第403話 足りないもの

「俺が何もかも足りてないってことくらい、俺自身が一番よく分かってるんです!! 沙羅さんはそんなことないって言ってくれるけど、俺は自分が沙羅さんに釣り合う男だなんて全く思ってない!! 勉強も運動もそうだけど、何より男として沙羅さんに釣り合ってないんですよ!!」


 今までずっと、自分の奥底に沈めていた俺の本音が…自分の意思とは無関係に、次から次へと口から飛びだしていく。

 もし俺がこんなことを考えていると沙羅さんに知られたら、絶対に悲しませると分かっているから絶対に言うまいと…そんな情けない自分を思う前に、少しでもそれを改善する努力をしろと、自分の心に言い聞かせてきたことが。


「だから俺は、焦らずに今出来ることを全力でやるって誓ったんです!! 今はとにかく勉強を頑張って、政臣さんと約束した大学に入ることをひたすら目指す。そしたら今度は、大学に通いながら政臣さんの仕事を少しずつでも勉強させて貰って、将来は佐波の一員になれるように努力する。そしていつかは!!」


「…いつかは?」


 恥も外聞もなく大声で将来像を語り続ける俺を、会長さんはじっと…馬鹿にする訳でもなく、冷めた目で見る訳でもなく、ただじっと…固唾を飲むように見守っていて…


「俺は政臣さんのような男になりたいって…将来の目標を見つけたんです。勿論それは沙羅さんの為って意味もあるけど、俺は俺の為にそうなりたいって真剣に思ってて…だから俺は、政臣さんの後を追い掛ける為に、少しでも理想の自分になる為に、全力で努力するって」


「…そうか。では、沙羅のことは?」


「さっきも言いましたけど、それが結果的に沙羅さんのことへ繋がるって俺は信じてます。俺が理想の自分に少しでも近付いて、いつか胸を張って、自分が沙羅さんに相応しい男だって言えるようになったら…そのときこそ、さっきの言葉を訂正して貰います!!」


「なるほど。それが結局、沙羅を全力で愛することにも繋がるという訳か…よく分かった。実にいい決意表明だった」


「…すみません、ちょっと興奮しすぎました」


 会長さんのリアクションがあまりにも予想外すぎて、俺は思わず拍子抜けしてしまうと…途端に冷静さが戻ってきて、今度は猛烈に恥ずかしさが込み上げてくる。

 勢い任せで、言うつもりじゃなかったことまで思い切り言っちゃったぞ…うう。


「ははは、照れなくてもいい。若者らしい情熱を感じる、しかもそれでいて実に理路整然とした素晴らしい決意表明だったよ。先程までの冷静な対応も十分に評価できるが、これはそれを遥かに上回る素晴らしいものだ」


「えっと…?」


 ここまでの悪態は何だったのかと思うくらい、会長はまたしてもニコニコと楽しそうな笑顔を浮かべていて…これは一体?


「そうかそうか、政臣くんのような男になりたいか。なるほどな、沙羅にいい格好したいが為でもなく、最近の若者にありがちな、ただ状況に流されているだけという訳でもなく、しっかりと自分の目標を見据えた上で、沙羅の為にも頑張るというスタンスなんだな? うんうん、実にいい答えだ。その年齢でそこまで考えているとは大したものだ」


「あの…会長さん?」


「いやぁ、済まないね。君を試した…と言うよりかは、君の本音を聞かせて欲しかったんだよ。君と沙羅が相思相愛なのは今更疑うまでもなかったが、それと君の進路は別物だからな」


「…は?」


 会長さんから飛び出した衝撃の一言に、俺は思わず耳を疑ってしまい…


 試した…?

 俺を試したって、まさかそれは…


「…会長、そういうことをするならするで、前もって私にも教えて下されば」


「ははは、君に話をしたらその足で筒抜けになってしまうかもしれないだろう? 敵を騙すにはまず味方から…は、定石だな」


「…はぁ。心臓に悪いです」


 どうやらこの会話から察するに、政臣さんもこのことを知らされていなかったようだけど…って、だから、そうじゃなくて!!


