第340話 質問コーナー リターンズ

「はい、それでは改めまして…ミスコン優勝とベストカップル大賞の受賞、おっめでとうございまぁぁぁぁぁぁぁぁす!!!」


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!


 今度は流石に、茶化すような雰囲気もなく…

 みなみんからも客席からも、他の出場者の皆さんからも、純粋に俺達を祝う、暖かい拍手と歓声を贈られて…


 そうなると、素直に嬉しいと思う気持ちと共に、照れ臭さまで込み上げてくるというか。


「まぁ…カップルと言うより、もう完全に夫婦だけどね」


「だそうですよ、一成さん?」


「いや、それで俺に何を言えと?」


「ふふ…それはお任せ致します」


 「ミスコン準優勝」という、男として名誉なのか不名誉なのかよく分からない肩書きが消え、沙羅さんのご機嫌も無事に回復したようなので、取りあえずはひと安心。

 後は、これ幸いとばかりに俺達を冷やかしてくる女性陣がネックなだけだが…これはやはり、年頃乙女(?)に格好のエサを与えてしまった自業自得と言うべきなのか?


「薩川さん、今度、婚約指輪見せてね!!!」

「私も~!!!」

「話も聞きたい!!!!」


「はい。時間のあるときでしたら、別に構いませんよ」


「やった!!!」

「薩川さん、本当に変わったよね!!」


 そして、こんな風に何気ないやり取りをしている沙羅さんを見ていると、先程の暴露が…「孤高を利用していた」という沙羅さんの本音に対し、主に同性から何らかの拒否反応が出る可能性を憂慮していたので…それが問題なさそうで本当に良かった。

 少なくともこうして見ている限り、その心配はなさそうで何よりだ。


「さってとぉぉ、ちょうど良さそうな雰囲気だから、ここらで一発、優勝者インタビューを兼ねた質問コーナー、行ってみようかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!


 みなみんの唐突な宣言に、大きく沸き立つ観客席。

 質問コーナーって…俺が乱入する前にやっていたアレを、またやるのか?


「はい、それでは……質問がある人ぉぉぉぉぉ!!!」


「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!」」


「っ!?」


 これまた前回と同じく、子供向けのステージショー宜しく…元気一杯な挙手がそこかしこから一斉に上がり、空席が目立つとはいえ、それでもステージ上から見る光景は壮観と言っても過言ではない。


 でも、それはそれとして…


 何で花子さんと立川さんまで手を挙げているんですかね!?


「だ・れ・に・し・よ・う・か・なぁぁぁぁぁ…っと、よしっ!!!! それじゃ、頑張って残ってくれた貴重な男性陣の中から、君に決めたぁぁぁ!!!」


 みなみんが謎のポーズと共に指名した人物は、客席の一番外枠にいる、数名の男性グループの中の一人。挙手をしていた二人の片割れだ。

 早速スタッフさんが、マイク片手に小走りで近寄っていき、それをポンと手渡す。


「んじゃ、お名前をどうぞ!!!」


「竹下です!! 宜しくお願いします!!」


「竹下くんですね? そんじゃ、張り切って質問をどうぞぉぉぉぉ!!!!」


「はい!! 先ずは改めて薩川さんに質問なんですけど…副会長は、本当の本当の本当に婚約者なんですか!?」


「ここまでのやり取りを散々見ていたでしょうに、何故そこまで確認されるのか本気で理解できませんが…まだ信じられないと言うのであれば、私は何度でも同じ事を言いますよ? 私達は結婚を誓い合い、お互いの両親から認められた正式な婚約者です。将来結婚をして、私は一成さんの妻になるとお約束しました」


 きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


「うわっ、うわっ、妻だって!!! 奥さんだって!!??」

「さ、薩川さんがお嫁さん!! 男だったら、もう死んでも悔いはないって感じでしょ!?」

「ちょっ、ダメダメ!! 高梨くん、まだ死ぬのは早いよ!!!」

「そうそう!! 私達の楽しみは、まだ始まったばかりだ!!!!」


 あかん…

 これはもう何を言っても、エサにしかならないのでは…


 お願いですから、好奇心旺盛な年頃乙女達にエサ…燃料を投下する質問は止めて下さい!!

