第325話 第二次審査
「はい!! という訳で、第一審査の結果が無事に出揃ったようです!!!! みんなはどうだ!? もう完全に推しは決まったかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
客席の歓声を聞いて、満足そうに頷く某魔法少女…もとい、みなみん。
そう言えば結局スルーしていたが、そもそもあれは何のコスプレなんだろ?
どこかで見たような気がしないでもないんだけど…
「よーし!!! では続けて、第二審査の方に移ります!!!! 次は歌唱力勝負…ぶっちゃけ、カラオケ大会でぇぇぇぇぇぇぇぇぇす!!! 今回はくじ引きで順番を決めるので、出場者の皆さんはステージ上にカモン!!!!!!」
みなみんの合図に合わせて、まず舞台袖からテーブルと箱を持ったスタッフが現れる。ステージの中央へそれが配置されると、続けて出場者が同じく袖から現れて、横一列にズラリと並ぶ。
沙羅さんの様子は…取り敢えず今は大丈夫そうかな?
「それでは、順番に箱からカードを引いて下さいね~」
エントリーナンバー順に一人ずつ箱へ手を伸ばし、引いたカードをみなみんがその都度確認していく。
全員が終わり、ステージのバックスクリーンに表示された順番は…
「薩川先輩は、そのまま9番目ですね!」
「お母さんは3番目です」
「あの女がラストかぁ…いいのか悪いのか」
くじ引きの結果、真由美さんが3番手、沙羅さんは変わらず9番目。
そして何が嬉しいのかよくわからんが、ドヤ顔で沙羅さんを見ているタカピー女がトリ…と。
ちなみに、沙羅さんはそれをガン無視して、さっきから俺を見てニコニコしております。
はぁ…もうすっごく可愛い…
「歌う順番はスクリーンに表示された通りでぇぇぇぇす!!! それでは準備をしますので、出場者の皆さんは一旦舞台袖へお願いします!!!!」
こちらにこっそりと手を振って、舞台袖に捌けていく沙羅さん。ちなみに真由美さんは、袖付近で立ち止まり、多分俺に何かをしようとして…沙羅さんに引き摺られていく。
「沙羅ちゃん、酷いわぁぁぁぁ」という声が聞こえて来たような、そうでもないような?
真由美さんも、相変わらずですねぇ…
……………
………
…
「はい、ありがとうございましたぁぁぁぁぁ!!!! それでは会場の皆さん、今一度、大きな拍手を!!!!!!」
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!
二人目の出場者が歌い終わり、客席から温かい拍手が溢れる。
先程まで熱唱されていた歌は最近の曲で…つまり、歌番組を全く見ない俺にとっては、「取り敢えず聞いたことがあるかもしれない?」くらいのもの。
これを乗り遅れだ何だと言われようと、興味がないんだから仕方ない。
「流石に、これだけの人前で歌うのは緊張するだろうね」
「私だったら絶対に無理だよ」
「まぁ…音程がアレなのも、この状況じゃ仕方ないかな?」
「何を偉そうに…って、夏海は何気に歌が上手いのよね」
「ふふん、カラオケにはちょっと自信があるよ」
確かに、以前カラオケをやったときに聞いた夏海先輩の歌は普通に上手かった。それこそ、俺達の中で一番上手いと言えるくらいには…何と言うか「歌い慣れている」といった感じで。
でも、やっぱり新しい曲や流行りの歌が多いので、同じ"ノリ"になれないのがちょっとネックだったり。
俺の歌?