「あの…ひょっとして、俺は?」


「済まん。君がこの先のことをどう考えているのか、少しでも本音を聞いておきたくてね。既に色々な話は政臣くん達や幸枝さんから聞いていたが、君はまだ高校生だから…沙羅と今の関係を続けたいが為に、何となく適当に話を合わせているだけかもしれないと思ったのだよ。もしくは…」


「そ、そうですか…まぁ最初の頃は、確かに流れというか勢い任せな感じもありましたけど…」


 特に一番最初の、真由美さんから電話で婚約の話をされたときは、ほぼ勢いというか…沙羅さんの為なら何一つ迷わないという俺の信念に基づいて、即決即断をしただけだし。


「それは当然だろう。君はまだ高校生なんだし、そこまで将来のことを考えろというのが無理な話だ。まして一般家庭に育ったのなら、教育の段階でそこまで見据えた意識の植え付けなどしてはいないだろうし」


「あー…ウチはワリと放任主義と言うか、俺の意思を尊重してくれる感じでしたけど」


「そうか。まぁその結果が君のような青年になったのだから、ご両親の方針は間違ってなかったということになるな?」


「そ、そうですかね?」


 これはそんなに大袈裟な話じゃなくて、単に親父のことを反面教師に考えていただけな気もするんだけど…まぁいいか。


「とにかく、君の本心は全て聞かせて貰った。この先の進路は、自分の理想の追求と沙羅の為という二つの大事を両立させた確固たるものであることが良く分かったし、その年齢でそこまで考えているのは大したものだ。しかも私に対して一歩も引かないどころか、あれだけ露骨に挑発されても怒りを抑えて冷静に対応出来た精神力は目を見張るものがある。もしこれが役員の子供などであったら、無駄に高いプライドが邪魔をしてここまでの話にはならなかっただろう」


「…さっきの話は、そんなに聞こえの良いものじゃないんです。俺は単に、今の自分に自信が無くて、何かやるって言っても説得力なんかないって分かってるだけですし…だからそれを証明できるまではって」


 さっきのあれは、俺が普段から心の片隅に留めている本音と、まだ実践していると言うには程遠い自らの誓い。

 本当は誰にも言うつもりは無かったけど…勿論、沙羅さんにだって言うつもりはない。だって、俺がそんなことを考えているって知ったら絶対に怒るし…悲しませるって分かってるから。


「ははは、それこそ謙遜するなといったところだ。そこまで冷静に自分の状況を理解して、見栄も虚勢も張らずにキッチリと啖呵まで切るとは実に面白い。しかも私に対して全く気後れを感じていないようだし、どうやら年齢に見合わない経験を色々と積んできたようだな」


「…俺は自分が情けないって思ってるだけですけど」


「今はそれでもいい。無駄に自信のある人間ほどムキになって否定したり、やってもいない癖に出来ると大言壮語したりするからな。そして結局は周囲に頼りきり、失敗すれば周囲のせい、成功すれば自分のお陰…実に白々しい」


「そ、そうなんですか?」


 何やら急に、含蓄のある言い回しになり始めたような気がするんだけど…ひょっとして、今の話に何か思うところがあるのか?


「おっと、済まない。余計なことを…とにかく重要なのは、確かな実力に裏打ちされた自信であって、プライドや見栄から来る薄っぺらい自信ではない。そういう人間ほど、失敗したときに周囲のせいにして責任逃れをし、結果的に信用を失うからな。だから自分の状況を冷静に見つめて、前向きに努力する人間性も必要なんだよ」


「…そうですね。それは俺もそう思います」


「自分に自信がなさ過ぎるのもそれはそれで問題はあるが、それなら自信をつける為に努力すればいい。特に社会へ出れば、ときに自信がなくとも"やれる"と言わなければならないシーンは腐るほどあるからな。しかも君に至っては、そういう自分を隠してでも強気に前へ出る勇気が尚更必要になるんだが…まぁその辺については大丈夫そうか。先程の私に対する決意表明はなかなかのものだったぞ」


「あはは…さっきのはちょっと、思わず熱くなっちゃったというか、何だかんだでムキになっただけと言いますか」


 と言うか、さっきの自分を改めて思い返してみると、超大企業の会長さんに対して随分と大きく出てしまったような?