 沙羅さんは基本的に、俺とのことであればストレートに答えてしまう人なので、このままだと彼女達は永久機関待ったなしです!!


「質問は以上ですか?」


「あ、普段の呼び合い方も教えて下さい!!!」


「呼び合い方? 私はそのまま、一成さんとお呼びしております」


「俺は、沙羅さんと」


「あれ? でも薩川さんは、さっき"あなた"って…」


「あれは…その、正式な夫婦となった暁には、あなたとお呼びしたいという私の希望を、一成さんが受け入れて下さったと言いますか…その一貫で、時折そう呼ばせて頂いている次第です」


「あ、そういうことなんですね! となると、じゃぁ高梨くんは…」


「いや、俺は…」


「一成さんには、私を"沙羅"と呼び捨てにして頂くようお願いしております。ただ、これについては結婚後に拘らず…私としても、普段からそう呼んで頂きたいと思っているのですが」


「むふふぅぅ…高梨くん!! 奥さんの希望を叶えてあげたらどうかなぁぁ!?」


 あざと可愛らしい態度の裏に、どす黒い何かをモロに感じさせるみなみんの笑顔。やはりこれは…どう考えても意趣返しをされているとしか思えないぞ!?


「あの…一成さん」


「う…」


 そして沙羅さんも、そんな期待の眼差しで俺を見ないで下さい!?

 観客が…年頃乙女という名の恋愛ハイエナ達が、前のめりで食い入るように、こちらをガン見…


「一成さん…」


「…沙羅」


「はい、あなた♪」


 きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


 くっ…笑うなら笑え!!

 沙羅さんから甘え混じりの声で呼びかけられて、それに逆らうことなど俺に出来る訳がないだろう!!

 もうここまでくれば、今更この程度で逡巡する俺ではない!!


「はぁ…はぁ…例えここで力尽きたとしても、私は本望!!!」

「あなた…あなたぁぁぁぁぁぁぁ…ぐふっ!?」

「ちょっ!? 衛生兵!? 衛生兵ーーーーー!!??」

「薩川さんの"あなた"呼びは、破壊力強すぎる!!!!」


「は~い、それでは竹下くん、本当に…ほんっとうにありがとうございましたぁぁぁ!!! いやぁ…高梨くんは漢だねぇぇぇぇ!!!」


「…ノーコメントで」


「ふふ…一成さんは、とても頼り甲斐のある、世界一素敵な男性ですから」


「えっと…そんな素直に受け取られちゃうと、私もちょっと罪悪感…ゴホン!! そ、それじゃ次は、ついでだからお隣の方もどうぞ!!」


 ついでって、それはまた随分と失礼な物言いを…

 でもマイクを受け取った張本人は、普通に嬉しそうなので…特に問題はないのか?


「葉瑠です。初めて副会長と会った時の、第一印象を教えて下さい」


「そうですね…私達の出会いは少し特殊なので、厳密に言えば第一印象と言えないかもしれませんが…最初に感じたことは、私に似ているな…と」


「え? 似ている…ですか?」


「ええ。初めてお会いしたとき、場の状況もあったと思いますが…一成さんの瞳には、失望感や喪失感といった、ある種、諦めのようなものがありありと浮かんでいました。初対面だった私に対しても、あからさまに訝しげな表情を隠そうともせず…かつて私が見た、あの優しさに満ち溢れていた一成さんのお姿は完全に影を潜めていて…そして私が話し掛けた直後に見せた、大きな悲しみと拒絶の感情。もうそれだけで、一成さんが何かに絶望し、他人を信用することが出来なくなっているのだと直ぐに分かりました。そしてその姿はまるで、他人に絶望し、嫌気がさし、自ら周囲を拒絶してきた私と、どこか重なるような気がして…だから、私に似ているな…と」


