第48話
「黄昏、ちーと来い」
現在、僕は船の共用スペースにいる。
前回星に降りた時は鬼ごっこ?をして終わったので、それ以外のことをしていないのだ。
折角何もない広い場所にいるのだから、それを有効活用しないわけがない。
「なんだ、戦争か?」
「船の中じゃ腕も鈍ると思ってな、外でやってこい。」
「!!良いのか?」
「人と船に当たらなければ」
「鎧を着てくる!」
何故か黄昏は宇宙服を鎧と呼ぶ。確かに鎧に見えなくもないかも知れないが...いや、全然見えないな。
数十年前のゴツい宇宙服ならまだしも、最近の宇宙服はスリムだからな。
時代を感じる(?)
ついでだし、あいつに特技を他の人にも伝授してもらおう。
第二の地球で役に立つかもしれない。
~再び船外~
だいたい20名程、暇そうな人を集めた。船の中じゃあみんな暇だろうと思う人もいるだろうが、それは違う。
今はまだ種類は少ないが、料理人や農作業、掃除などの仕事がある。
一応図書室もあるし、ゲームや漫画だってある。
テレビも、昔の番組だがアニメやドラマなんかもやっている。
食堂では午後3時〜5時の間、千寿が毎日日替わりお菓子を作っている。
僕にとっては正に天国なのだが、この間のスイーツ禁止令により僕はその2時間の間は食堂への出入り禁止になっている。
キャプテンは僕じゃなかったのか。
これだけあっても暇な人はいるもので、共用スペースに行くと暇そうにダラダラしている人が数十人いた。
なぜそれら全員ではなく、20人かと言うと人数が多すぎたらやりにくいからだ。
僕は的を倉庫から出し、黄昏から約20メートル程離れたところにたてる。
「黄昏!いつでも良いぞ!」
「ぬんっっっ!」
黄昏はそこら辺に転がっていた拳程のサイズしかない氷の塊を的をめがけて投げてきた。
その氷はガンッという音とともに的を破壊する。
それを見た暇人衆からは驚きの声。
たまたまではないことを証明するために30メートル、40メートルと離していきながら何回か繰り返す。
黄昏は投擲が異常な程に上手い。そこにアホのような視力も加わり、弓と互角に渡り合える程だ。
勿論、石なんかを投げるだけでも強いが、これを苦無なんかにしたらかなりの脅威では無いだろうか。
アイツが異常なほどに投擲が上手くなったのはその性格が一番深く関係している。
普通の頭をしていれば投擲を極めようなんて思わない。だが、どうやらアイツは投擲を極めれば悪の根源?を打ち取ることができると考えたらしい。
違う意味で頭お花畑だな。
「黄昏、今日はコイツ等にもその投擲技術を学んで貰おうと思ってる。そこで、だ。お前にしか頼めない重要な仕事がある。」
「なんだ」
「コイツ等にその技術を教えてやってくれ。お前ならできるな?」
「当然だ!それで悪の根源でも倒しに行くのか?」
「まず最初にお前の頭の病気を倒そうか」
なんですぐに
というか、アイツが悪の使徒なら根源倒しちゃったら黄昏消えるだろ。
僕は新しい的を3つ出し、取り敢えず5メートルくらいのところに設置する。
「そんじゃあ、適当に...そこの3人。名前は?」
「え、あっ!
