第65話 会議再開
「さて、少し休憩時間が延びてしまったが再開しよう。」
生徒会長が仕切り直すように発言した
会議用の長机を2列に並べて配置されており、会長と先輩はいわゆるお誕生日席になっている。その先輩の横に椅子を出して、俺が座る形だ
「では、生徒希望枠の競技内容の選定を行います。アンケート結果のリストを出して下さい」
横にいる先輩が進行を開始した。
凛としていて、キリッとした格好いい先輩だ。
以前、体育館の壇上で生徒会からの連絡事項を演説していたときの先輩も、こんな感じだった。
「以上の理由から、現時点で候補になる競技はこの3種だと考えます」
生徒の要望枠なんてあるのか…
ん? アンケート?
あ、何かあったような…興味なくて適当に書いたような気がする。ごめんなさい…
「全員参加は正直難しいとなれば、選抜メンバーで行える競技にするべきじゃないでしょうか?」
さっきまでの雰囲気を感じない、極めて真面目な話し合いが行われている。
正直、俺がこの場にいても役に立てるとは思わないし、逆に迷惑になってしまいそうで不安に思えてくる。
打ち合わせの進行は沙羅先輩がしているようで、意見も必然的に沙羅先輩に向いてしまうようだ。
「ーーではないでしょうか?見ている生徒も楽しめると思いますし」
役員の一人が発言している。
俺も聞いてはいるが、つい沙羅先輩に見とれてしまい、先輩がこちらをチラリとみたので思わず目が合ってしまった。
先輩が先程までのキリッとした表情を崩して、いつも俺に見せてくれる柔らかい笑顔を見せてくれた。
…思わず赤くなってしまった
「そうですね。確かに選抜メンバーだけでなく、観戦している生徒も楽しめるという意味では私も良いのでないかと思いますよ」
!!!!!
なんか、他の役員が驚愕の表情を浮かべた
生徒会長だけが笑っているのだが…
「えっと、ではこの仮装リレーでいいのでしょうか?」
意見を挙げた役員が、戸惑いながら全員に確認をとる。
なぜ戸惑っているのかわからないけど…
「私は賛成しますよ。要望枠である以上、生徒全体で楽しめるということも重要だと思いますから。」
沙羅先輩が、柔らかい表情のまま賛同したのに続き、全員が賛成した為に決定したようだ。
終始驚いた表情を浮かべている役員達と、対照的に笑顔の先輩が印象的な打ち合わせだった。
でも結構あっさり決まったな。
俺も楽しそうだと思う…あのクラスではダメだろうが。
そして今は、軽く連絡事項のような話し合いをしている
「副会長、この前の目安箱なんですけど、取りあえずできる範囲で判別はしたんですが」
「ありがとうございます。では、私の方で最終チェックをしておきますね。」
!!!!!
いや、だから何でまた全員驚愕の表情なんだ
「…なに、今日の薩川さん」
「…話がすんなり通りすぎて怖い」
「…いや、いつもこうなら色々助かる」
「…やっぱり薩川さんは女神様だったんだよ、これが真の薩川さんだよ」
「…なんで急にそれが現れたのか考えると悔しい」
生徒会長は相変わらずニヤニヤしてるし、あれは何かを企んでるのか?
他の連中もヒソヒソしていて変だし
「さて、今日の議題はこれで終了だ。みんなお疲れ様。」
会長が、全員を見回すようにしながら、まとめの台詞を話し始めた
「すまないが、高梨くんに相談があるんだ。でもみんなも関係があるから聞いていて欲しい。」
どうやら、例の相談がやっと聞けるようだ。
でも全員に関係があるとはどういうことだ?
「会長、先に言っておきますが、もし高梨さんへの相談が看過できない内容だった場合…」
先輩が、不穏な空気を漂わせながら生徒会長に釘を刺した。みんな顔を青くしているような
「だ、大丈夫だからそんな圧力をかけないでくれ。怖いからさっさと本題を言うが、高梨くん、生徒会に入ってくれないだろうか?」
「え?」
会長から予想外すぎる一言が出た
生徒会に入る? 俺が?
沙羅先輩も驚いた顔をしているし、他の連中も鳩が豆鉄砲を食ったような状態になっている
「俺が…ですか? いや、予想外というか、なぜ俺に」
「理由はいくつかあるんだが、君には薩川さんの補佐を頼みたいんだ。正直、薩川さんには色々と仕事が集中してしまうことが多くてね。君なら薩川さんのことをわかっているだろうから、様子を見てフォローすることも難しくないと思う。」
確かに、沙羅先輩が忙しいであろうことは、様子を見ていて何となくわかった。
多分、自分から仕事を抱えてしまうのだろう。
もし、俺がそれを少しでも軽くしてあげられるなら断る理由はないと思う
先輩は驚いたような、戸惑っているような、迷った表情をしている。
先輩の性格を考えれば、素直にそれを頼むなんてできないだろう。
「他の役員からの連絡を、高梨くんが一旦受けてくれれば、薩川さんの様子を見ながら適時伝えて貰うだけでも負担は変わるだろう」
!!!!!
「会長、私は賛成です!」
「高梨さん、ぜひ生徒会に入りませんか!」
「薩川さんが大変だから、フォロー要員は急募なんです」
「高梨くん…君なら…くっ、薩川さんを支えてやってくれ」
なぜか、他の連中まで乗り気になったようだ。
次々に賛同の言葉を投げ掛けてくる
正直なところ、理由どうあれこうやって俺を受け入れてくれるのは嬉しかったりする
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます