夜中のコンビニという何気ない場面ですが、もし技術が進歩すればこうなってもおかしくはないと感じます。お金の話から経済、政治体制と進み、そこにロボットやAIをすらっと絡めた内容なので、非常に読みやすいです。普段はあれだけ仕事や済みたいと思うのに、いざ仕事をしなくなると寧ろ働かないと落ち着けないという矛盾。安全が保障されているのに、逆にスリルを味わいたくなる矛盾。人間の欲望は夢の社会を叶える原動力になる反面、どこまでも「ないものねだり」なんだなぁ……。
近未来考察系SFもの。キャッシュレス社会のその後を描いた未来予想的な作品。AIやベーシックインカムなど昨今ホットなワードを盛り込みつつ、加えて社会や政治につきまとうグダグダ感も相まって、さらにその先の未来を見透かした描写はなかなか刺激的で面白かったです。まさに現役の学者やSF考証を生業としている方が書いた未来予想本や空想科学本みたいな内容でした。あえて欲を言えばもう少しドラマ性が欲しかったですが、これがなかなか、SFとして面白い見解を見させていただきました。