「なるほど…ありがとうございました」


 確かにあの頃の俺は、結果的に見れば沙羅さんですら信用していなかった。

 どれだけ親しくなろうとも、いつか裏切られるかもしれない、手のひらを返されるかもしれない、そんな考えが根底にあり、だから少しのことでも不信感が募り…

 本当は、自分を救ってくれる誰かを求めていた筈なのに、そんな希望すら自ら閉ざそうとしていた。それは俺と同じく、自ら周囲を拒絶していた沙羅さんにも言えることで…だからこそ、俺達は似た者同士であったのだろう…と。


「何か…凄く深い話でしたね。意味深な感じで、気になる部分も結構ありましたが…どうせ聞いても教えてくれないでしょうから、次の質問に移ります!!! えーと…それじゃ、そこの人!!!!」


「ta-taです。薩川さんのリラックス法を教えて下さい!!」


「リラックス法ですか?」


「はい!! これをやると心が落ち着く…とか、身体が休まる…みたいなことがあれば是非!!」


 これは正直、助かったかも。

 ちょっと重い空気になりかけたこともあり、今回の質問は色々な意味でありがたい。

 それにこの質問は、俺にとっても興味がある内容というか…沙羅さんにしてあげられることであれば、俺も是非聞いてみたい。


「それでしたら、家事をしているときなどは、楽しくて気分転換になっていると思いますね」


「家事ですか? それは例えば、どんなことを…」


「例えばですが、ご飯の準備をしているときなどは、一成さんが美味しそうに私のご飯を召し上がって下さる姿を思い出して嬉しくなってしまいますし…一成さんがお家で少しでも快適に過ごせるよう、計画的にお掃除をすることも楽しいです。お洗濯も、一成さんの…」


「ちょ、ちょっと、薩川さん? それは家事と言うより、高梨くんにしてあげることってだけなんじゃ?」


「ふふ…そうとも言えるかもしれませんね?」


 みなみんの指摘に、少しだけイタズラっぽい笑顔を見せる沙羅さん。

 でもこれが嘘でも冗談でもなく、本気でそう思っているということは、他ならぬ俺が一番よく分かっていたり。

 ただ、如何にも沙羅さんらしい答えではあるものの、これは単なる日常というだけで、俺からしてあげられる「何か」にはならないんだよな…


「なるほど…ありがとうございます!!! あと差し支えなければ、リラックス法のこともお願いします!!」


「リラックス法ですか? そうですね…直ぐに思い付くこととしては、やはり"抱っこ"でしょうか?」


「…へ?」

「だ、抱っこ?」


「はい。私は一成さんを抱っこしているときが、最も安らぎを感じる時間なのです。心の中が、一成さんへの愛しさで溢れ、幸せな気持ちで一杯になると言いますか…それに、私の胸で甘えて下さる一成さんが本当に可愛いらしくて…照れ臭そうにしながら、それでも嬉しそうに…私の胸に、ぎゅってしがみついて…ふふ。あのようなお姿を見せられてしまいますと、私はもう…」


「ちょぉぉぉぉぉ!!! 沙羅さんストップぅぅぅぅぅ!!!! ストップぅぅぅぅぅ!!!」


 ゆ、ゆ、油断した!!!!

 と言うか、沙羅さんのリラックス法が、俺に由来する内容であることくらい、簡単に予想がついたついただろうに!?

 嬉しそうに説明を始めた沙羅さんの笑顔に気を取られて、停止命令を出すタイミングが完全に遅くなってしまった!!


