第5話
暫く探すこと早20分。そろそろ時間がヤバい。本当に、何処に空いているんだ。空を仰ぐ様に天井を見上げると、ポツリと黒いシミのようなものがあった。僕は靴の磁石の電源をきる。
宇宙では当然浮く。だが、この激弱磁石の埋め込まれた靴を履いておけば床に埋め込まれた磁石と反応して普通に浮かずに立っていることができる。
僕は無重力―――というか、無磁石と言った方が正解か―――の状態になり、地面を蹴って天井まで近づく。
「......やっぱりな。」
そこには3センチ程の穴が空いていた。どんどん空気が逃げていく。僕はとりあえずその穴を指で抑え、ポケットからダクトテープとエポキシパテ―――知らない人はググりましょ―――を取り出す。
そうしてその穴をできる限り頑丈に塞いでやる。一応塞げたとはいっても、これはあくまで応急処置に過ぎない。
この宇宙船の倉庫から物を取り出すには一旦どこかに止まらないといけない。だが、この宇宙船のとまれる程の大きさの星などそうそう見つかりはしない。止まるとしたら何処かの衛星だろう。
そこで、一つひらめく。僕は急いで少年、千寿、黄昏、勲を集める。
「見つかったのかー!?」
「え、見つかったの?良かったじゃん!やったね!」
「フフフフフ.....俺がそのホールに秘められし闇の力を使ってお前を誘導してやったのだ、感謝するが良い!」
「よ、良かった...ね。」
僕の幼馴染たちのテンションに押され.....いや、あれは引いているのか。かなり物理的にも引いているな。
「あぁ。一応応急処置はしておいたが、ずっとあのままってのも安全ではないからな。宇宙では必ず、安全を優先しないといけねぇ。少しでも不安要素があればそれを取り除かないといけねーから、今からちょっち行ってくるわ。」
「「「「は?」」」」
「何をそんなに驚いてんだ。」
「え、そ、外に出るの?何で!?宇界坊ちゃまが何で?」
いつの間に坊ちゃまが戻ったんだ。今はまぁ良いや。
「決まってんだろ?あの親父のゴミ回収マシーンを分解して部品をもらってくる。」
「「「!?」」」
「え、え?ゴミ回収マシーン?」
少年だけ話について来れていないようだ。まぁ僕の親の事を知らないんだから当然といえば当然だが。
「そいつに説明は頼んだわ。ほんじゃ、ちょーっち行ってくる。」
「いやいやいや!今から買い物いってきま~す!みたいに言わないで、もし宇界クンが死んじゃったらどうすんの!?私達キャプテンいなくなっちゃうじゃん!」
「あ゛?僕が宇宙に行くの、これが初めてじゃねーの、知ってるだろ?」
「え?」
キョトンとしている。言っていなかっただろうか?勲達に言ったのは覚えているが、うん、千寿に言ってはいないかも知れない。
「夏休みの自由研究で宇宙旅してきたって書いてたぞ!」
「あぁ!そして未知なる世界でベルゼブブに
「自由研究で書きはしたけどよ、そんなん一言も言ってねーだろが。何で知ってんだ、そのネタ。少しは黙ってろ」
「聞いてないんだけど!!あ、でもなんか表彰されていた気がする。」
「あぁ、多分それな。」
「え?え?」
話についていけてない人が一人。まぁ、学校も違うから当然だが。
「と、言うことで安心しろ。そんな簡単に死にゃしねーよ。僕は自分が可愛いもんでな。つーことで説明ヨロシク。」
僕は不敵な笑みをうかべると、宇宙服を取りに別室へ歩いてゆく。
「えーと、まずは、私の名前は千寿。君の名前は?」
「
「「「動画ねーUtube?」」」
「何でそう聞こえんのさ」
「俺の名は勲、波動勲だ!よろしくな!」
「そして俺は全ての悪の根源。悪の使徒。お前には人間の方の名前だけ教えてやる。俺は黄金時黄昏!よろしかないぜ!」
「.........名前、凄くない?名前だけ輝いてるよ?あと、彼って......」
「「厨二病(だ!)(だよ〜!)」」
二人は、満面の笑みで答える。それに対して、銅金は、
「....だよね。」
と、苦笑いする他なかったのである。
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