第19話 涼花救わぬ真相

「邪魔者を…排除…?」


 何やら、物騒な言葉が出た。つまりは、この事件は一年前から涼花ひとりに遺産相続させるためだけに起こしたものだった、と言うことなのか。


「ガンを宣告されたとき、靜子が最も恐怖したのは涼花が独りになることでした」


 そしてついに、児玉さんが重い口を開いた。


「六園家の主要な財産を受け継ぐのは、当家の子女とされるのが伝統ですが、涼花は未成年ですし、実質上の保護者の大叔母さまも健康上の理由から、涼花の成年後見人になることを断られました。と、なると六園家の財産を管理するのはご兄弟、と言うことになりますが、ここにいる方々は家籠やごもり以外にも、流失してはいけない六園家の財産に、あまり関心がないようでした」


 児玉さんは明白に、靜子が謙三たちを全く信用していなかった、と言ったが、今さらそれに誰も反論する者はいなかった。


「そして、もちろん涼花の身の安全もあります。涼花が今の世界に入ってから現在まで、一成さんの会社から散々妨害を受けましたし、彼らに涼花を護る気がない、と言うのは、明白な意志として伝わり続けてきたのです。それに気づいたとき靜子は、これほど心細い気持ちになったことはないと、わたしに言っていました」



「待てよ。随分、一方的な物言いじゃねえか」

 あ、空気の読めない人が出た。さっきかたじっと押し黙っていた一成だ。

「あんたらは被害妄想なんじゃねえか?おれの会社が度々涼花の邪魔をしたって言うが、そんな証拠はねえだろ。むしろ邪魔してたのは靜子の旦那だ。…警察沙汰になるような事件起こして、よその女殺しかけて、しかもシャブ中だ、あんな男を選んだ靜子の自業自得だろ。身から出た錆って奴なんじゃねえのか?」


「乃木さんをそそのかしたのは一成社長、あなたでしょう。彼があの事件を起こした時、頻繁に夜遊びに誘っていたのはあなたでしたし、薬物中毒で死にかけた劇団員の女性は、あなたのプロダクションから紹介された人間だった」


「だったらどうした?ああ!?それ以上、おれが何したって証拠もねえだろうが!」


 涼花もこの男を疑っていたが、確かにその程度では、何も立証できない。だが九王沢さんが次に発した一言が、満座をどよめかせた。



「乃木さんに覚醒剤を渡したのは、あなたですね一成社長」

「何だとこのアマッ!」


 一成の怒号が響き渡ったが、そんなことでたじろぐ九王沢さんではない。


「あなたも土地開発の件で、義父の謙三さんの事業に一枚噛んでいると言う話は、父から聞きました。実は、買収を担当している子会社の経営内容が不自然で、昨年から当局の内偵が進められていたことを父に隠していましたね?いわゆるこれは、企業舎弟きぎょうしゃてい、暴力団のフロント企業の疑いがあります」


 なぜか児玉さんと頷き合うと、九王沢さんは話を続けた。


「征之助さん、この件はあなたが未公開株の密売で資金を得ようとしたところから、足がついたものです。警察の捜査は、強引な土地買収に絡んだ暴力団関係者にまで及んでいます。父は捜査関係者に全面的に協力し、資金を引き揚げることを決定したそうですよ?」

「げえっ」

 謙三が踏み潰されたヒキガエルみたいな悲鳴を上げたのは、そのときだった。

「兄さん、仕方なかったんだ。あれは…」

 あわてて弁解しようとする征之助を、謙三は問答無用で殴りつけた。

「仕方なかったもくそもあるか!なんてことしてくれたんだ、征之助!お前、わしに黙って足がつくような真似しおって!」

「うっ!うううううっうるさいっ!俺だって金が要るんだ!兄弟だからってさんざ買い叩いて、こき使いやがって!あんた一銭だって俺に美味い汁吸わせたことがあるかッ!?いい話持ってきたことなんてあるかッ!?」


