第34話
「ついたぞ!コントロールルーム!迷路みたいだったな!」
「それは勲君がひたすら角を曲がっていったからだよ......」
扉を勢いよく開いて入ってきたのは相変わらずピンピンしている勲と、ぐったりとした唯一だった。
どうやら勲に随分振り回されたらしい。
あいつは絶望的なほどに方向音痴、と言うか曲がり角を見たら曲がらずにはいられない謎人間だ。
「黄昏は?」
「見かけなかったよ。てっきりもう既にここに来ているかと...」
「いや」
あいつは気が付くとふらりと何処かへ行っていることが多いので勲達と一緒の可能性は低いのだが、やはり一緒ではなかったか。
方向音痴ではなかったはずだが、少し心配だな。物事をすぐ忘れる癖があるから迷っているかも知れない。
いや、そもそも違うものに気を取られ、ここに来るという事自体忘れているかも知れない。
「勲........いや、やっぱり僕が行ってくるから唯一はそこのメモ使ってナレーション頼―――」
「ハハハハハハハハハ!この俺が世界を救うべくこの
あ、来た。
これで主要メンバーは概ね揃った。王道は最近なんやら忙しい様だし、別にいいや。
輝羅々は主要メンバーではない、というか僕からするとただの厄介者だ。戦闘がおきない限りは。
戦闘の事となると、恐らくあいつは絶対的な切り札となりえるだろう。実際、あいつはあらゆる武術を極めてきた、言わば武においての天才だ。
輝羅々が暴れだしたら、止められる人間なんてほんの一握りほどしかいないだろう。
いや、この船にはいないかも知れないほどだ。
それ程に、あいつは若い衆の中では暖突で強いのだ。
あいつと一緒にいると一つ失言しただけで気が付くと背負投されてたりするから怖い。偶になにもないのにタックルされるし。
「キャプテン、真下へ来ましたがここからではあまり見えません。接近しますか?」
「そうだな、少しだけ近づいてくれ」
「了解」
徐々に木星のクリーム色の表面が近づいてくる。なんだかミルクティーのようだ。
「なぁ宇界、なんで土星の環はずっと輝いているんだ?普通なら汚れていくだろう!」
「!!」
やはり何かと鋭いな、勲は。馬鹿故の鋭さか?それならこの世に馬鹿は必須アイテムだな。
「それはだな、この土星の輪は氷でできているのは知っているな?」
「そうなのか!」
「いや、外見ろよ。氷の塊だらけだろ」
「本当だ!気づかなかった」
このコントロールルームの大きな窓の外に目もくれないで、コイツは一体何を見ていたんだ。
「それでだな、その氷がぶつかりまくっているから輝きを失わないんだ。」
「?」
「はぁ......汚れた氷と氷をぶつけると、砕けるだろう?その砕けた表面は汚れているか?」
「汚れている!」
「いや、何でそうなるんだよ。汚れてないに決まってんだろがアホ。削れてキレイな輝いている表面が出てくるだろ?」
「なるほど!なんどもぶつかって常に削れまくっているから輝きを失っていないんだな!」
「そーゆーこと。よく理解できまちたね、パチパチパチーっつーことで、ついでに土星の輪についてもう少し詳しく教えてやるよ。」
これは知っていたほうが面白いだろうしな。
「土星の輪にはすきまのような物があるだろう?まるで大きな環が2つあるような。」
「おう!」
「それの名前は『カッシーニの間隙』。カッシーニのおっさんが発見したからそういう名前がついている。すきまが5000キロくらいで一番大きいから望遠鏡なんかでも見えたりする。かなり有名だから覚えとけ。」
「ん?さっき一番大きいといったよな?じゃあ他にもあるのか?」
「勿論。土星の輪っつーのは無数の小さい環が集まってできたものなんだ。」
ようく見るとちゃんと見えるしな。地層のような色だからついつい化石無いかな〜なんて思ってしまうけど。
そう言えば、土星にも面白い謎があったな。確か...
「勲、唯一、黄昏、土星の北極にある『謎の六角形』って知ってるか?」
「「「え?」」」
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