第37話 初デートと追跡者

日曜日。


今俺は駅前で沙羅先輩を待っている。

ちなみに待ち合わせ時間までまだ30分以上ある。


こういうときは男が先に待つものっていうのもあるけど…

沙羅先輩が独りで待っていたらナンパ狙いのやつらが群がるに決まってるからな。


だから先輩を待たせる訳には……


!!??…………………か…か…


「おはようございます、高梨さん。お待たせしてしまいましたか?」


「……………」


「?どうかなさいましたか?」


白いフリルのついた可愛いシャツと胸元のリボン…ふんわりとした紺の膝下丈スカートに白のニーソ………いわゆる童貞を殺す服というやつである


そして少し恥ずかしそうな表情がまた…


可愛すぎる!!俺が死んじゃう!!なんでこんなに可愛いの!?沙羅先輩可愛いいい……??先輩の顔がどんどん赤くなって?


「あの…とても嬉しいのですが、そんなに…その、可愛いと連呼されますと、私も…恥ずかしいと言いますか…」


あ、声に出てたわ


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くっ…うひ…我慢我慢…今笑ったら気付かれる!!

我ながら完璧なコーディネート!


高梨くんは沙羅を美人というより可愛いと思っているみたいだから、沙羅の容姿+可愛い服装だと、あざといと言われようとコレだ(笑)


大当たりすぎて心の声だだ漏れとか…笑ったらダメ!!


はぁはぁ…いやー、スタートから楽しませてくれたわ。


さて、どうやってついていこうか…

実際のところ、こそこそついていったら周りから怪しまれて通報されかれないしなぁ…


…おや?あれは…


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どうやら間に合ったみたいだな。

しかし一成はあんなキャラだったか?

どんなラブコメだよ…


まぁキャラという意味では、あの女の人もかなりイメージが違うな。

この前見たときはキツいイメージだったが…


改めて見るとかなり可愛い人だな。

普通に考えたら一成じゃ無理だと言いたいが、聞いている限りだとむしろ…


いや、あの服装だってどう考えても一成を意識してるんだろうから、これはチャンスがあるんじゃないか?


問題は…どうやってついていこうか…

…ん?あれは…?


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「ゴホン、すみません沙羅先輩、騒いでしまいまして。」


「いえ、その、高梨さんに褒めて頂けたのですから、とても嬉しいですよ?少々恥ずかしかったですが…」


やっぱモロに声に出してたか…

だってこんなに可愛いの反則だよ


「…改めて、おはようございます。散々騒いでしまいましたが、その服とてもお似合いです…その、とても可愛いです!」


言えた!というか言いたかった!

頑張った俺


「ありがとうございます。その、今までこんな服を着たことないので不安だったのですが…」


そうだよな、真面目な沙羅先輩の性格的に、こんな狙った服装を単に選ぶとは思えないが…


「あ、そうなんですか?いえ、正直に言って毎日見たいくらいです。」


「ふふ…そこまで言って頂けて嬉しいです。でしたら、今後は高梨さんとお出かけするときはこういう感じの服装にした方が宜しいですか?」


今後…これからもこんな風に俺と出かけてくれるってことだよな。

先輩が行きたいところがあればどこでもついていくぞ。


「夏海にお礼を言わなければなりませんね。高梨さんは、こういう服を着れば絶対に喜ぶとコーディネートしてくれましたから。」


…なるほど、それでか……夏海先輩の笑い声が聞こえた気がした…

でもグッジョブだから許す


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「こんにちは、この前会った高梨くんのお友達だよね?」


「こんにちは、やっぱりそうでしたか。あのときは殆ど会話らしい会話をしなかったですが。」


勘違いじゃなくて良かった。

この前はお互いあまりいい印象じゃなかったけど、この感じだと高梨くん経由で話が通じてるのかな。


「ところで、何故ここに?」


「んー、それは私も聞きたいかな?」


「「………」」


これはもしかして…

向こうも気付いたみたいね。


「「ふふふ…」」


「どうやら同じ目的みたいだね。」

「そうみたいですね。」 


「それなら、協力できそうかな?」

「はい、一人だとついていくのに怪しまれるかなと思ってたんで。」


同じ事考えてたみたいだね。

なら答えは一つしかないかな


「「一緒に行きましょう」」


思わぬ協力者が現れた。

これで追跡しやすくなったかな


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「では沙羅先輩、早速行きましょうか」


「はい、そうですね。では向かいましょうか」


今日はショッピングモールに行くと先輩には連絡してある。

駅から10分くらい歩くだけだから、結構近いのも助かるんだよな。


しかし、横を歩く先輩の神々しさは凄まじいな…

片っ端から男の視線を引き付けてるぞ…女連れは怒られてるなあれ。


まぁ今日の沙羅先輩の可愛さで、見るなと言う方が無理だよなぁ。

もともと清楚な雰囲気の沙羅先輩は、こういう服装だとそれが一層引き立ってしまう


俺もまだ正直照れくさいというか…


おっと、とりあえず先に確認しとくこと忘れてた。


「先輩、今日は時間どうですか?予定とかあって早く終わった方がよさそうなら」


「いえ、今日は一日大丈夫ですよ。折角高梨さんとお出かけするのに、他の予定など入れたくありませんでしたから。」


よし、それならプレゼントを探す時間が取れそうだな。


「でしたら、買い物が終わったらもう少し付き合って頂いても大丈夫ですか?」


「はい、高梨さんについて参りますので、お好きな所へどうぞ。」


あとは、何としても良さそうなものを探すだけだな…

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