「
「
最初の二人は兄妹だろうか?同じ柚だ。
三人目は楓か、椿と同じジャンルの名前だな。
男に楓なんてキャバ嬢の源氏名のような名前、似合わないと思うけど...なんだかコイツ、目鼻立ちは中性的だからあまり違和感がないな。
というか、これで孤狐楓とかだったら笑うしか無いな。
「そうだな...柚希、試しにあの的に投げてみろ」
そう言いながら僕はそこらに落ちていた拳ほどの氷の塊を渡す。
柚希は一度深く息を吸い込むと、勢いよくそれを的へと投げつけた。
氷の塊は見事に的に当たる。効果音が無いのが残念だ。
この的はかなり小さめで、得点のかいてある的の中心部分、その一つ外の部分ほどの大きさしか無い。
どうせなら的を破壊してほしかったが...そんなパワーはないか。
パワーはなくても『狙う』というのは結構できるようだ。
だが、これはまだたったの5メートル。黄昏の50メートルや60とは比べ物にもならない。まだ12分の1くらいだ。
まぁ、重力が小さいから簡単だろうが。地球の50メートルはここじゃ100や200に近いのではないだろうか。
いや、計算もしてないのに適当な事を言うのはやめておこう。
「上出来じょーでき。次、行きたい人〜」
「はぁいっっっ!私やりたいです!!」
「おー、じゃあ次柚夏。」
柚夏は満面の笑みで氷を拾うと、大きく腕を振り上げ、投げた。
氷は見事に真横へと飛ぶ。腕を真っ直ぐ振り下ろしたのに真横に飛ぶとは...ある意味すごい技術だと思う。
「凄いな、うん.....................次行こうか!楓」
「ちょっと待って!何さっきの間!?」
「気にすんな。」
「気になるよ!!」
「まぁまぁ、俺が投げ方教えてやるから」
柚希が柚夏を宥める。やんちゃな犬とその飼主...?
でも、柚夏はどちらかというと猫感があるな。
「え、ホント?」
「おー、あっちでやるか。」
「うん!!」
いや、あれは猫と飼い主というよりも仲のいい幼馴染のような感じだな。
って、このまま続けたら
「では、行きまぁす。」
「あぁ、すまんな。待たせちゃってたか」
「はぁっっ!」
楓の投げた氷は真っ直ぐと的に吸い寄せられるように飛んでゆき、見事に的を破壊した。
素晴らしいパワー。絶対にコイツと握手はしない。
「見事ー。おみそれしやした、楓パイセン。ヒャーー」
「あの......」
「冗談冗談。と、なんかこの三人は色々とおかしかったが、こんな感じで皆にも練習していって欲しい。黄昏も指導よろしくな」
「俺を誰だと思ってる!文影がいなければ俺は無敵だ!」
御影がいるから無敵じゃないのか。ていうか、アイツ黄昏になにかしたのだろうか。
........いや、少し考えてみると御影のことだ。黄昏を言葉でボコボコにしまくったんだろう。ご愁傷さまで。
これで皆黄昏の技術を身に着けてくれたらかなり強力な戦闘部隊になるのではないだろうか。
まぁ、第二の地球では主には狩りなんかに回ってもらうと思うが。
今日集めた奴の中に今回の騒動の犯人、もしくはその関係者がいるかも知れない。そう思ったが...犯人が暇そうにダラダラしているわけないか。
なんでも楽観的に見てしまうのが僕の悪い癖なのだが...治りそうに無いな、これは。
「十分散歩したところだし、そろそろ作業に戻るとするか」
そう、独り言を誰にともなく漏らすと、僕は船へと足を進めたのであった。
〜〜 後 書 き 〜〜
今回、『ゆずちゃんねる〜二人の「ゆず」のラジオ番組!?〜』より柚夏と柚希をお借りしてまいりました。夜月葵さん、ありがとうございました。
本当に少ししか出せていないので少し申し訳ない気持ちです。
ていうか、喋り方ってこんな感じであってるか?とか、こういう性格か?とか、こういう時だったらどんな行動を取りそうか、など考えている内に4連休最終日になっていました。
明日から色々始まる、そう考えると気持ちがドンヨリ重くなるのですが、宇界も
いや、冗談ですから。
夜月葵さん、W柚でおかしな点がありましたら遠慮なく教えて下さい。直しますので。
本当はあの二人は食堂で出そうと思っていたのですが、黄昏が言うことを聞いてくれませんでした。僕の両手が黄昏の言いなりとなり、最近出番の少なかった彼に出番を与える羽目になってしまったのです。
何言ってんだろ。
コホン......最後に一言。
長々とすみませんでしたぁぁあああっ!
そんじゃあ、また次回!
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