 理性を喪った征之助は謙三に殴り返し、二人は、プロレスごっこをする小学生のように揉みあった。


 何たる醜い身内同士のつかみ合いである。ここへ来て、こんな嫌なものを目の当たりにさせられるとは、夢にも思わなかった。


 だがそれも長くは続かない。突然、二人の胸ポケットのスマホが一斉にバイブしだしたのだ。



「なっ、なんだ!?」

「家宅捜索のお知らせだと思います。あ、ちょうどテレビで中継が」


 九王沢さんはスマホのワンセグをつけてみせた。なんと臨時ニュースになっていた。


 広域暴力団の幹部が逮捕されたと同時に、証拠を押収するべく謙三の会社と征之助の設計事務所、相次いで家宅捜索が入ったのである。

 もはや兄弟げんかどころではない。



「「とっ、東京に帰してくれッ!!」」


 二人は九王沢さんたちの推理も最後まで聞かず、一目散に東京に帰ったのである。


「お二人とも、権利放棄とみなします」

 児玉さんが言った。


 そうだ、弁護士が到着する前に帰った人は、涼花の後見人にはなれないのである。と、なると残るは一人だが。


「冗談じゃねえッ!冗談じゃねえぞッ!おれは帰らねえッ!おれは絶ッ対に帰らないからなアッ!」


 こうなるともはや、意地の世界である。涼花が自分を絶対に択ぶはずない、とか、そう言うことは度外視のようだ。


「はい、一成さんにはまだお話があります。いなくなってもらっては、困ります」

 そこで九王沢さんは、残る謎を口にした。

「あの日の乃木さんのことです」



 それは、靜子が死んだ日の乃木のことだ。乃木は午前十時過ぎに、涼花の後見人候補として意気揚々と靜子を訪ねたが、靜子と児玉さんに応じて追い返されたとされる。


 それから自死を装った靜子が発見されたのは正午過ぎ、しかしそれよりおよそ一時間前に乃木は交通事故を起こして警察に確保され、事件とは無関係だった、と言うことになっている。


「まずわたしがこのお話をうかがって疑問に思ったのは、香名子さんをはじめ乃木さんが現れたのを目撃した人間はいても、引き揚げていった姿を見た人間は一人もいなかった、と言うことです。乃木さんは本当に帰ったのでしょうか。そして本当に靜子さんを脅迫にやって来たのでしょうか?これが事件を解く一つの糸口になりました」


 と、言うと九王沢さんは、一枚のレシートを取り出した。あ、あれ。涼花のグラビアが掲載された少年誌を買ったと言う、書店のレシートじゃないか。


「これを買ってきたのは、乃木さんですね?」

 ずばり、九王沢さんは訊いた。


 児玉さんは果たして、何も言わず、だがはっきりと頷いてみせた。


「え…お嬢さま、でもどうして、そんなことが?」

 と、尋ねたのは涼花だ。

「レシートの購入日時の記録です。少年誌はコンビニでも扱っていますし、駅の売店などでは早くから買うことが出来ますが、これは書店のレシートです。あの時間、靜子さんの家にいた誰もが発売当日に書店で買うことは出来ないのです」


 本好きの九王沢さんは、ならではの推理を展開する。


「なぜなら通常、書店の営業は午前十時からなのです。しかしこのレンタルビデオ店が併設されている本屋さんの営業時間だけは、午前九時からになっています。恐らく都内からでもこちらへ向かう人間にのみ、購入可能だった状況でしょう。


 少年誌はともかく一緒に買った画集などは、オンラインを除けば書店でないと中々手に入るものではありません。つまり乃木さんはこれを、靜子さんへのお土産に買ってきたんです。しかし、考えてみてください。これから恫喝どうかつをしようと言う人間が、わざわざお土産を買うでしょうか。わたしは、考えにくいと思います」


