第40話 知らないことが多いなら
高梨さんが、少し気落ちしているような感じがします。
確かに、言われてみれば今まで私自身のことをあまりお話していませんでした。
特に深い理由があった訳でもなく、学校での時間が楽しくて、それだけで満足していました。
なので、そういうお話を改めてする機会がなかっただけなのです。
それに、私も高梨さんの普段の生活や、お好きなことなど伺ったことがありませんでした。
これは不覚ですね
でも…こんな風に言って下さるということは、私のことをもっと知りたいと思って頂けているということですよね?
嬉しいです…
私も高梨さんのことをもっと知りたいです、教えて欲しいです…
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「高梨さん、私も、高梨さんがお友達になって下さってから、学校生活が楽しくてそのままに過ごしていました。でも、今のお話で、私も高梨さんの普段のことを知らずにいた自分に後悔を覚えました。」
そうだよ、俺だって先輩に普段のこととか話をしてないんだよな。
今の日常が楽しくて、それだけしか見えていなかった…
「せっかくこうして二人でお出かけしているのです。この後に時間を設けて、ゆっくりお話をしましょうね。お互いに、聞きたいことや知りたいことをお話しましょう。」
お互いを知ろうと、先輩が笑顔で伝えてくれる。
「…はい、俺もそうしたいです。」
「ふふ…」
先輩が嬉しそうに笑った。
良かった…
先輩も俺のことを知りたいと思ってくれていたことが嬉しかった
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「あの…俺は正直初めてみる光景ですが…」
「うん、何が言いたいのかよくわかるよ。私はしょっちゅう見てるから」
「あれ完全に二人の世界に入ってますよね?…店の中で堂々と見つめあってますし…周りからかなり注目されてますけど」
「三人で一緒にいても、私はよく置いていかれるね。もう馴れたけど。」
店の中でも関係ないだろうね。
今更だし。
「何を話しているのかわかりませんけど、あの空気を出せても本人達は友達なんですよね…」
あの二人を順調に理解しているようで助かるわ
「そこについてはさっきの話の通りよ。本人達が不思議に思わなければ全て普通の範囲なのよね。」
「はぁ…。というか、結局プレゼント決まったんですかね…」
うーん、もう少し近付かないと、会話がわからないよねぇ…
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せっかくお互いの話をしようということになったんだから、プレゼントはそれを聞いてからでもいいじゃないか。
何か思い付く話があるかもしれないし。
「先輩、混む前にお昼を食べませんか?」
「そうですね、確かにこの後の時間は混むでしょうから…あの、宜しければ、先程のお話のこともありますし、オープンテラスのカフェがありますのでそちらで軽く食べながらお話しませんか?」
「はい、そこにしましょう」
店を出てカフェに向かう。
途中、ブティックのエリアを通過する
何気なく眺めながら歩いていると、今日の先輩が着ているような可愛らしい服装をメインで扱う店があった。
通路から見えるマネキンも、店員も、今日の先輩のような服だ…
!?
あれは…第一候補にしよう
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カフェでサンド系のパンとドリンクを注文して、オープンテラスの一角に座る。
「では頂きましょうか?」
「そうですね。」
俺はローストビーフのサンド、先輩はサラダチキンとトマトのサンドにした。
正直、多分足りないだろうなとは思うけど、2〜3個も注文する訳にはいかないしな…
「こんなお洒落なところで昼食にするのは初めてですよ。男同士だと、ラーメンとかで適当に済ませちゃうんで。」
「私は、夏海が結構色々な場所を調べてくるので、基本的にはお任せしてますね。」
意図していた訳じゃないけど、話の流れがちょうどいい方向に向いたから、このまま少し話をしてみようかな
「なるほど、先輩はお休みの日はよく出かけるんですか?」
「夏海がよく誘ってくれるので、特に何かを買うわけでもないですが、ゆっくりウィンドウショッピングをすることはありますね。」
「そうなんですね、何か趣味的なことを家でやったりするんですか?」
「趣味と言えるようなことは…本を読むのは好きですが、趣味と呼べるのもではないと思います。予定がないときは、家事をしたり、勉強をしたり…たまにですが、お祖母ちゃんの家…神社の方の手伝いもしますね。」
なるほど。
神社は結構やることがあって忙しそうな気もする。
俺のイメージだと、休日の先輩は、紅茶を飲みながら読書って安易なイメージだったけど、家事や手伝いか…
お弁当があんなに美味いんだから料理も得意だろうし、先輩はかなり家庭的な人なんだろうな。
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