それは聞かない約束だ。
「どうでもいいけど、知らない歌ばかりだとつまらない」
「あー…花子さんはねぇ」
皆さんの予想通り(?)、花子さんはアニソン100%の人なので、これはこれで俺的に合わせ難かったりする。
多少古いアニメなら俺も少しくらい分かるけど、最近のアニメは全然見てないのよね…
「一成、今度時間があるときにカラオケへ行く」
「それはつまり、俺に付き合えと?」
「おおおっと、そんな楽しそうな話、私を抜きにされたら困るよ?」
「何々、まさかカラオケ行くのに、この私を置いて行こうなんて言わないよね?」
カラオケと聞いて、早速目の色を変えるお祭り好き…もとい、立川さんと夏海先輩。
食い付きが早いぞ。
「雄二、今度はあんたも参加しなさいよ?」
「…正直、カラオケはあまり得意じゃ…」
「へぇ…それを聞いたらますます参加させたくなったわ」
「うぐっ…お手柔らかに」
ニヤリとイヤらしい笑みを見せる夏海先輩に、雄二はガクリと項垂れる。
あいつは本当にカラオケが…これを俺が言うなと突っ込まれるのは百も承知だが、雄二は歌がとにかく駄目なので、初めてアレを聞いたら多分驚く。
「速人くんはどうする?」
「満里奈さんが参加するなら、もちろん参加するよ?」
「えっ…わ、私は…その、皆と一緒に楽しいことをしたいし…あ、もちろん速人くんもだよ!?」
「うん、それなら俺達も参加しよっか」
こっちの二人も相変わらずなようで。
何と言うか、この二組は分かり易いくらいに特色が出るので、見ていて対比が面白い。
「あー、はいはい…私がセッティングすればいいんでしょ? ええ、ええ、分かっていますよ」
「西川さん…お互いに頑張りましょうね…色々と」
そして最後に…触らぬ神(西川さん)と立川さんに祟りなし…と。
でもこれは純粋に親友として、二人にも良い人が現れてくれることを願わずにはいられない。俺は本当に心からそう思ってる。
皆が幸せになれるのなら、こんなに素敵なことはないから。
「さぁぁぁ、皆さんお待たせしました!!! 次に登場するのは勿論あの人!!!!!! 早くもミスコン開催前の順位予想を大きく狂わせているダークホース!!!! まゆさんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇす!!!」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
真由美さんの名前が出るや否や、客席からひと際大きな歓声が上がる。みなみんの紹介に間を置かず登場した真由美さんは、少し小走りでスタスタとスタンドマイクに駆け寄り、客席に向けてペコリとお辞儀をした。
「お母さんは、カラオケどうなんでしょうか?」
「うーん…何となくだけど、下手に歌うイメージが浮かばないね」
俺も真由美さんの歌は聞いたことがないので、そこは確かに気になる部分ではある。
とは言え、立川さんの言う通り、そもそも真由美さんが「下手に歌う」姿を想像できないことも事実な訳で。
♪~
♪~
スピーカーから流れ出した曲は、歌に疎い俺でもイントロだけで分かるような名曲。
一時期、TVCMなどでもよく使われていたので、サビくらいなら俺でも歌うことが出来る。
ただ、これは男性歌手の歌なので、真由美さんはキーを変えて歌うつもりのようで…俺は原曲キー以外、歌えない人間だから、それだけでも凄いと思えてしまう。
「♪~ ♪~」
っ!?
おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
真由美さんが歌い出すと、客席からは、早くも大きなどよめきが起きる。
何故って、もうこの時点で、既に上手いのがハッキリと分かってしまうくらいのレベルだから。
これはある意味で予想通りとは言え、真由美さん凄すぎるぞ!?
本当に何でも出来る人なんだな…スペックが高すぎ!!
「うわぁ…これは薩川先輩、厳しいかも」
「お母さん、凄いですねぇ」
「あー…負けたわ」
「夏海より上手いわね」
皆も一様に驚いているが、これだけ上手ければそれも当然。
俺だって、これがイメージ通りで納得の展開だとしても、衝撃であることに変わりはないし。
沙羅さんはこれを知っていたんだろうか?
「♪~」
軽やかに、全く無理を感じさせず、真由美さんの歌う姿には余裕すら伺える。音程の良さも然ることながら、高音を出す際に「無理矢理声を絞り出しています!」といった聞き苦しさを感じさせないのが特に凄い。
上手く言えないが、聞いていて"安心感"のようなものを感じるというか。
「♪~」
「♪~」
名曲なだけのこともあり、周囲の観客から、真由美さんと一緒に歌を口ずさむ声が聞こえてくる。そして間奏になれば、その都度大きな歓声が上がる。
真由美さんはそれに対して特に反応を示さないものの、その表情からは、こういう状況に慣れているような…
♪~
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!
