6月

水谷一志

第1話 6月

(註:この小説の舞台は2020年現在ではありません。)


6月。この月は日本では祝日がない。

ということは、とにかく働かないといけない月だということだ。

……まあ、私は祝日なんて祝わないが。


また西洋では、この月は「ジューンブライド」という言葉もある通り、婚姻、結婚が多い月だ。……もちろん私はそんなことに全く関心がないし、「だから何だ!」と思ってしまう。


そんなことより、私にとって大きな、とても大きな行事がある。それはたまたま今回は6月。


正直6月開催はキツい。ただでさえ働かされるこの国だ。それが土日以外休みなしでは、体がもたない……と思うのは私だけか?


まあそうやって苦しむのも、大切だということだろう。当然私は普段から酒も飲まず、節制をしている。それもこれも……、こういった行事を大切にするためだ。なら頑張るしかない。


しかしうちの会社は同調圧力が強過ぎる。私みたいな行事を大切にする「異分子」は冷たい目で見られる。これはこの国全体の特徴なのか?おそらくそうであろう。私は仕事を真面目にしているつもりだが、それとは関係なく、私は白い目で見られているように感じる。


「○○君、外国語の方は?」

「……できます。」

私は会社で新しいプロジェクトを任されることになった。……しかしその上司の冷たい目!私の活動など全く理解していないという目!これは内心、私たちのことを馬鹿にしている。それぐらい私でも分かる。


まあ私は普段から会社の飲み会には参加しないので人間関係は築きにくいであろう。元々あんなドンチャン騒ぎは嫌いだし、食べ物もはっきり言って口に合わない。私は決められたものをしっかり食べる方が好きなのだ。……会社の同僚たちはそのことを分かっているようで分かっていないのであろう。


しかし最近は便利になった。SNSが発達し、私のような人間が住みやすくなった。いつでもどこでも私のような「仲間」と繋がることができるし、またその仲間と、いわゆる「聖地巡礼」も行く予定にしている。


そして、金曜日がやってくる。それはそれは大事な日。

そう、私たち【ムスリム(イスラム教徒)】にとって神聖な曜日。それは【ラマダン】の月でも変わらない。  (終)

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6月 水谷一志 @baker_km

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