「…さすがはお嬢さまです」


 児玉さんは何も反論しなかった。ただ観念した、と言う風に頭を垂れた。


「あの日、あなたたちは自ら、乃木さんを呼び出しましたね…?」

 児玉さんは強く、頷いた。


 ただの一度、ではあったが、誰の目にも深く、はっきりと。


「それは何のためですか?」

復讐ふくしゅうです」

 きっぱりと、児玉さんは言い切った。

「そして、清算でもありました。すべてが、靜子の人生一つ、その終わりであがなえるだけの」



「乃木を殺して、自分も死ぬ」

 一時は、靜子はそこまでの覚悟を決めていた、と言う。


 乃木がいる限り、涼花の芸能人としての人生は、一生、乃木の存在に左右されることになる。曲がりなりにも乃木を、涼花の父親として択んでしまったのは、自分だ。


 人生の終局に際して靜子は、まずは乃木と刺し違える覚悟さえ、思いきわめていたのだと言う。



「だめよ」

 身を賭してそれを、思い留めさせたのは、常に児玉さんであったと言う。


 余命を宣告され、自暴自棄になった靜子を、児玉さんは根気よく説得し続けた。


 いくら涼花のためとは言え、乃木を殺しては本末転倒である。


 徹底してマスコミへのリークを防いでいるとは言え、かねてよりの曰くつきの夫婦に殺人が起きれば大スキャンダルである。


 マスコミが群がれば、それこそ涼花の芸能人生が終わる。



「乃木に自分の罪の重さを思い知らせる。その考えは、悪くないと思う。だから」


 児玉さんは、すでに後が無くなった靜子を説得するうち、乃木自身への復讐に想いが至るようになったと言う。


「ただ殺すより、思い知らせる方法がある」

 提案の元は、児玉さんだった。



「乃木に、靜子を殺させるんです」


 靜子を説得したときの口調のまま、児玉さんは言った。


「そう仕組むしかなかった。乃木を二度と、涼花の人生に関わらせないためには」


(そうか)

 児玉さんの独白を聞いて、僕は思わず息を呑んだ。


 つまりだ。

 靜子の『死んだふり』は、元々は乃木に見せるためだったのである。


「刺された靜子さんがフリーダ・カーロの『ちょっとした刺し傷』のポーズをとっていたと知ったとき、真っ先に思ったことはやはり、それは最も『誰に見せるためのモチーフ』であったかと言うことです。フリーダはあの絵を、妹のクリスティーナと関係を持ったディエゴへ、痛烈な皮肉を加えるために描きました」



 フリーダは何より、あの絵で主張する。

「あなたにとっては『ちょっとした刺し傷』に過ぎないかも知れない」

 だがそれは、自分を死体にし、ベッドが血に塗れるほどの『致命傷』であったのだと。


 靜子にとってはそれが、乃木への、自分の人生を懸けた一世一代の怒りと糾弾の表現であったのだと言うことだ。



「すうちゃんの後見人には、順当な線で言えば確かに、実の父親である乃木さんが第一等の権利を有しています。靜子さんさえそれを赦したのなら、乃木さんはそれは上機嫌でここへやってきたことでしょう」


 果たして十時過ぎ、乃木は意気揚々と靜子を訪ねた。


 九王沢さんによればその時点で、乃木はスタンガンなどで身体の自由を奪われ、靜子の自室のどこかへ、拘束されていたのだろう、と言う。


「やがて様子を見に、香名子さんがやってきます。確かこのとき靜子さんと児玉さんは、乃木さんは帰った、と話したはずです」


 恐らくは人目につかないバスルームなどに、乃木は監禁されていたのだろう。


 児玉さんの説明で香名子さんはてっきり、乃木はこそこそ裏口から逃げかえったのだろう、と思い込んだ。


「誰も自室に入って来ないよう手配した靜子さんは、児玉さんと手分けをして準備を整えました。まず乃木さんが帰ったように見せるため、児玉さんが彼の車を人目につかない場所へ移動しました。その間に靜子さんが乃木さんが目覚める前に、前後不覚になるような処置を施したのです」