真由美さんが歌い終わると、客席から第一審査を越える程の、大歓声と拍手が沸き起こる。
ピーピーという口笛や、そこかしこからの「まゆさん」コール、それは文字通り雨あられといった様相で。
「はい!!! ありがとうございましたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! いやぁ、これは本当に凄い!!!! プロ顔負けの歌唱力は、もう見事としか言い様がありませんねぇぇぇぇぇ!!!」
「んふふ~、ありがと! 歌はちょっとだけ自信があるのよ~」
「いやいや、これ"ちょっと"ってレベルじゃないですから!!! みなみんも思わず感動しちゃいましたよ!!! 客席のみんなもそうだよね!!!???」
みなみんの問いかけに、客席からもう一度大きな拍手と歓声が上がる。
真由美さんは笑顔を浮かべてお辞儀をしながら…最後に何故か、俺へ向かってピースを…
いやいや、それ目立っちゃうから。
「…なぁ…あれって、真由美ちゃんじゃないのか?」
「…お前もそう思ったか? 俺もさっきの草笛で気になったんだけどよ…あれ確か、真由美ちゃんが昔ミスコンで…」
「…他の連中にRAINしてみるわ。同じクラスだったやつらも来てる筈だし」
!?
今、真由美さんの名前が聞こえたような…?
でも周囲を見回したところで、相変わらず人垣が凄くてどこから聞こえてきたのか分からず。
「どうやら、真由美さんを知っている人達がいるようですね」
「学祭にOBが居ても不思議はない。寧ろ全く居ない方がおかしい」
西川さんと花子さんもあの会話が聞こえていたのか、俺の顔を見ながら小声で話しかけてくる。つまりあれは、俺の聞き間違えでは無かったってこと。
とは言え…
「まぁ、例えそうだとしても、別にバレたところで問題はないよ。真由美さんだって優勝するつもりで参加してる訳じゃないし、俺の計画も変わらないから」
もうここまで来たら、真由美さんの正体がバレようとなんだろうと関係ない。ミスコンが中止になることは有り得ないし、最悪、真由美さんが失格になっても沙羅さんへの課題は継続される筈。
つまり、やることは何一つ変わらないってこと。
「そうですね。まぁ客席で少し騒がれるくらいなら問題ないでしょう」
「全体にバレたら、違う意味で騒ぎになるかも」
「花子さん、それフラグ…」
特に問題ないとは思うが、この後に控えていることに影響が出るのだけは勘弁して欲しい。
だから、不吉なことを言わないで下さいよ…
……………
………
…
「はい、ありがとうございましたぁぁぁぁぁぁ!!!!」
パチパチパチパチパチパチ!!!!
これで8人目の参加者が歌い終わり、次はいよいよ沙羅さんの番。
真由美さんの歌が飛び抜けて上手かったこともあり、ここまでの出場者は多少上手くてもイマイチ盛り上がりに欠けてしまうという、ちょっと可愛そうな状況だった。
特に真由美さんの歌で盛り上がり過ぎた直後の人は、ある意味で一際可哀想かも。
「さて、次は薩川先輩ですね…」
「沙羅の歌はねぇ…決して悪くはないんだけど」
「嫁の歌は違う意味で味があるから、この状況では逆にいいかも」
花子さんの言う通り、沙羅さんの歌には上手いとか下手とか、そういう要素とは別の独特な良さがある。沙羅さん自身が持っている雰囲気と合間って、「微笑ましさ」や「和み」といった、真由美さんと全く違う何かを感じさせる。
それが観客に上手く刺されば、或いは…いや、別に観客にウケる必要は全く無いんだけど、真由美さんとの勝負を考えるとね。
「薩川先輩、何を歌うんでしょうか?」
「童謡のレパートリーが多いのは知ってるけど、ここでそれはないだろうね」
「となると…」
「アレ…かしら?」
「多分、そうだと思います」
もともと歌うつもりがあったのかさえ分からない沙羅さんが、この場面で咄嗟に歌える曲となれば…恐らく"アレ"しかない。
でもラッキーなことに、ここまでで出たアニソンは、流行りの曲が一つだけだったから。
「さぁぁ、どんどん行きましょぉぉぉぉぉ!!! 次は皆さんお待ちかね!!!!!!!! 第一審査では予想外の特技を披露してくれた、凛華高校の誇る麗しきスーパーヒロイン!!!! 薩川沙羅さんの登場でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇす!!!!!!」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
「薩川さぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
