第12話

 僕はスタンガン的なものを片手に、壁沿いを歩いている。

 

 万が一、王道なんかに絡まれたりしたら気絶させて逃げる為だ。


 まぁ、まず会わないってのがベストなんだが、今回はそういうわけには行かないのでな。


 今日は今後の方針を発表する。


 勿論、僕がキャプテンだって知られないように、だ。


 面倒事が増えるのは御免なんでな!



 僕は放送室へ移動する。


 放送室は僕がリクエスト、設計した部屋であり、面倒事から逃れるための道具がかなり入っている。


 ただ、一つ問題があり、僕の部屋と放送サボり室がほぼ真反対の位置にあるということだ。


 これは設計ミスとかそういう類のものではなく、ただ単にこの放送サボり室が後から加えたものなので、エンジンやらなんやらの結果、空いているスペースは僕の部屋の真反対の位置だということだ。


 

「あっれ〜??ウカイじゃん、おっひさ〜!」



 思わずスタンガンを当てそうになったが、ギリギリのところで寸止めすることが出来た。


 ...何でだろう、最近やたらと古い知り合いとの再会が多い気がするのだが。この船も小さいわけではないんだがな。


「何でこんなとこにいんだよ、輝羅々きらら


「お?アタシの名前覚えてくれちゃってたの〜??うっれしー!でもやっぱ意外〜!」

 

 こいつは僕の面倒ランキングでB判定のギャル様だ。極普通のギャルで、柔道、空手共に黒帯を持っている。テコンドーもできるらしいが詳しくは知らない。


 確かいくつか、と言うかかなり大会に出ては優勝していた気がする。


 最強ギャル、みたいな。


「アタシさー、今ファンの子に追いかけられちゃってんのよ、ちょっち助けて〜??」


「断る。自分でなんとかしろ」

 

「え〜〜!?即答って酷くなーい?アタシみたいなカワイイ女子を助けないとかどんな鬼畜よー」

 

「面倒事は御免だな。面倒事じゃなければいくらでも手は貸す。」


「遠回しに絶対に貸さないって言ってるじゃん!あーもー、久しぶりの運命の再会だと思ったのになー」


 それだけ言うと、とっとと走って何処かに行ってしまった。アイツの名前は威龍いりゅう輝羅々きらら、名字が怖そうで名前の響きが可愛らしいので笑ったら学校のプールに背負投されたのを覚えている。


 しばらくすると、キララが人が吹き飛ぶ勢いで戻ってきた。


「さっきアタシのカワイイ女子のところスルーしたよね!?はぁ、はぁ、はぁ」


「あー、反応してほしかったのか?ハッ!僕はオメーをカワイイとなんざ思ってねーよ。メスゴリラにカワイイも何もあるかってんだ。」


 あ、やばい。つい本音が出てしまった。


「と、言うのは冗談で、君は世界で一番美しい...」


「ウソつけゴルァアア!」


「だから可愛かねーんだよ!学習しろ!学習!」


 運動は中の上くらいで得意じゃねーんだよ!キララに追いつかれんのも時間の問題。最強ギャル相手じゃあ勝ち目はない。


 ここは急いで仲間を見つけなくては!


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る