 沙羅さんのことを否定されて、思わずヒートアップしちゃったけど。


「それで会長、結局は…」


 ここまで余り口を挟まずにこちらの会話を注視していた政臣さんが、そろそろ痺れを切らしたように会長さんに声を掛け…そう言えば、結局今の話はどうなったんだ?


「あぁ、私の目的は無事に達成できたから問題ない。彼がしっかりと将来を見据え、明確な目標を持って君の後を追うと決めていることはこれでハッキリと分かったし、沙羅との交際を続けたいが為に状況に流されている訳ではないということもよく分かった。そこを先に確認しておかないと、後々大変なことになるからな」


「その点については、私からもしっかりと報告してあった筈ですが…」


「ははは、確かにそうだが、やはり自分でも確認しておきたいじゃないか。それに君では、彼の奥底にある本当の本音を引き出せなかっただろうし。良くも悪くも彼の精神力は凡そ年齢にそぐわないようだから…何か余程の経験をしてきたのだろうが」


「っ…」


 最後にポツリとそう呟いた会長の一言に、俺は思わず息を飲んでしまう。

 たったあれだけのやり取りで、よくそこまで…と言うよりは、先程の話でここまで俺という人間を分析してしまうということの方が驚き。

 流石はこの国を代表する超巨大企業を総括する会長…と言ったところか。


「はは、安心したまえ。そこまで君のプライベートに立ち入るつもりはないよ。だがそういった経験が、結果として君の魅力に繋がっているということも忘れないでくれ」


「はい…ありがとうございます」


 過去の経験が、今の俺の魅力…


 正直、そんな風に捉えたことはなかったし、そう言われたことも無かったので目から鱗ではあるんだが…


 そういう考え方もあるんだな。


「うむ、いい返事だ。ははは、流石は沙羅だな。実に面白い青年を捕まえてきた。私の周囲で紹介できる人材には全く居なかったタイプだし、これは楽しみだ」


「会長、捕まえたという表現は…」


「おっと、これは失言だったか。確かに沙羅は、そういう打算とは無縁すぎる人間だからな…最もそうであるからこそ、本当に自分が認めた相手でなければ見向きもしないという、ある意味で困った性格でもあるんだが」


 心から楽しそうに、そう沙羅さんのことを言い表す会長さんの話は…実に的を得ていて、それだけ沙羅さんのことを理解してくれていることの現れにも思う。

 なるほど、沙羅さんを実の孫のように思っているという話は間違っていないようだな。


「それでは改めて、高梨一成くん。私は薩川昭二…一応、この佐波グループの代表取締役会長を務めている者だ。 …分不相応にもな」


「会長、それは…」


「事実だよ。私はもともとそんな器ではないし、兄の代わりに中継ぎとしてこの役職を引き受けたまでだ。ときが来れば、然るべき者に立場を譲る…そう決まった上で、引き受けただけのこと」


「えっと…?」


 今度こそしっかりとした挨拶になるかと思いきや、会長さんと政臣さんが意味深な会話を始めてしまったので…俺もどう反応すればいいのか困ってしまう。

 取り敢えず、今の会長がピンチヒッター的に役職を引き受けたという話は俺も知っているが…


「あぁ、済まんね。恐らく君もこの辺りの話は聞いていると思うが、とにかく私は、そんな事情もあって取り敢えず"会長"という椅子に座っているだけの人間なんだよ。とは言え、正式な会長であることに変わりはない…改めて、宜しく頼む」