「女神さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「沙羅ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
ますます高まっている客席の歓声をBGMに…全くそれを意に介した様子もなく、ごく普通にスタスタと歩いて登場する沙羅さん。
相変わらず笑顔も無ければ、特に気負った感じもない。
但し客席が騒げば騒ぐほど、沙羅さんは冷淡になり笑わなくなるという逆現象だけは確か。
ペコリ…
スタンドマイクの後ろに立ち、沙羅さんが丁寧にお辞儀をすると…
そのタイミングに合わせて、スピーカーから曲のイントロが流れ出す。それは童謡ではないものの、実に子供向けとして好まれそうな可愛い曲調で、粉うことなき"あの名作"アニメの主題歌。
予想通り、以前、カラオケで沙羅さんが歌ったアレが始まった。
葉っぱの傘が目に浮かぶ…
「♪~」
決して上手いという訳でもなく、ましてプロ顔負けだった真由美さんと比べてしまえば、歌唱力の差は歴然。
それでも沙羅さんの歌には、やはり歌唱力とは別の「何か」を強く感じさせ、聞いていると穏やかで優しい気持ちになれる。
きっと皆も、この歌を聞いている他の連中も、同じように感じているだろうから。
「♪~」
「「「♪~」」」
そんな和やかな雰囲気の中、突然ダダダダダっと、最前列組の前にある空きスペースに駆け込んでくる小さな集団…何故か大勢の子供達が走り込んでくる。
躍るように飛び跳ねながら、満面の笑みで歌うその声は、まるで沙羅さんの歌を彩るコーラスのようにも聞こえて。
するとその中の一人…女の子がこちらを振り向き、俺の姿を見て嬉しそうに笑顔を…って、未央ちゃん!?
「おにぃぃぃぃちゃぁぁぁん!!」
区画の仕切りになってるバーをヒョイとくぐり抜けて、俺に抱き付く…と見せかけた、ミサイルタックルを仕掛けてくる未央ちゃん。当然それは予測通りの行動なので、両手で受け止めてから、いつも通りに右腕で抱え込むように抱っこしてしまう。
「♪~」
「♪~」
俺の顔を見て嬉しそうに笑いながら、未央ちゃんは大きな声で続きを歌い始める。
そんな笑顔につられて、俺も同じように歌い始めれば…未央ちゃんが満面の笑みを見せて、ステージの方に視線を向ける。
その視線の先を追えば勿論…俺と未央ちゃんを見ながら、眩しい笑顔で楽しそうに歌っている沙羅さんの姿。
「♪~」
「♪~」
歌がサビに入り、子供達の声が更に大きくなる。ステージ上の据え置きマイクがその声を拾っているので、スピーカーからは、沙羅さんと子供達による合唱のような楽しい歌声が流れ出す。
未央ちゃんもそれに負けじと大声で歌い、ときおり俺の顔を見ながら嬉しそうに笑顔を見せる。
沙羅さんと、子供達と、未央ちゃんと、俺。
その幸せな合唱に、俺もいつの間にか夢中になっていて…
不意にステージ奥のスクリーンを見ると、そこには今、目の前で歌っている子供達の姿と、俺に抱っこされて歌っている未央ちゃん…オマケに俺!?
いつの間に来ていたのか、よく見れば子供達の向こう側にカメラを持ったスタッフが居て、様子を撮影していたらしい。
そしてステージの袖には、こちらを見ながら同じく楽しそうに歌っている真由美さんの姿。
俺が見ていることに気付き、大きく手を振ってくれた。
「♪~」
「♪~」
でもそんな楽しい時間は、あっという間に過ぎていき…
最後にキャラクターの名前を何度も繰り返すパートに入り、曲が徐々にフェードアウトしていく。
やがて完全に音が消えて演奏が終わると、笑顔の沙羅さんがペコリとお辞儀を…それはきっと、子供達に。
すると…
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
パパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!
客席から信じられない程の凄まじい歓声と拍手が沸き起こり、さすがの沙羅さんも少し驚いたように観客の方へ目を向ける。
俺も同じく周囲を見ると、夏海先輩や西川さん…皆が、俺と未央ちゃんを優しい眼差しで見つめていて…
いや、それだけじゃない。
俺達のスペースを確保してくれているスーツ組の方々、更にはその向こうにいる周囲の観客まで、一様に俺達の方を微笑ましそうに見ながら拍手をしてくれている。
えっと…これひょっとしなくても、俺まで…
「ふふ、照れなくてもいいではありませんか。高梨さん、とても素敵でしたよ?」
「パパ…もとい、高梨くん、やるねぇ!!」
「一成のいいところがアピールできて、ちょうど良かった。一石二鳥」
これは俺を揶揄したり、からかっている訳じゃないってことは勿論分かっているんだ…分かっているんだけど!!!