「ちょっ!? せっかく良いところだったのにぃぃぃぃぃ!!!」

「こらぁぁぁぁぁぁぁ!! 今は奥さんへの質問なんだから、旦那さんは黙ってなさい!!!」

「いま抱っこって言った!? 高梨くんが、薩川さんの大きい胸にしがみつくって言った!!??」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 高梨くん、大胆すぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

「いやいや、二人は同棲してるんだから、そのくらい序の口では…むふふふふぅぅぅ!!!」

「来てますよ!!! 私の乙女センサーに、桃色の電波がビンビンと来てます!!」

「いやぁぁぁぁぁ、ビンビン!?」


「…あーあ、また大騒ぎになっちゃった」

「…まぁ、沙羅だからね」

「…嫁だから」

「…そうですねぇ、薩川先輩ですしねぇ。ところで誰か、西川さんを何とかしてあげて下さい」


 客席の大騒ぎは当然こちらにも聞こえているので、乙女達の妄想が勝手に膨らんで、大暴走している様子が手に取るように分かる。

 それにしても…リラックス法だなんて、それっぽい言葉に油断するなんて…俺の馬鹿野郎!!


「いやぁぁぁ…これまた盛大なノロケをありがとうございます!!! ta-taさん、グッジョブ!!!!」


 ビシィッと、何故か二人は揃ってドヤ顔で、お互いに格好いいサムズアップを返し合う…なんだこれ?


「も、申し訳ございません、一成さん。思わず…」


「い、いえ。大丈夫です。でも、その、あまりプライベート的なことは…」


「そ、そうですね。お家のことに関しては、余計なことを言わないように致します」


「はい、それでお願いします」


 取り敢えずこれで、最悪の自体は回避できるだろう…

 間違っても、一緒にお風呂に入っていることや、毎晩一緒に寝ていることなど、危険極まりないトップシークレットが漏洩する事態だけは避けなければならない。


「ちっ…残念」


「おい、コラ…」


「にゃはは、冗談じょーだん!! さて、そんじゃ次の人は…今度は女性がいいなぁ…ってことで、そこの人!!!!」


「はーい!! 雅美でーす!! お二人の出会いの切っ掛けを教えて下さい!! あと、お付き合いの申し込みはどちらが切り出しましたか!? その場所も教えてください!!」


 この手の質問は絶対に来ると思っていたので、予想通りではあるが…問題なのは、出会いの切っ掛けになった屋上の一件を、他人に話したくないということ。

 そして花壇のことを話して、俺達の大切な憩いの場が騒がしくなってしまうことだけは何としても避けたい。


 となると…これはどうするべきなのか…


「これは出会いの切っ掛けと言いますか…私が初めて一成さんを知る切っ掛けとなったのは、迷子になっている女の子を助けようとしているお姿を拝見したときですね」


「迷子の女の子?」


「はい。歌唱審査の際に、一成さんが抱っこしていた、あの女の子がそうですよ?」


「あぁ、あの女の子!! なるほどなるほど、あれはそういう繋がりで…それで高梨くんと、あんなに仲良さそうに」


「ええ。あの日、一成さんが女の子に向けていた、とても柔らかく優しい眼差し…一向に泣き止まない未央ちゃんに困りながら、それでも決して諦めず、必死にあやそうと頑張っているお姿。少し不器用な、でも見ているこちらまで心が暖かくなる、そんな一成さんがとても印象的で…あぁ、この方はとても誠実で、本当にお優しい方なんだと、私はひと目で分かりました。その後、泣き止んだ未央ちゃんと手を繋ぎ、お母さんを探して一緒に歩き出した後ろ姿に、どこか惹かれるものを感じて…一成さんのことがずっと気になってしまい…でも初めて学校でお会いした際、場の状況的にどうやって接すればいいのか、何をお話すればいいのか、私は全く分からず…」


「沙羅さん…」


「なるほど…素敵な出会いだったんですね!! ということは…薩川さんは高梨くんに、運命を感じちゃったとか!?」


「そうですね。私達の出会いは、運命であり必然なんですよ」


「うっひゃぁ、ご馳走さまです!!!」


 運命であり必然。


 この言葉を聞いた人達は、単なるノロケか冗談としか思わないだろうが…でも俺と沙羅さんの出会い、そして俺達が結ばれたことは、本当に運命であり必然であったと確かな実感を持っている。

 それは、俺達がどれだけのものを乗り越え、お互いが求めていた存在として巡り会い、こうして結ばれたのか…それを思えば、決して偶然という言葉で片付けられるような話ではないから。


