第13話

 僕は激怒し.....てはいないが、走った。


 メロスのように友のために走っているのではなく、自分のために友を巻き添えにするべく走っているのだ。


 僕は決してカッコいい主人公でも、無謀な戦いに挑む事のできる勇者でも、白愛の賢者サマでもない。


 面倒くさいと思ったら逃げるのだ。


 ゲスだなんだと言われても良い。科学関係でなければ面倒事は御免だ。


 メスゴリラにシメられるのはもっと御免だがな。


 僕は十字路になっている通路を右に曲がる。一応これでもキャプテンだ。この船の構造はすべて頭に入っている。


 対してあのメスゴリラは迷えば追ってくることなど出来ない。おまけに、究極の方向音痴ときた。あぁ、僕は神に愛されているのだろうか?サボりの神に。恐らくだが努力の神には嫌われているだろう。努力は、あまりしないからな。


 僕は他と比べると一際大きい扉を開ける。


「勲!こいつの暴走を止めてくれ!」


「何がなんやら解らんが、わかった!」

 

「!!!貴様!新世宇界!今日こそ!!!」


 ここからもまた走るのか!?もう体力の限界なのだが。

 

 ...いや、良いこと思いついた。


「ちょっと待ったぁああ!王道!お前ちょっと来い!」


「??」


 普通に歩いてきた。素直ー


 僕はニヤリと笑い、そいつに一言。


「王道、お前今日からチャプテン代理な。」


「......は?」

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