第27話 今頃、自己紹介

ピピピ…ピピピ…


ふぁ……よし…一発で起きれた

昨日はあの後、ゲームもマンガも全てやらずに寝たからな。


これなら時間は充分余裕がある。

やはり待ち合わせである以上、早めに行くのは常識だろう


洗面所で身だしなみを整えて…う〜ん…

毎朝の事とはいえ、鏡を見ると痛感してしまうが、俺はお世辞にも容姿が良いとは言えない


普通のカテゴリで収まればいいんだけど…こればっかりはどうにもならないから今更気にしないが。


さて、コンビニも寄る時間があるし、さっさと朝飯を食って行こう


…………………


待ち合わせのコンビニでおにぎりを買い、スマホの時間を見る

まだ約束の時間まで15分くらいあるか…


とりあえずスマホを見ながら時間を潰し、チョイチョイ周りを確認していると、5分くらいして先輩達が見えた

思っていたより早い、でもよかった先に来れて


「おはようございます、高梨さん。すみませんお待たせしてしまいましたか?」

「おはようございます、先輩。いえ、思ったより早く着いただけなんで、全然待ってないですよ。」


先輩の隣にいる女性も声をかけてきた


「おはよう!高梨くん」

「はい、おはようございます、夏…えーと」


何と呼べばいいのか悩んでしまった…


「先輩」だと、どっちを呼んだのかわからなくなってしまうかな…でもいきなり夏海さんは馴れ馴れしいし


「おっと、そうだよね、ちょうどいいから自己紹介しよっか。私は高梨くんをある程度知ってるけど、私のこと知らないだろうし」


「すみません、先輩のご友人だということは知ってるんですが」


「高梨さん、紹介が遅くなりまして申し訳ございません。こちらは私の友人で、夕月夏海さんと言います。私は夏海と呼んでいます」


「もう何度か会ってるし、少し話もしたけど、改めて初めまして、夕月夏海です。宜しくね?高梨くん」


「初めまして、高梨一成です。夕月先輩…で宜しいですか」


今まで何となく「先輩の友人」って呼んでたからな…頭の中で


「う〜ん、それでもいいんだけどね。ただ、付き合いのある人からはだいたい夏海って呼ばれてるから、夕月って呼ばれると面識ない人から呼ばれてるみたいでなんか違和感があるんだよね。話し方も堅苦しいからもっと普通にしてくれていいし、夏海って呼んでくれていいよ?」


前に話をしたときも思ったけど、こうしてちゃんと話をしてみると結構取っつきやすいというか、人当たりがいい人だな。


「了解です。じゃあ夏海先輩でいいですかね?すみません今まで何度か会ってたのにちゃんと挨拶もしないで」


「いや、私も沙羅から聞いてて、ついつい知ってる感じで話をしちゃってたからさ」


俺も勢いで何となく会話してたんだよなぁ


「俺もなんかタイミングを逃したみたいな感じでした。あ、夏海先輩、遅くなりましたけど先日は屋上でありがとうございました。お陰で助かりました」


「あぁ、あのときは私も焦ったよ。嫌な予感がしたから、急いで大地を捕まえてさ。」


大地って、あのとき来たのは生徒会長だよな…生徒会長の名前ってなんだっけ…


「大地って…生徒会長ですか?」


「うん、上坂大地っていうんだよ?まぁ三年生だし、生徒会長ってことはわかっても名前までは覚えてないよね」


そうか、生徒会長は上坂大地っていうのか

でも名前呼び捨てなんて、結構仲がいいみたいだけど、まさか恋人…とか?


「あ、いけない、ここで立ち話してると遅くなっちゃう。歩きながら話そっか」


「はい、そうですね。では先輩、行きまし………先輩?」


そういえば、先輩が口を開いてない…

見るとニコニコしてるんだけど…なんか、雰囲気というか…後ろにゴゴゴゴって見えるような…ちょっと怖い…


「ん?沙羅?どうし……どうしたの?」


どうやら夏海先輩も気付いたみたいだ…


「いえ、何でもありませんよ?……なんでも」


いや、絶対に何でもないって感じじゃない

何?何か怒らせるようなことした?


「あの…先輩?本当に…俺が何かしちゃいましたか…?」


なんか、呼びかける度に不機嫌になってるような気がするんだけど…


「先輩?」

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