第104話 水着を選びに行こう
プールチケットがペアで2組…
沙羅先輩の女神力(?)を改めて見てしまった。
自分達で2回行くことも考えたけど、沙羅先輩が夏海先輩を誘いたいという要望を取り入れて、お互い友人を誘うことにした。
そこで問題なのは、俺は雄二と速人のどちらを誘うべきかということだ。
本当はどちらかを選ぶようなことはしたくないんだけど…
夏海先輩が来るとなると、速人を誘ってあげるべきじゃないかとは思う。
友達として、そのくらいの援護はしてあげてもいいのではないだろうか。
だけど、いい機会だから雄二に沙羅先輩を紹介したいという気持ちもある。それに俺が引っ越したせいであまり遊べていないから、そう言う意味でも…
「プールへ遊びに行くなんて久し振りです。一成さんと…夏海と…私と…ふふ、一緒に遊べるんですね!」
沙羅先輩にしては珍しく、はしゃぐように満面の笑みで喜んでいる。
二人きりでプールデートというのも捨てがたいとは思ったが、最近はいつも二人なんだしたまには友達も一緒に楽しく遊ぶというのも悪くないだろう。
現に沙羅先輩は喜んでいるし。
「一成さん、私の我が儘を聞いて頂きありがとうございます。」
「いや、全然我が儘じゃないです。俺も楽しみですから。」
はしゃいでいた沙羅先輩が、不意にイタズラっぽい表情になった。
何だろうか?
「ところで、私は遊びに行く水着を持っておりません。ですから…一成さんに選んで頂きたいです。宜しくお願い致しますね?」
えええ、それはまた難易度の高い依頼だ
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という訳で、今日は約束通り水着を買いに行くことになった…が
「いやー、マリンガーデンプールに行けるなんて沙羅様様だね! いつか行きたいとは思ってたけど、まさか無料で行けるなんて。」
上機嫌の夏海先輩が騒いでいる。
…おかしい、沙羅先輩の水着を買いに行くだけじゃなかったのか?
「そこまで喜んで貰えると誘った甲斐がありますね。私も楽しみなのですが」
「せっかくリゾートプールなんて行くんだから、私も新しい水着で行きたいし。」
どうやら沙羅先輩が新しい水着を買うと聞いて触発されたらしい。
それは構わないが…まさか夏海先輩まで選ぶのに付き合えとか言わないよな?
「高梨くんのセンスに期待してるわよ」
…二人で選んで欲しいかも。
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「これどう?」
「あの…はしたないと言いますか、これは人前で着れるようなものでは…」
夏海先輩が持っている水着は極めて実用性がなさそうというか、隠す面積含めてアピールし過ぎな代物だった。
というか、俺としても先輩にこんな水着で人前を歩かせるなど冗談ではない
「でもほら、高梨くんが喜ぶかもしれないし。」
「いや、俺は沙羅先輩にこんな水着で人前に出て欲しくないです。というか俺が嫌です。」
「一成さん…」
沙羅先輩が嬉しそうにこちらを見た。
よくよく考えてみれば、正直普通の水着でも他の男に見せたくないかも…
「二人きりなら見たいんじゃない?」
こんな隠す面積が少ない水着を沙羅先輩が…
先輩は身体のラインが出るような服をあまり着ないので分かりにくいのだが、実はかなりのスタイルの持ち主だ。
もしこんな水着で目の前に立たれたら、俺は色々とヤバいだろうな
「…鼻の下伸びてるから何を考えてるのかすぐわかるんだけど。まぁ高梨くんも健全な男子ってことで。」
「一成さんの……えっち」
沙羅先輩が顔を朱くして恥ずかしそうに呟いた。
…ちょっとショックかも
「沙羅、高梨くんだって男の子なんだから、それくらい許してあげなって」
俺がショックを受けたことに気付いたのか、夏海先輩がフォローに回る。
沙羅先輩も気付いたのか、少し慌てた様子で俺に近付いてくると真横に寄り添うようにしながら俺の頭を撫でてきた。
「も、申し訳ございません。あの…つい言ってしまったのですが、私は一成さんだけでしたら、その、恥ずかしいですけど…私は…」
そう言いながらどんどん顔が朱くなっていく沙羅先輩だが、それでも俺の頭を撫でるのは止める気がないらしい。
「い、いや、俺はあんなのより、もっと可愛い水着を着た沙羅先輩を見せて欲しいです…本当は他の男に見せたくないんですが…」
「あら〜、高梨くんも独占欲強いタイプなのね。」
夏海先輩がからかうようにそう言った。
うぐ…やっぱ独占欲強いとひかれちゃうかなぁ
思わず本音が出てしまい失敗したと思ったのだが、沙羅先輩は逆に嬉しそうだ
「一成さん…もし一成さんがお嫌なら、私は水着の上に何か」
「いやいや、リゾートプールで水着を隠すとかあり得ないでしょ」
夏海先輩が至極当然なことを言った。
俺だっていくらなんでも水着を隠せなんて言う気はないぞ。
「私は一成さんがそう仰るのなら、水着を隠してプールへ行くくらい何でもありませんよ?」
さも当然とばかりに沙羅先輩が反論した。
これは迂闊なことが言えないな
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