 乃木はこの後、車で自損事故を起こすが、前後不覚に泥酔していたのだそうな。


 だがこのとき、靜子の部屋で泥酔するまで飲んでいたのなら、必ず人目についただろうと言うのだ。


「考えられる手段は、アルコールを注射した、と言うことです。人間のアルコール致死量は体重一キログラムに対して0.02ミリグラムと言われています。乃木さんの体重が約70キロとするなら致死量はたったの1.4ミリグラム、つまりは1ミリグラムにも満たないアルコールを静脈注射すれば、乃木さんは何時間もお酒を過ごしたように泥酔する、と言うことです」



 いつの間にかべろべろに酔わされていた乃木は、靜子の刺殺体を見せられた。児玉さんが介抱をするふりをして、その手に靜子の血を塗りたくったのだ。


「とにかく早く、手を洗って」


 必死で乃木は、靜子の血を洗い流しただろう。児玉さんはその間に、泥酔した乃木が、靜子に暴力を振るった末、家宝の日本刀で刺殺したのだ、とまるで見てきたように言う。


 アルコールで意識の濁った乃木は、一も二もなく信じただろう。今まで酔って、靜子にさんざ暴力振るってきたのである。


(ついに殺してしまった)


 そう思っても無理はない。だがそれこそが、靜子と児玉さんの狙いだったのだ。



「靜子は生い先短いわ。だから、許してあげて、と言ってた」

 児玉さんは靜子の遺言に従うふりをして、乃木の逃走を手助けする。


 だがその際、

「忘れないで。これでここから逃げきったら、わたしたちには二度と近づかないこと。たとえ靜子が赦しても、わたしはあなたを許していない」


 そのときの児玉さんの言う剣幕は、決して演技なんかではなかったろう。


「もし再び、あなたが脅迫に現われるようなら、刑務所に行くことになる」

 と児玉さんは、殺人の証拠として撮った画像を見せて脅した。


 靜子を殺したと思い込んでいる乃木は、顔面蒼白である。


「わっ、分かった。…もう絶対に、あんたの前には姿を現さない」

 余程あわてたのだろう。それから十五分もしないうちに、乃木は事故を起こしてしまった。



「後はわたしがさっき、説明した通りです。靜子さんは致命傷のふりを装い、児玉さんは時間を図って香名子さんと現場の惨状を発見させる。後はストレッチャーに載って『密室』から逃走するだけで、靜子さんの目論見は成功するはずでした」



「なっ、何やってるの靜子!」


 怪しまれないように医師たちと応急処置をしているふりをしていると、むっくりと靜子が起き上がったと言う。お腹に日本刀が刺さったままだ。


「忘れ物!」

 児玉さんに見張りをさせて靜子は一目散に、自室に戻ったらしい。


「じゃああの時、部屋にいたのは…」

 涼花は思わず息を呑んだ。

「靜子さんです。土壇場で靜子さんは、ここから持って行かなくてはならないものを思い出したのです。それを部屋に探しに戻っている最中に、裏手から忍んできたすうちゃんと香名子さん、二人に発見されそうになったんです」


「忘れ物ってなんだったんでしょう…?」

 香名子さんも呆気にとられたようだった。


 あれほど綿密に計画を立てた割には靜子、大胆と言うか、際どすぎることをするものだ。九王沢さんの言う通り、この二人がもうちょっとで真相を暴くところだったんじゃないか。


「雑誌よ」

 重たいため息をついて、児玉さんが言った。そうか。それはその日発売するはずだった、涼花のグラビアが掲載された少年誌だったと言う。


「後でわたしが持ってくって言っても、全然聞かなかったわ」



 靜子は涼花の写真集をずっと、楽しみにしていた。発売が延期されたのでその日は、涼花が今日発売の少年誌のグラビアを持参する予定だったのだ。


 だがそれを先に、乃木が買って持ってきた。児玉さんは乃木を気絶させた後、お土産の袋は乱暴にどこかに突っ込んでおいたのだが、その中に涼花のグラビアが載った雑誌が入っているのを、靜子は目ざとく見覚えていたのだ。