「は、はい。俺も…じゃない、じ、自分も、改めまして、高梨一成です。宜しくお願いします」


 笑顔の会長が差し出した右手をさっと握り、俺は簡単な挨拶と共にペコリとお辞儀を。

 しまった、ちょっと噛んじゃったぞ。


「ははは、そんなに畏まらないでくれ。私も将来は君の親戚になるんだからな。気軽に叔祖父(大おじ)とでも呼んでくれればいい。呼びにくければおじさんでもいいぞ?」


「え? で、でも政臣さんは会長って呼んでますし…」


「私の場合は公私の問題もあるからね。一応参考までに言うと、真由美は会長のことを叔父さんと呼んでいるし、沙羅は叔祖父さんと呼んでいるよ?」


「えっ? あ、じゃあ俺も叔祖父さんで」


 我ながら単純だけど、沙羅さんがそう呼んでいるなら俺もそう呼びたい…と言うか、そもそも他に選択肢なんかないだろうし。


「ははは、では決まりだな。もっとも君の場合、佐波に入社した時点で政臣くんと同じように公私の使い分けが必要になるだろうが…」


「あ、そっか。うーん、そうなるとやっぱり会長って呼んだ方が…」


「まぁその辺は臨機応変に対応してくれればいい。私もせっかく出来た孫婿に、他人行儀はされたくないしな」


「分かりました。それじゃやっぱり、叔祖父さんで」


 本当に大企業の会長さんをそんな風に呼んでもいいのかという葛藤がない訳じゃないが…でも沙羅さんがそう呼んでいるんだし、何より本人がいいって言ってるなら別にいいよな?


「はは。それでは無事に呼び方が決まったところで…先ずはお礼からするとしよう」


「お礼?」


「ああ。山崎工業の一件では、私達も君に大変お世話になったからな」


「あ、じゃ、じゃあさっき"件"って言ったのは…」


「そうだ。もしあれが広がりに広がって、佐波にも波及していたら…万が一、こちらの関係者に摘発でもあろうものなら、我が社のイメージが失墜するばかりではなく、どれ程の影響が出たか計り知れない。まして未成年者の被害ともなれば、特に海外でのダメージは深刻なものになる」


「そう…ですか」


 少なくともあの一件で、佐波の名前を聞くことは無かったが…組織ぐるみということもあり、あれだけの大きな会社が一瞬にして消えてしまったという事実がどれ程大きな出来事だったのか。

 そしてそれを主導したのが、他ならぬ俺自身だということに…


「…君が気にやむことはない。あれは自分達の蒔いた種。自業自得というものだ」


「分かってます。確かにとんでもないことをしたって…なったって自分でも思いますけど、でも後悔はしてませんし」


 あれは結果的にそうなってしまったというだけで、俺は俺なりにやれることをやっただけ。そしてその末に辿り着いた結末であり、そうしなければ大切な沙羅さんを俺のせいで…という可能性もあったのだから、後悔なんか全くしてはいない。


 ただ…


「でも、あれは全部俺の個人的な理由でやったことです。忘れたかった過去がまた戻ってきて、それを今度こそ振り切る為にやるしかなかった。そうしないと、今度は沙羅さんに…俺の周りにいる皆にも影響が出そうだったし」


 あれはあくまでも自分の為であり、沙羅さんを守るという意味も大いにあったが、それもこれも元を正せば俺のせい…俺との関係があったからこそ巻き込んでしまうとなれば、それを未然に防ぐことも、やっぱり俺の責任なんだ。


「だから、あの件で会長さんにお礼を言われるような理由は何もないんです」


「例えそうだとしても、結果的に我々が救われたことに何ら変わりない。だから君が何と言おうが、これは揺るぎない事実なんだよ」


「一成くん、これは前に言ったかもしれないが、例え個人的な理由であったとしても、君のお陰で私達が助かったことは事実なんだ。そしてそれに対してお礼を言うのは当たり前の話であって、別に君が遠慮する必要は何処にもないんだよ?」


「政臣くんの言う通りだ。もしここで私が、お礼を兼ねた金一封でも渡そうとして、それを断るというのならまだ分かるが…まぁそれについては、また何か考えておくとしようか。どうもこの様子だと、そんなことをすればそれこそ固辞しそうだしな」


「あ、当たり前ですよ!!」


 只でさえお礼を言われるような筋合いはないというのに、この上でお金を貰うなんてとんでもない!!

