのか


昼はなにをして

めしを

喰らうのか


刹那のなかにのみ

あなたの生活がある


ひとのこころのわからぬ者よ

いつでもそうやって

鉱物のように

縮こまっているのだね

まわりがすべて滑らかに溶けあうことができるのに

ひとりかたくなに

貝よりかたく

とじこもって


ひとのこころのわからぬ者よ

大海にひとり投げ出された

毛むくじゃらの獣のよう

大海では海で生きられることが当たり前なのに

海からはしょっぱさしか受け取れないあなたは

過剰すぎるいのちの塩分のなかで

自分の仲間を

同質なものを

水分を

求めて漂流しているのでしょう


ひとのこころのわからぬ者よ

せめてジャングルに生まれればよかった

森の奥で好きな草を食み

ときには残酷に小動物を喰らって

それでも

まだここよりは害なく

生きられただろうに


はてなく

ひとのこころがわからない

それだけのゆえに

あなたは

はてしなく


ひとのこころのわからぬ者よ

夜は長いか短いか

朝は広いか狭いのか

昼はなにをしてめしを喰らうのか


夜の孤独も

朝の喧騒も

昼のひとりも


すべていだけてしまう

そんな惑星にあなたが早くいけたらいいのに

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ひとのこころのわからぬ者よ 柳なつき @natsuki0710

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