第16話戻らない左腕

俺が意識を取り戻し、一ヶ月が経過した。

一週間も生死を彷徨っていた、とのことだった。

俺の左腕──失った肘から指先は結局繋がらなかった。神経は無いような状態だ。注がれたマグナによって生成した水を出来損ないの腕のようにかたどることに成功した。


この理不尽な世界に来て、短い間に多くのモノを失っている。

監禁されたり、殺されそうな目に遭ったり、左腕を失ったり──と。

不幸が一変に重なって、俺の身に降り掛かってきた。


訳のわからない世界に飛ばされて......なのか知らないが、不幸のどん底に突き落とされ、これからいったい──どうなっていくのか不安でしかない。


不思議なもので、液体を凍らせた左腕といったことではなくスライムに寄せた液体といった腕が物体を掴めたり持ち運べたりできる。

要するにスライムの性質と液体の性質がまざりあう腕の形状だということだ。


名前も素性も謎の人物にこの世界の情勢がどうなっているか、マグナの操作についてなどの諸々をレクチャーしてもらった。



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