 第一、俺はそんなことの為に動いた訳じゃないんだ。


「…分かりました。それじゃあ、気持ちだけでも受け取っておきます」


「そうしてくれ。本当は気持ちだけで納めるような話ではないんだが、それについてはまた後日ということで」


「いや、あの、本当に何も要らないんで」


「ははは、そこまで拒否されると逆に何かしてやりたくなるのが人情ってものよ。まして君は、私にとっても可愛い孫娘の伴侶なんだし…」


「そうですね。私もこの一件では、彼にこれと言ったお礼をまだしていなかったので…可愛い娘を守って貰った訳ですし」


「おいおい、そういうお礼ならそれこそ私に任せたまえよ。可愛い孫娘の為なら…」


「いやいや、これは父親である私の役目でして、例え会長といえど譲る訳には…」


「だから、それは私がだな…」


「いえ、私が…」


「あの…」


 何やらいつの間にか、俺のことをそっちのけで、どちらが沙羅さんを可愛がっている(?)のか競い始めたような気が…

 でもやっぱり、会長が沙羅さんのことを実の孫娘のように可愛がっているというのは本当だったんだな。


「おっと、済まない。とにかく、これについてはまた後日に…な」


 俺が何とも言えない目で見ていることに気付いた会長が、小さく咳払いをしてからそう締めくくり…まぁ、ここまで言われて断るのも悪いか。


「はい。でも本当に…」


「大丈夫だ。君が困るようなお礼はしないから安心してくれていい。それこそ、そんな真似をすれば沙羅に怒られるのだろう?」


「そうですね。沙羅は一成くんを困らせるような真似をすれば、それこそ冗談抜きで私達にも怒りを向けますし…現に真由美も、既に何度かやり込められていますよ」


「ほぅ、あの真由美がやり込められるとは、それはそれで将来が楽しみだな。最もそこまで気が強いと、今度は彼が尻に敷かれそうではあるが」


「はは、そこは考えなくても大丈夫ではないかと。現に沙羅は、一成くんを立てていくことを第一優先として実践しているようですし」


「…はい。沙羅さんは俺のことを、本当に大切に思ってくれてますし…だから俺も、沙羅さんを…」


 自分よりも俺のことを最大限に優先してしまう沙羅さんだから…

 だからそんな沙羅さんを最大限に優先するのは、俺にとって当たり前の話で。


「そうか…はは、何とも初々しい話で微笑ましい限りだ。それにしても、あの子の心をそこまで掴める男が現れるとは」


「ええ。私も最初は自分の目と耳を疑いましたが…二人の姿を見てしまえば、会長も認めざるを得ないかと」


「私は最初から認めているぞ? なんせあの沙羅が自ら見つけ出した唯一の男ともなれば、生半可な人物でないことくらい疑うまでもないからな。まして山崎工業の一件然り、しかも幸枝さんや西川会長まで…」


「そうですね。私もここまで条件を揃えられてしまったら、即時白旗待った無しでしたよ」


 政臣さんと会長は然も楽しそうに…面白そうに、俺を見ながら二人で笑い合い、染々とそんなことを言って…


「何にせよ、これで沙羅のお相手探しは無事に終了という訳だ。となると次は…やはり君の番だな、政臣くん?」


「会長?」


「もともと私は、君が兄の後を継ぐまでの中継ぎでしかない。ときが来れば、私は舞台から降りると決まっていた筈だ。それに対外的なことも考えれば、せめて兼業という状況だけでも早めに解消するべきだろう」


「…会長、その話は」


 またしても突然始まった二人の意味深な会話に、俺もどうすればいいのか分からなくなってしまい…口を挟むような話ではないことくらいは分かるとしても、そもそもこの話は俺が聞いていい話なのか?


「別に今直ぐという訳じゃない。だが、現在君が手掛けているプロジェクトが無事に終わり、しっかりとした成果を挙げられたそのときは…」


 会長さんはそこまで言うと、表情を引き締め…


「君を次期社長として…正式に発表しようと思う」


 そう、ハッキリと言い切った…



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




















 はい。

 というわけで、前回の続きがこれで一先ず終了しました。


 このパーティー最初の山場であった会長との初対面を無事に乗り越え、次はいよいよパーティー会場でのアレコレ…の前に、もう一つ何かがあるようなので、次回はその話になります。

 次もそれなりに書き終わっているので、そんなに間を開けず更新出来るのではないかなと。


 それではまた〜


 p.s 今回の件で、一成よりも寧ろ会長のその後を心配する声が多かったのはちょっと面白かったです。でもその通りですねw

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