第4話 役職開示のお時間です。



世界の勇者、次期魔王候補。


そんな役職は、俺には荷が重すぎる。


もし選ばれたのが須藤だったなら進んで魔王になったのだろうか?

世界の勇者という役職を素直に受け取れるのだろうか?

クラスメイト達に打ち明けるのだろうか?


まず世界なんて救えるのか?


一晩中考えては見たけれど、全くといっていいほど答えは出てこなかった。



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「....」


朝食の時間、今日は個室ではなく広間のようなところで食べると知らされて広間に来たはいいが、既にグループの出来上がっているクラスメイト達の様子に俺はげんなりする。

やめてくれよ、これじゃあ教室と違ってぼっちが目立つじゃないか!

まぁ一番端の席に座るからあまり気にしてないですけどね?別に会話相手とか欲しくないし???

待ってこれ凄く虚しいじゃん、止めよ。


「おや、皆さんお揃いのご様子。....初めまして。私はマリナ王女様直属メイドを務めております、リリエラと申します。本日は昨日集計いたしました皆様の役職についての話をしようかと思いまして。あぁいや、食事は続けていただいて結構ですので、耳だけ傾けておいてください。では、発表いたします」



「スドウ様の役職は勇者。役職自体の能力補正もありますし基本は力が強いと言えます。パラメーターも平均的にA+が揃っていて万能型といえるでしょう。


アキバ様の役職は賢者。魔力寄りのパラメーターのようですね、魔法適正次第では本物の賢者となれると思います。


クラキ様の役職は騎士。元々の運動技能がよろしかったと窺えるパラメーターですね。


続いてサキヌマ様。役職は闇魔法師、クラスチェンジでは闇魔導師になれますので強くなれますよ。パラメーターは平均型の魔力寄りといったところでしょうか。

ナツキ様の役職は....魔導師ですか、最初から魔導師とは素晴らしい。魔力も豊富ですね。


シイナ様の役職は聖女、回りを癒すことを得意とする浄化専門の魔導師です。鍛練次第では人を蘇らせることが出来るという伝承があります。精神力がお強いようで。


ノミヤ様の役職は暗殺者。暗殺者といっても役職としては弓や銃器、もしくはナイフなどの軽量な短距離武器の扱いが長けているということなので安心してください。俊敏が高いですね。前衛でも後衛でも活躍できそうです。


最後にヤナギ様、役職は錬金術師。物の採掘や錬成に長けています。パラメーターは幸運が強いとのことで、珍しい鉱石を見つけることが出来るでしょう。

それではこれで役職の開示を終了致しますが、質問などがあれば今どうぞ。」



俺たちのクラスは32人、そのうちこの場に召喚されたのは俺含め11人。

8人分の役職しか開示されていないがその辺りはどういうことだろう?

それに、俺の役職が変更されているし役職開示の許可を出した記憶はない。

またお姉さんが何かしたのか。


「ああ、いい忘れておりましたがナミノ様、ハヤミ様、ハタマ様の3名は開示を拒否されましたので開示をしておりません。ご了承ください。」


開示を拒否なんて出来たのか。

拒否する理由も気にはなるが話しかけるほどの仲では無いので止めておこうと思う。どうせ他の奴が興味本意で聞くだろうし。


あ、忘れてた。

名前だけ聞いても誰が誰か分からないだろう。そんなみんなに、俺が微量に偏見を混ぜたメタメタ人物紹介をしようと思う。


須藤勇人すどうはやと、勇者。

前にも言ったが、本当に善意の塊。優しさで出来てるんじゃないかと思うくらい誰にでも優しいし、自分に出来ることは最大限に頑張って人を助ける。

勇者ってのも頷けるな。あと顔がいい。


秋庭孝哉あきばこうや、賢者。

クラスに一人はいそうな眼鏡の学級委員。雰囲気通りの真面目な奴で、よく先生に頼まれごとをしているのを見かける。

昔、本の話をしたことがある気がしないでもない。


倉木要くらきかなめ、騎士。

人生を文武両道ではなく武力に全振りしてしまった頭はあまりよくない体育会系イケメン。爽やか。こいつは嫌いじゃないタイプの体育会系だ。


鷺沼拓斗さきぬまたくと、闇魔法師。

一見暗そうな雰囲気だが話してみれば明るく気さくな奴だった。ような気がする。まぁ成績も顔も悪くないし、話も面白いため浮いてはない。


夏生三奈子なつきみなこ、魔導師。

正直全然話したことがないのだが、学年で有名。活発美少女というような印象を受ける見た目で、今も明るい笑顔で須藤や椎名と話している。見た目に反してインドアと聞いたこともある。詳細は不明。


椎名明莉しいなあかり、聖女。

めっっっっちゃ優しいスタイルのよさげな美人。須藤とはまた別の枠の優しさ。多分マイナスイオン纏って歩いてる。

1度話しかけられたことがあるがその時は変な声出た。


野宮鋭治のみやえいじ、暗殺者。

野宮は数少ない俺の腐れ縁の友人。ぼっちと言ったな?あれは嘘だ。....と言っても3日に一回話すかどうか、ぐらいの間柄。印象を言うなればバトルロワイヤル系統の競技などを好んでいた筈だ。


浪野なみの湍水はやみはギャルっぽくて近付いたことがないので関わりはないが、端間はたまは委員が一緒だから多少は話したことがある。あまり声は大きくないし、喋るところも中々見ないので物静かな文学少女といった印象。


改めてみると皆さんお顔がよろしいことで。

じゃねぇわ。

皆さん強そうだしそれっぽい役職の顔触れですね。

もう俺の元の役職と改変(?)された役職は墓まで持っていこうかな。正直な話、あんな物騒な役職よりも錬金術師になりたかった。ファンタジー鉱物漁りたい。

叶わなそうな夢だから願うこともしないけど、一旦状況も整理出来て事が落ち着いたら鉱物探しにでも出掛けようかなぁ。

元の世界に帰っても親族は居ないし、のんびり山んなかで暮らすのも楽しそうだ。

いっそスローライフ目指しちゃう?

チートは要らねぇからのんびりできる楽しそうな余生が欲しいところだ。切実に。

ラノベみたく上手く行かないだろうけど。



まぁ、そんなこんなで役職の開示と人物紹介もどきは終わった。

午後からはお姉さんによる講座だそうだ。少し楽しみ。






....因みに朝御飯はスコッチエッグとロールパンとその他諸々でした。すげぇうまいの。

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お姉さん、頑張る。~最強のお姉さんと世界の勇者。俺が魔王候補ってどういうことですかね?~ 逆膝枕 @hizamakura

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