応援コメント

第8話 決戦は紫苑色(後編)」への応援コメント

  • 今回の後編もとても楽しく読ませていただきました。

    とても印象に残ったのはやはり、千雨さんと絵美理さんとのやりとりです。
    筆を持って絵美理さんのところに接近することができた段階で、『呪い絵の力を削ぐ』という目的であれば絵美里さんと言葉をかわす必要はなかったはずです。

    でも、千雨さんは絵美里さんの名前を呼んだ。
    それは千雨さんは絵美里さんの気持ちが、絵美里さんがどうして人間になりたいのかを理解できたからなんですよね。

    絵美里さんに人間の命の儚さ、絵画との違いを説明した。
    もしかすると、そのことで千雨さんは逆上した絵美里さんに傷つけられてしまっていたかもしれません(例え憑代さんが護ってくれたとしても)

    それでも千雨さんは言葉を続けて……千雨さんの言葉は、絵美里さんに現実を見せた。見せてくれたのだと思います。

    絵美里さんに話をした場合と、話をせずにすぐに筆で手を加えたときと、結果は同じだったかもしれませんが、その過程は大きく違ったのだろうなと思います。


    現実を、人間を、バルテレモンとエメリナを理解することなく呪い絵を『処理』していたら、最後の、絵美里さんが二人に……男性と金糸の髪の女性に再会して、光の中に導かれることはなかったのだろうなと思うと、
    千雨さんが『ありがとう』と言われることはなかったのだろうと思うと、

    千雨さんがこの決戦の場所に来たことは、呪い絵との戦いに勝つ、ということだけでない、大きな意味があったのだと思います。
    憑代さんにとっても。

    上手く言えませんが、千雨さんが絵美里さんをただ倒そう、ただ手を加えようとしたのではなく、
    正面から向き合った上で、絵美里さんの心に手を伸ばしたことは、同じ呪い絵である『紅玉の瞳の子』……憑代さんにとっても、大きな影響(もちろん良い意味で)を与えてくれたのかな、なんて思いました。



    ほんとうにすばらしいお話をありがとうございました。
    最終話も楽しみです。

    作者からの返信

    お返事が遅れてしまい、申し訳ありません。
    今回も嬉しいコメントをありがとうございます。

    このシーン、最初は普通に絵美里を封印する方向の展開も考えました。
    ですが、そうするとなんだか千雨らしくないな……と感じ、なら千雨ならどうするかを考えた結果、今の展開に繋がりました。
    ある意味では、絵美里と同じ時間を過ごし、彼女を人間として認識していたことがある千雨だからこそできた選択でもあるのかなと思っています。

    最終話も文字数が長めなので、お時間があるときにでもお楽しみいただけたら幸いです。
    こちらこそ、ありがとうございました。