それでも、自分の行動を冷静に振り返ってみると…
うおおおおおおおお、恥ずかしいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!
思いっきりスクリーンで中継されてたよな!!!!???
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ、これまた盛大に盛り上がりましたねぇぇぇぇぇ。子供達の登場もサプライズ過ぎて驚いたけど、客席のみんなも大合唱だったし、思わず大興奮しちゃったよ!!!! 何てこと言いながら、みなみんも一緒に歌ってたけどねぇぇぇぇぇ!!!!」
その言葉の通り、みなみんも興奮しているようで…しゃべり声が若干弾み気味。
そんな様子に客席から笑いが溢れる。
「いやいやいや、それにしても、薩川さんの歌のチョイスも然ることながら…最前列にいる副会長さんもニクい演出しますねぇぇぇぇ。まさか子供を抱っこしながら仲良く合唱するなんて…笑顔も素敵でしたし、あの姿は女子にポイント高いですよ!!!!」
「ちょっ…!?」
あぁぁぁぁぁ、お願いしますから、俺を弄らないで下さい!!
こういうの慣れてないんですよぉぉぉぉ!!
「深澤さん…」
「深澤じゃなくて、みなみんっ!!!!!!! と言うか分かってますよ!! もう余計なこと言わないから、物騒な目で私を見ないで下さい!!!」
俺を弄りネタにしたとみるや、沙羅さんが瞬間的に鋭い視線でみなみんを射抜く。
どれだけご機嫌な様子でも、俺のことだけは絶対に譲らないのが沙羅さんであり…やっぱりそれを嬉しいと思ってしまうのが、俺の本音。
「んじゃ、話を戻しますね!!! 正直に言うと、さっきに続いて今回もかなり予想外だったんですが…選曲の理由を聞いてもいいですか!?」
「理由ですか? そもそも私は、カラオケをやったことが殆ど無いので、こういうときに歌う曲の持ち合わせが全く無いんですよ。童謡なら色々歌えますけど…でもこのアニメは私も大好きなので、歌もしっかり覚えていましたからね。なので、逆にこれしかなかったと言うべきでしょうか?」
「ほぉぉぉ、成る程ぉぉぉ!! でも童謡なら色々歌えるって、それもやっぱり、お手玉と一緒で子供達と遊ぶためですか?」
「そうですね、確かにそれが一番大きな理由です」
「う~~ん、流石は嫁にしたい女子No.1です!!!!! 美人で家庭的で子供好き、実にあざと…いや、冗談です。それと、そのすっごく嫌そうな顔も止めて下さい。理由は分かってますけど、それ絶対に言わないで下さいね!?」
またか…
以前の校内放送を聞いたときも気になったが、一次審査の意味深発言といい今回といい…取り敢えず、みなみんが、俺と沙羅さんのことを知っているのはほぼ間違いない。
それ自体は別に問題ないとしても…
二人の間に、何かしら約束みたいなものがあるようなので、それがどうしても気になってしまう。
沙羅さんにとって、何か不都合な約束でなければいいんだけど…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ちょっと久しぶりに、泊りで友人と遊びに出ていたので間が開いてしまいました。
という訳で、第二審査も終わり・・・え、あと一人いる?
勘違いでは?(ぉ
次回はそのままこの続きと・・・また時間が飛ぶかもしれませんw
そして最終審査の開始になります・・・が、ここからは私も展開の順番を決めかねているので、変動があるかもしれません。
ではまた次回に。
P.S. HJの小説大賞は、分かっていましたけどやはりダメでした。でも約50作品まで絞られて残ったことは自分でも軌跡だと思っていましたし、今後もそういうコンテスト系には応募していこうと思っています。カクヨムコンの情報も出ていますし・・・もうあれから一年経ったんですね。時間が経つのは早いです。
あ、いつの間にか、ブクマが7000の大台を越えてました。
ありがとうございます。
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