第9話 大団円

 俺は王太子に返り咲いてアストリッドとは元鞘に収まった。弟のテオドールは王太子になるのが嫌だったらしくて、この決定に異を唱えたりはしなかった。なおテオドールは名前しか出てこない。国王なんて名前すら出てこない。

 変わったことと言えばアストリッドが俺にべったりでキス魔になった。この間までの跳ねっ返りは何だったのか?反抗期か?たぶん喧嘩したのがよかったんだと思うけど、あれで本性を曝け出してもらったんだな。アストリッドの本性は甘えん坊だった。


「アスト、ちょっとべたべたし過ぎじゃないか?」

「これぐらいが丁度いいの!べたべたしてれば他の女がクラウスに寄ってこないから!」

 俺達は学院の王族用ラウンジでお茶をキメている。ロッテさんがお茶を淹れ、ビアンカが護衛して、ミリアムは食うだけ。

「私もお茶に呼んでいただけて嬉しいです!」

「ああ、好きなだけ菓子食っていいぞ」

 ミリアムは魅了魔法の封印で友達がいなくなってしまったのと貴族令嬢達に恨まれているので俺達で保護している。


「クラウス様に聞いたんですけどお嬢様ってツンデレっていうんですって?」

 ロッテさんがアストリッドに内緒の話を暴露しだした。

「クラウス、ツンデレって何?」

「……ツンツンだったのがデレデレになることだよ。それを略してツンデレ」

「へぇ」

 俺は一番ダメージの少なそうな説明をした。

「ツンデレは可愛いけどひたすら面倒臭いとも言っておられましたな」

 ビアンカも便乗して暴露しだした。

「おい!ビアンカ!ロッテさん!君達は俺とアストの仲違いを狙っているのか?」

「いえ?私達はお嬢様の味方ですよ?」

「全て包み隠さず王太子妃殿下に報告しているだけでございます」

「なっ?!」

 じゃああれもこれも筒抜けだっていうのか!


「ひぇぇ、殿下が可哀想です」

 あぁ俺の味方はミリアムだけか。ミリアムはゲームだと聖女に覚醒するんだっけ。

「ミリアムさん、殿下に近づいちゃダメよ?私とミリアムさんは友達でしょ?ひょいっ!」

「あっ、そうでした!殿下ごめんなさい!パクッ!」

 ああっミリアムはアストリッドに餌付けされていたのか。でもアストリッドも丸くなったな。前はキンキンに怒鳴るぐらいミリアムを嫌ってたのに。


「クラウス、あ~んして」

「あ~ん……モグッ」

 アストリッドがクッキーを食べさせてくれた。心が満たされていく。俺こんな甘い生活してていいのかな。俺もお返しにアストリッドにクッキーを食わせようとする。

「はいアスト、あ~んして」

「あ、私はいいの。太るからダメ」

「……は?俺はアストのせいで太ってきてるんだけど?アストも太ろうぜ!」

「お嬢様の代わりに私が食べます!あ~ん!モグッ!」

「ロッテさんもやや太ってきたね。いや豊満というべきか」

「そうですね。男性が私の胸ばかり見てくるようになりましたね。ドヤァ」

 ロッテさんは巨乳を自慢気に仁王立ちしたらシャツのボタンが飛んで俺の顔にぶつかった。黒のブラジャーが見えた。

「キャッ、殿下見ましたか?見ましたね?」

 これは見てないと言っても見たことにされるパターンだろうし、ここは敢えて見たと言ってみるか?

「見た!」

「なんですって?!クラウスこっちに来なさい!」

 俺はアストリッドに呼ばれて部屋の隅まで来た。何だ、説教か?

「ほら、私のを見て上書きしなさい」

 な、なんと、アストリッドが服をはだけてブラジャーおっぱいを見せてくれた。でかい!

「また上書きしたくなったら私に言うのよ?」

「はっ、はいっ!」

 俺はつい敬礼してしまった。


「お嬢様、今殿下におっぱい見せてました?」

「ほほほ、まさかそんなわけないでしょ!ね?クラウス」

「お、おう!おっぱい!見てない!ぷるんぷるーん!」

 ついカタコトになってしまった。

「怪しいですねー。殿下、お嬢様のおっぱいは大きかったですか?」

「おう!デカパイ!ぷるんぷるーん!」

「ちょっと……クラウスが何言ってるかわからないわ。大丈夫?」

「これはお嬢様はデカパイだったと言ってるのではないですか?」

 デカパイ二人が乳を揺らして言い争っている。


 ああ俺は異世界に転生して良かったなぁ。おっぱい!




 完




 読んでいただきありがとうございました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

乙女ゲーのクソ王太子に転生した あんこくじだい @ankoku_jidai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