深夜の異世界
アリエッティ
チューニングオン
深夜1時
小宵もあの時間がやってくる..。
『ハイHighストロング!!
今夜も始まりました真夜中の大冒険!
異世界TENN sayッ!
パーソナリティのフランケンです!』
深夜ラジオ
フランケンの異世界TENN sayッ!
魔界と天界、そして一部の人間界に電波を引く知る人ぞ知るラジオ番組。
『いやぁ〜最近どう?
フランケンは熱くなってきて頭がショートしそうでさぁ。ま、ネジはしっかりしめてあるけどねー!
カラダは人造でも、トークは天然だから安心してね〜、早速コーナーいってみようかガシンガシン!』
軽快なトークで進行するコーナーは主にお悩み相談。リスナーから届いたメールに答えてアドバイスを施す。
『早速行こうか..とそうだ、このコーナーまだ名前が決まってないんだよね随分やってるのにさ〜、この際いいかな、ではお悩み聞かせてくれ〜!』
ラジオネーム 何となく生きてみた
私は最近友人に噛まれてゾンビになったのですが、顔色が悪く常に暗い印象を与えてしまいます。人に嫌な印象を与えずかつ人を喰べられる方法は何かないですか教えてください。
『ありがとう!
え、嫌な印象は与えたくないけど人は喰べたいんだな。これは中々難しいぞゾンビってのは皆悩むものなのか?
ずっと具合が悪いからな〜、顔色は仕方無いにしても食欲か。』
難航した悩みでも、フランケンはいつもアドバイスをくれる。必ず解決につながる助力をしてくれるのだ。
『病院で暴れるのはどうだろう?
みんな具合悪いからな〜、顔色も同じなんじゃないか?
あ、だけど喰べるのはナースにしておけ。患者だと同じ味がするぞ。
これで悩みは解決だな〜、次いくぞ』
ラジオネーム 空中浮遊
フランケンさんこんばんは、ペガサスです。お悩み相談なのですが私は直ぐにユニコーンに間違えられます。角が生えてるのがユニコーン、羽が生えているのがペガサス、間違えられる度に訂正するのですが流石に面倒になってきました。あと同僚や先輩に、飯屋で「馬刺し」を頼まれるのですが、別に馬では無いのでリアクションに困ってしまいます。どうすればペガサスだとわかってもらえるでしょうか?
『長文のメールありがとね〜、ペガサス問題か〜、これは深刻だよね〜。角がユニコーン、羽がペガサス、中にはケンタウロスっていう強者もいるからね〜。あとこの馬刺しの件は厄介だよね、馬じゃないもんね。気持ち分かるよ僕もね、「フランケンシュタイン」っていうんだけど、「実際はフランケンシュタインの人造人間」だからね、正式に呼んでくれる人はいないんだよ
根気よく言うしかないんだよね。
..なんか相談乗り切れてないよね?
ゴメンゴメン。だけど大丈夫、君だけじゃないよ、続いてのメールいくね』
ラジオネーム 夢は大魔王
フランケンさんこんばんは。
人生が上手くいかないので異世界に転生してレベル999の勇者になろうと思うのですがどう思いますか?
『やめとけ大魔王〜、転生する人多いけどね〜、レベル999になれるのなんて一握りだからさ〜。殆どがなんでもない村人で挫折するんだ、人生の方が簡単だぞ。どうしても人生が上手くいかないんだったらいい博士を紹介してやる、そこそこの人造人間になれるから。フランケンライフに興味はある?
敵も武器も無いから気楽だぞ〜。』
決して人を悪く言わず、多かれ少なかれ必ず助言を与える。これが時代に合っていると疲れたユーザーには軽い癒しとされている。
『続いていくぞ〜』
ラジオネーム 捥がれても天使
フランケンさん。私は最近まで天界に仕えていたのですが、御法度とされる聖槍を持ち出しオークションに掛け隠れて聖杯でハイボールを飲んでしまい堕天使となってしまいました。白く輝いていた羽は黒ずみ心なしか顔は暗い印象です。自分のやった事は反省していますが、これからどうやって心を保てばいいでしょうか?
『..聖槍をオークションに掛けて?
聖杯でハイボール、大胆な奴だな!
確かに聖槍売ってたら買いたくなるかもな、よく考えた〜結構売れたんだ?
ハイボールすすんだだろうな、そりゃ
...で悩みは、あ、そうか堕天使に堕ちたんだな。カッコいいな堕天使って、心を保つ方法か、もうわかってるだろ
聖杯でハイボール飲むんだよ。
でも聖槍いいな、まだ売ってるかな』
いいグラスは酒を上手くさせる。
そういう話を本で読んだことがあるらしい、フランケンは知識も豊富だ。
『え? あ〜そうなのか!
捥がれても天使は現役の天使のときもメール送ってくれてるの?
ありがとな〜、今度どっかで会ったらいい酒ご馳走してくれよ〜。勿論、グラスは聖杯でな〜』
思わぬヘビーリスナーにも的確な対応取りこぼしを逃さないフランケン。
『いやいや、今夜も悩みは尽きないなここで一曲聞いてくれ。
クレアボヤンスで「cheat」どうぞ』
スマートな曲紹介もお手の物、ここで毎回ガチャガチャと雑音が響くが頭のネジを締めている音だ。
『テケテケテケテケえ、何?
テケテケテケテケえ、フランケンだよ
テン、テケテン、テケテケテンテン!
..そうそう、フランケンだよ。』
『さぁ、異世界TENN sayッ!
やってますけどね、そろそろ飽きたかなあのジングル。撮り直さなきゃね』
ラジオネーム 九尾の七本目
フランケンさんいつ終わりですか?
今日はいつもより早いって聞いたんですけど。
『あ、そ〜なんですよ。今日はね、人間界の政治中継っていうので30分繰り上げて放送します。大事な事を決める会議らしいけど、コッチにまで響くんだね〜。なのでいつものコーナーはお休みさせていただくよごめんね〜。』
「街の気にナルディスマルク」
良くある出来事や不可解だけど目にするものを紹介して貰う、特にリスナーが腕を振るうコーナーだ。
『代わりに僕の最近あった出来事を伝えるよ、コンビニで商品を買うときに店員さんがやりやすいようにバーコードを上にしてレジに出すんだけど、少し丁寧な人だったのかな?
全部纏めてわからなくしちゃったんだ
それを防ぐ為にやってたのにね〜!』
フランケンはコンビニで律儀にカゴを使う。見えるようにカゴに置く。
『さぁという訳でそろそろお時間ですね、なんか変な感じだね今日は。簡単に終わってしまいますけどまた来週はね30分多く、というよりまぁ通常通りなんですけどやりますから!
今日はこのへんで、ババババーイ!』
風のように流れふわっと消えていく。
終わる頃には朝日が準備をし、鶏が目を擦る。
フランケンの異世界TENN sayッ!
毎週火曜深夜1時から放送中。
深夜の異世界 アリエッティ @56513
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます