第17話酒場でのやりとり

ある村が一瞬にして廃村になり──近辺の村や街が騒がしくなっていた。


ある街の賑わう酒場。

カウンター席で、老人との会話に顔色の悪い人間が笑みを張り付かせながらジョッキに唇を付け、酒を呑んでいた。


「お味はどうですかな?ドズニッド様」

「美味くねぇやっ!じゃあ~ビールは無理のようだぜ~ぇ、つくづくムカつくんだよぅ~っ!」

カウンターに拳を叩き付け、吐き捨てる《最悪》こと──ドズニッド。

「そうでしたか。どのようなお飲み物をご所望でしょう?」

老人は顎髭に手をやり、恭しく返しながらスープを啜る。

「その話しッ方ぁ~やめてくれねぇか、あの忌々しい顔がちらつくんだよ!」

「ははぁ~っ。仰せの──」

「ハッ!まあ、良い......あの野郎おんなは何処に──」

「あの者の居どころは存じておりません。存命かも......」

申し訳なく頭を下げた老人がぽりぽりと頭を掻く。

「知んねぇなら良いや。くれぇとこにブチ込まれた怨みを晴らせりゃあ、煮えくり返った腹ん中が収まるんだしよぉ~っ!」

「海底......の監獄ムショでしたか?確か......」

「そうだ......ありゃあ、苦痛だったよ。光りが届かず、暗闇で動けねぇんだぜ。身動き一つとれねぇほど拘束されてなぁ──」

《最悪》こと──ドズニッドは昔話を語り出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界の生活に夢を見ていた 闇野ゆかい @kouyann

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