第73話 夢の国に決定


それから数日。

放課後に帰りの支度をしていたら雄介に遊園地のことを聞かれた。


「真尋はさ、絶叫系のランドより夢の国を希望だよな」


うん、そうだね。

絶叫系は楽しいけど何回も乗らなくていいかな。気持ち悪くなりそうだし。


「ずっと絶叫系は疲れるかな。普通の遊園地がいいかな。あんまり激しいと揺れるおっぱいとかゆっくり見れないし」

「お前は本当にぶれないな。おっぱいに対する情熱を俺は尊敬するぜ」


だって女性の象徴だし。

好物じゃない男の人なんていないはず。


「一応、夢の国で予定を立てている。真尋はいいか?」


むしろ夢の国しかないと思う。

待ち時間は長いけど、並んでいる列でいちゃいちゃするカップル。

さりげなくお尻にタッチとかいいよね。

僕は過度なスキンシップに期待だ。


「雄介は夢の国に行って誰か口説こうとしてるの?誰を狙っているの?僕は非常に気になる」

「うむ、気になる人は全員だ。むしろお前の女仲間なら誰でもいい位だ。みんな可愛いし、おっぱいもでかい。スタイル抜群の女しかいないじゃないか。だがな、それは現実的でない。すでに前川ハーレムが出来上がっているからだ」

「ないよ、そんなハーレム。もし本当のハーレムだったらウハウハだよ。とっくに童貞を捨ててるはずだよ」

「いやいやいやいや、お前いつでも捨てれるだろ?ひょっとしてビビリか?」

「ビビリのはずないじゃん。僕はおっぱいに妥協しない男だ。夢追い人なんだよ」

「まぁ、柳川さんとか狙ってみようかな。かわいいし。ハーレムの一員じゃないよな?セーフだよな?」

「柳川さんはハーレムじゃないよ。まぁ、頑張ってくれ。僕は手伝いもしないが邪魔もしない。すべてを雄介の力でもぎ取るんだ!雄介ならできる!雄介は完璧!雄介最高!雄介は史上最強の男だ!雄介のしぐさに女性はメロメロだ!」

「へへへ、そうか?よし、いっちょやったるかぁ」


とりあえず煽っておこう。

ノリノリな雄介は台風の目だ。僕も便乗して大騒ぎがしたい。いやっふぅぅぅ!

柳川さんと仲良くしたい、雄介vs忠の対決にも期待。


「みんなの意見を大きく纏めてから全員に連絡するからな。たぶん夢の国で決定だと思うけど、結果連絡のライン無視するなよ。いいか、ちゃんと連絡を確認するんだぞ。お前は言われなきゃラインの確認も忘れそうだし」


ぼくは、はーいと答えておいた。




その晩に雄介からグループラインがきた。


本田「それでは目的地夢の国で検討します。大雑把な計画だから詳細が決まったら連絡します」

本田「まず予定日は11月△△日(土)だ。朝6時半に駅前に集合」

本田「電車で夢の国に。オープン前に入り口に並ぶぞ」

本田「朝食は並んでるときに食べてくれ。つまりコンビニだな。入園後は混雑するライドに直行。そんな感じで午前中を遊ぶ。そして昼食って遊ぶ。晩飯食って遊んで帰る。つまり遊びまくりだ。以上」

稲川「何も決まってないよ!」

松木「想像以上に適当」

小島「まぁ、そうだよね。決めることあんまりないよね」

本田「そうだ。決めることあんまりないな」

江藤「柳川さんはこの予定で大丈夫?」

安藤「柳川さん、朝は私と駅に行こうよ」

大津「特に問題ないですかね」

柳川「平気です」

本田「淳一と彼女は平気か?」

木村「大丈夫でーす」

岡本「OK。理解」

本田「真尋は?」

小林「私もそれでいいよ」

本田「真尋いいか?宮原も」

宮原「朝、まーくん起こすの大変そう」

稲川「由香ちゃんの家に前泊する。一緒に起こすヨ!」

宮原「前泊OKだよ」

小林「あー、前日は用事あるなぁ。私も前泊したいけど無理かなぁ」

大津「私も前泊したいです」

宮原「言ってもらえれば前泊OKです」

本田「おい、真尋はどうした?」

宮原「自分の部屋にいると思う」

本田「ちっ、寝てるのか」

宮原「伝えておくよ」

本田「頼む。まぁ、明日再度伝える」



そんなやり取りがライン上であったようだ。

僕は部屋で優雅におっぱい本を見ていただけだ。

いきなり部屋に入ってきた由香にビックリした。

そして大事な本を没収された。

まだ全部読んでないのに。780円もしたのに。


「あの……その……本……返してほしいかな」

「パンツ上げて。早くズボンを着なさい」

「あ、はい」


その日、僕はもやもやした夜を過ごすことになった。

由香が帰ったら自家発電すればいい?

あいつずっと僕の部屋にいるんだよ。漫画とか読んじゃって。しかも全20巻のシリーズものを最初から。


「あの、嫌がらせですか?」

「漫画読んでるだけでしょ。文句ある?」

「文句も何も僕の部屋なんだぞ」

「知ってる」


由香は僕を無視して再び漫画を読み始める。

ちくせう。僕の熱い情熱は発散されないまま次の日を迎える事になった。




次の日。

学校に着いて教室に入ると雄介が僕の席にやってきた。


「おう、真尋。おはようさん。お前、昨日は何でラインに参加しなかったんだ?」

「ああ、ゴメン。僕は昨晩忙しかったんだ。色々あって僕はとても辛いんだ。何て言うか、色々こみ上げる情欲を内に秘めているんだよ。もう早く家に帰って一人になりたいんだよ」

「何かよくわからねーけど」

「全部、由香が悪い」

「ますますわかんねー。まぁ、いいや。夢の国に行くことになった。予定では13人の参加だ」

「え、13人!?」

「そう、13人だ。グループを通り越して団体様だ。男4人女9人だ」

「でも奇数。乗り物は基本偶数で乗るんじゃないの?余る人がでるよ」

「そこはお前が男を見せろ」


えー、せっかく女の子と密着して乗り物に乗るのに。あんな事やこんな事したいじゃないか。


「なぁ、真尋や。お前に一つ教えてやろう。乗り物に乗ってる時にエロい事はするなよ。係員がカメラで監視してるからな。盛ってる所を全部見られるぞ?」


え、パイタッチできないの?


「いたずら防止とか、客の安全の為にカメラでちゃんと見てるんだよ。俺はお前が捕まる所を見たくないからな」

「そんなエッチな事するわけないじゃん。せいぜいお尻触ったりおっぱい揉むだけだよ。夢の国で童貞なんて捨てないよ!」

「ちゃんと言っておかないとお前は心配だ。あと、小林とか稲川とかも心配だ」


遥は平気だろう。真紀は危ないかもしれない。

でもキスはいいんだよね?


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