「もうこれであの子に、会えなくなっちゃったんだから。これくらいいいでしょう?」


 児玉さんが激怒する中、血まみれの指で靜子は、嬉しそうに涼花が載っているページをはぐったと言う。



「病院を逃走した靜子さんは、それからタッチの差で出国、契約していたスイスの安楽死機関へ向かいました。後のすべてを児玉さんに託して」


「お母さん…」


 涼花は震える指で、首にかけられたお守りを撫でた。大粒の涙がその頬を伝って、そこにぼたり、ぼたりと降りかかってくる。


 かくて、真相は解明された。だがその涼花の様子を見ても分かる。真実は決して、涼花を幸福にしたりはしなかったのだ。



「涼花、分かって欲しいとは言わないわ。これは靜子とわたしが決めたこと。そしてお嬢さまにあえて真相を公表して頂いたのは、わたしたちがするべきことをやり遂げるためだった。すべては涼花のために」

「頼んでないッ!」

 涼花の絶叫が、児玉さんの声を掻き消した。

「わたし頼んでないよッ!…独りにしてほしいなんて、頼んでないッ!だったら、遺産なんか要らないッ!なのにどうして、いつも勝手に決めるのッ!いつもいつも、なんでわたしの気持ちを聞いてくれないのッ!?…わたしのため?いい加減にしてよッ!!勝手にいなくなって…わたしッ!ちゃんとさよならも…言えなかったッ…なのに…お母さんッ…お母さんッ!…うわあああああああああッ!」


 演技などで出せるはずがない。まさに全身から振り絞るように涼花は叫ぶと、その場に崩れ落ちた。悲痛な、あまりにおおきな慟哭どうこくだった。



 この一年、十六歳の彼女は精一杯、悲惨な母親の死と向き合ってきたのだ。


 今、その真相を知ったところで、それが涼花のためだったと言われたところで、最愛の母親の今わの際まで添えなかった涼花の悲しみが癒えるはずがない。それにしても、なんてかわいそうなんだ。



「すうちゃんが安全に六園家の主要財産を継ぐための『計画』は、今日ここで終わりです。わたしは父と、その『計画』に協力することを引き換えに、靜子さんの遺志を、すうちゃんにきちんと伝えた方がいい、そのように児玉さんには説得しました。恐らくそれが一番、すうちゃんのためになるはずだと思い、決意しました」


 九王沢さんも痛々しい表情だった。確かに涼花の悲しみの前では今や何を言っても、空虚にしか聞こえない。


「そろそろ、弁護士が到着すると思います。…涼花、ごめんなさい。後でこのことは、もっとゆっくり話をしましょう」


 児玉さんが手を差し伸べようとしたが、涼花はそこにへたり込んだまま、かたくなにかぶりを振り続ける。


 涼花にとっては今さら、財産の話も何もあったものではないが、実はここにもっと空気の読めない人間がいたのである。



「ゆっくり話されてたまるかッ!」

 すっかり存在を忘れていた、一成である。


 その安い恫喝どうかつを再び聞いたとき、僕たちはこの男に注目せざるを得ない状況になっていた。


 なんとその手に、白木の鞘の短刀を握っていたのである。仁侠映画によくある長ドスだ。


 どこに隠していたのか一成はそれを引き抜くと、泣きはらした涼花を無理やり抱え上げて、その頸に突きつけたのだった。


「お、おい」

「寄るなッ!うおいッ寄るんじゃねえよッ涼花ぶっ殺すぞッ!」

 一成は刃を振り回して、僕たちを遠ざけた。

「ふざけんじゃねえよお前らッ!ふっざけんなよッ!?さっきから聞いてりゃ、計画だの邪魔者だのッ!おれはお前らなんかに排除なんかされねえッ!されてたまるかよオッ!!」


 なんと言うことだ。


 まさに思わぬ波乱がここで、幕を開けたのだった。

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