King

第8話

「俺は!第二の地球で、これだけの人数をまとめ上げる優秀な指導者が必要だと思う!そこで!俺が!王になる!!」


 服の上からでも分かるような、武術大会の選手のような筋肉隆々の男、少年か?がテーブルの上に立って演説をしていた。


「.........はぁ?」


 今のメンバーだけでも面倒臭いのに、今度はもっと面倒くさそうなのが出た。

 黄昏と同レベじゃないか?

 

 こういうのは登場させなくて良いんだって。スポットライトを当ててやるな。


「あ、宇界クン!おかえりー!」


 どうやら千寿がこちらに気がついたようで、走ってくる。


「無事かーー!?宇界ーーー!?」


「フハハハハハ!俺が貴様を此処までガイドしてやったのだ。感謝しろ!」


「あ、お帰りなさい。」


 他の皆も走ってくる。このメンバー、キャラが濃いのは気のせいだろうか?漫画の世界でもあるまいし。唯一は相変わらずおっとりした感じでテンションが微妙に低い。


「あぁ。フツーに貰ってきた。とは言っても、許可はとってねーがな。」

 

「え、とってきてないの!?あ、でも宇界クンのお父さんのだから良いっか。じゃあ、早速修理始められるね!」


「あぁ」


 すると、先程の王様少年が口を開く。


「ちょっとまったぁーっ!」


「またねーよ、誰だテメー」


「お、俺は王道瑛王おうどう えいきだ!お前こそなんなんだ!何処にいっていた!?俺の縁説を聞かないとは!!おい――――」


 僕は王様少年がなんやら言っている間も天井まで飛んでゆき、道具を取り出して作業を始める。


 少々火花が散るかもしれない、と思ったが、そこは全力で散らないようにした。今は簡単作業しか出来ない。僕はあの鉄の板を、まぁ、塗りつけたようなものだ。


 後で外からもやっておいたほうが良いかもしれない。


「お・ま・え・は!な・に・を・し・て・い・る・ん・だ!!!」


 声が大きくて、耳がキィンキィンと痛い。勲並の声のデカさだ。この宇宙船、それなりに広いはずなんだけどなぁ。


「宇宙船直している。以上。」


 答えてやったほうが黙ると思い、答えたのだが......


「一般人に、しかも子供に宇宙船が治せるか!まず、壊れてなんかいないだろう!」


 むしろ逆効果だっただろうか?

 ここは彼奴等にふった方が早い、上に楽だろう。


「千寿、勲、唯一、説明。黄昏は黙っとけ。くれぐれも......あの事はバラすなよ。」


「分かってるって!宇界坊ちゃま。」


「あのこと?なんのことだ?」


「あーほら、宇界クンが〰〰〰〰だってこと。」


 千寿は声を潜めて言う。


「ん?隠す必要なんて無いと思うぞ!」


「でも、あの瑛王みたいな人が他にもいたら色々あって面倒になるじゃん?」


「そういう事か!」


 どうやら唯一は二人の会話についていけないようだ。頭の上にはてなが浮かんでいる。


 僕はあの、王道だったか?の相手を完全に彼奴等に任せ、修理作業を続ける。


 僕がキャプテンだと知られたくないのは面倒だからだ。本当に、あの父親は子供のことなんてちっとも分かってはいやしない。


 科学者だからて根気強いと思うなよ!僕は宇宙一の面倒くさがり屋だ!舐めんなよ!


「おい!お前、新世わかせ家の者だってな!」


 王道がまたなにか叫びだす。もう少し話を長く引きずってくれても良かったじゃないか。



 ......面倒くせー

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