第46話 家庭科
「ふう…美味しかった…」
あー満足だ。
実は新しいお弁当箱は今までのより大きいので、沙羅先輩が少し多めに詰めてくれたのがありがたい。
「お粗末様でした。少し詰めすぎかと思いましたが、大丈夫のようですね?」
「先輩のご飯なら多くても余裕です。」
「凄い勢いだったね。まぁあんなに美味しそうに食べてくれたら作る方も嬉しいと言うか。」
「はい、作り甲斐があって嬉しいですよ。」
当然俺も嬉しい
「うーん、私が作ったらどんな感想が聞けるのか興味あるなぁ…ねぇ高梨くん、やっぱ今度、私の作ったおべ…」
「高梨さんのお弁当は私がお作りすると前にお話ししましたが?」
「ゴメンナサイ、ナンデモアリマセン」
うーん…今日も平和なランチタイムだ…
さて、水やりをしよう
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5時限目は家庭科で、裁縫の授業となっています。
ちなみに私は、裁縫は手縫いもミシンも一通りこなせていると思います。
自分で勉強もしましたし…
自由課題ということで、私は手縫いで刺し子の巾着を作っております。
以前お祖母ちゃんから教わったのですが、作りごたえがあるので挑戦してみました。
時間はかかりますが、楽しいですね。
ちなみに夏海は枕カバーを作っているようです。
「いや、しかし沙羅は凄いことしてるよねぇ。器用なのはわかったけど、そこまでしてそれどうするの?」
「もちろん何かを入れることに使用するつもりですよ。まだ決めていませんが。」
「料理も含めて家庭科スキルは完璧だし、沙羅は女子力の塊だよね」
「ホントだよねぇ。薩川さんて苦手なことあるの?」
同じ班の女子がいますので、会話に交じって来ました。
いえ、さすがにこのくらいは私も普通に対応しますよ
「もちろんありますよ。特に私は人当たりが…」
「沙羅はそっちが致命的だよね。まぁひょっとしたら少しは改善されるかもしれないし、今後に期待ってところかな」
「?どういう意味でしょうか?」
よくわからないことを言われましたね。
「そうなんだ?でも薩川さんの女子力の高さなら、その気になればその辺の男子なんてイチコロよね。」
「興味もない男性を相手にするつもりはありませんので。私が何かして差し上げるなら、高な……あ…」
そうです、高梨さんです。
この袋は高梨さん用にしましょう。
巾着を少し作り直して、高梨さんのお弁当箱を入れる袋にすればいいではありませんか。
そう思うと、俄然、製作意欲が湧いてきました。
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「これはまた高梨くんのことで何か思い付いちゃった顔だね…」
「夏海ちゃん、高梨くんって…」
しまった、つい口に出してしまった
まぁ全く知らない訳じゃないし、少しくらいいいかな。
「あ〜、ほらこの前クラスのコミュニティRAINで触れたでしょ?例の一年生の男子のことは迂闊に話題に出すなって」
「あ〜、あれがその高梨くんって男子のことなんだね」
「高梨さんがどうかなさいましたか?」
おお、いつの間に再起動してたのかしら。
相変わらす食い付きが鋭いわね。
「い、いや、沙羅が高梨くんのことで何か思い付いたのかなって話をしてただけ。その過程で高梨くんのことを少し説明しただけよ。」
「うん、知ってたけど名前までは知らなかったからね」
「そうでしたか。いえ、この巾着の使い道が決まったと思っただけなのですよ。」
ふぅ…勘ぐられずに済んだか…
「そうなんだ。そのまま使うの?」
「いえ、少し手直しが必要になりますね。では、私は早速作業に入りますので」
どうやら使い道が決まって、一気にやる気が出ちゃったかな。
「その彼は薩川さんとどういう関係なの?」
名前を出すと反応される可能性があることに気付いたみたいね。
「唯一の男友達ね。まだ沙羅自身が男子そのものに馴れなくて、過剰反応しちゃってるけど。」
「そうなんだ。でも薩川さんに男子の友達とか、ちょっと信じられないかも。」
まぁ、今までの沙羅を見ていればそう思うのは当然だよね。私も最初は信じられなかったし。
「あ!教室で男子のシャツを拭いていたのもその彼の物なんだよね?……友達?」
「友達よ。沙羅がこの前クラスで怒ったときにも、友人だって言ったでしょ?」
「そういえばそうだっけ?友達なのかぁ…」
若干納得いってない感じかな。
まぁ友達と言うにはちょっと過剰だもんね。
…ところで、今日は私以外でも、いつもより対応がマイルドだったわね。
高梨くんと仲良くなったことで、普段の沙羅にも少し変化が出てきたのかな?
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