「それで、告白は…」


「それは俺の方からしました。夏祭りの帰りに寄った、恋人達の聖地と呼ばれている場所で」


「恋人達の聖地?」


「ええ。他県だから場所を説明し難いんですが、地元では有名な場所らしいです」


 少し割り込むような形になってしまったが、何となく、これは俺から言わなければならないことだと思えたから。

 全てを説明する必要はないとしても、最低限の必要情報だけでも話をしておく。


「そうですか…ありがとうございました!!」


「はい!! 雅美さん、ありがとうございました~!!! うーん…ちょっと良い話になってしまったので、これは流石に茶化し難い空気ですね~」


「おいっ」


「おっと失礼、思わず本音が!! では、次の方…んじゃ、さっきからアピールの激しいそこの男性!!!」


「サトシです!! お二人の休日の過ごし方を教えて下さい!!!」


 休日の過ごし方?

 今度の質問は、とても簡単なように思えて案外難しいかもしれない。

 何故なら、俺達は諸々の事情があって、これまでデートらしいデートをする機会があまり取れなかったから…

 精々が日用品の買い物を兼ねたショッピングデートか、自宅でのんびり過ごすことも多い。後は夏海先輩や速人のテニス応援や、薩川家に呼ばれたり…


 何だろう…


 沙羅さんに申し訳ない気持ちが、急に湧いてきたかも。


「私達は普段、生徒会などの活動が忙しいので、休日はゆっくりと過ごすことの方が多いですよ。何かお買い物があるときは、それを兼ねたデートもしますが…特に用事がないときは、基本的にお家でのんびりとしていますね」


「そうなんですか…ちなみに、家でのんびりするというのは、具体的にどんな感じで?」


「そうですね…平日には出来ないお掃除やお洗濯をしたり、一成さんのお勉強を見て差し上げることもあります。あとは、ケーキやクッキーなどを焼いて、お勉強の合間に…あぁ、ご休憩の際には膝枕をして差し上げることも多いのですが、私が頭を撫でていると、一成さんは直ぐおねむさんになってしまうんですよ? それはもう本当に可愛らしい寝顔で…眺めているだけで、時間が経つのも忘れてしまうくらいに…ふふ。我慢できず、ついつい何度もキスを…」


 きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!


「ちょぉぉぉ!!! だ、だから、沙羅さん、それ以上はダメぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 せっかく楽しそうに話をしているので、多少の暴露…主に俺の恥ずかしい話…くらいは我慢しようと思っていたが、流石にこれは厳しすぎる!!

 このままだと、俺は沙羅さんにひたすら甘えているだけの、超絶甘えん坊男というレッテルを貼られてしまう危険性が…


 え? 何も間違ってない?


 そんなの俺が一番よく分かってるよ!!!


「…はぁはぁ…死ぬぅぅぅぅぅ…このままでは糖分過多で死んでしまうぅぅ…でも悔いはない!!!」

「…薩川さんのキャラが完全に壊れたね。そこまで四六時中、イチャイチャするタイプだったなんて…」

「…人は見掛けに寄らないっていう、超典型的な例だよね、これ」

「…つか、これは高梨くんが甘えてるというより、薩川さんが積極的すぎるだけでは!!??」

「…ぐふふふふぅ、これはこれは…もう夜とか凄そ…」

「…きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 乙女の口からそれを言っちゃらめぇぇぇ!!!」


「いやぁぁぁ…高梨くん、何というか、本当にご馳走さまですっ!!!」


「…どういたしまして」


 ミスコンというカテゴリー(枷)が外れたせいなのか、やはり俺への意趣返しなのか…

 司会者である筈のみなみんまで、もうこれでもかと言うくらいに野次馬根性丸出しで、止めてくれる人が誰も居ない…あれ?


 ひょっとしなくても、今の俺って孤立無援ですか?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 想定よりかなり長くなっているので、ここで一旦切らせて頂きます。

 続きも八割方書けているので、特に問題がなければ明日か明後日には続きを更新できると思います。


 それではまた次回~

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