第二話
夢の中で夢だと気付いた時、あなたなら何をしますか?夢の中で寝てみる、叫ぶ、窓ガラスを割ってみる、、、そう。夢の中は自由なのです。しかし、その自由な世界が、もし何者かに支配されているとしたらー?
『えーっとはじめまして。』
(こ、この声は…!)
『あ、はじめましてではなかったですね。』
「君は…一体…。」
『私の名前はセナ。前に一度、夢の中でお会いしましたよね。』
「ってことは、まさか…!」
周りには、こうちゃんと将太がいる。
「あ、あの、この人たちは…?」
『そうでした。お話ししていませんでしたね。彼らにも意識はあります。まあ、夢を
共有しているという事です。』
「夢を共有……」
『簡単に言えば、夢の中でも彼らと同じ空間にいるという事です。』
「ってことは、話かけても会話ができるのか?」
『はい。意識はありますから。』
「おーい、こうちゃーん、将太ー!」
「「大輝!?」」
「大輝、何やってんだよ!?これは俺の夢…まさか!」
「こうちゃんその通りだ。」
「で、ボクたちの前にいる女の人は誰?」
『こんにちは。』
「この声どっかで……!」
「お前あん時の!!」
『覚えていてくれて嬉しいです。』
「そりゃ忘れるわけ無いだろ!」
「あ、そうだ。あの時何でボクたちに『助けて』なんて言ったの?」
「あーそうそう。何で言ったんだ?」
『…………そうでしたね。実は、
私たちの村を、救って欲しいのです。』
「え?」
『ダメ……ですか?』
「いや、あの、まずその村ってのはどこにあるんだ?」
『そうでした。それではっ!!』
「な・・・・・・!」
その瞬間、周りにあった霧が晴れ、小さな村が現れた。
「す、すげーな・・・・」
『それではこちらへ。私の家に来てください。』
「あの、聞いてもいいか?」
『何でしょう?』
「俺、この村かなりいい村だと思うんだけど、、。どの家も立派だし、広い畑もあって、いい環境だし、、、」
『やはりそうですよね。』
「?」
『着きました。中で色々お話しします。』
『この村は、誰もが夢の中で夢だとわかった時に来ることができる村です。あなたたちのように集団で来ることはよくあるのですが、お互いが友達という関係であるというのは極めて珍しいですね。』
「待って、情報が多すぎて処理出来ない。つまり、俺らは夢の中で夢だと気付いたから来れたってことだよな?」
『そういう事です。』
「で、言ってた『この村を救ってくれ』ってなんなんだ?」
『・・・・実は、』
「何だ?」
『この村の村長、アマを、この村から追放してほしいのです。』
「えーっと、何でそう思うんだ?」
『アマは、この村の村長、つまり、一番地位が上の存在です。』
「そうだな。」
『アマは書類に書かれている事しか信じず、結果が出なければ、その人がどれだけ努力したかなど、気にしないのです。』
「あーいるよねーたまにそういう人ー」
『そして、あまりにも結果が悪い人はー』
「悪い人はー?」
『どんな理由であろうと、連れて行かれ、処刑されます。』
「そ、それは酷いな、、」
『今までに大体150人くらい、処刑されました。』
「ひゃ、150………」
「ちょっと待って、さっきさ、『集団で来ることはよくある』って言ってたよな。」
『はい、でも、その方たちは皆、追放出来ませんでした。中には、お願いさえ聞いてもらえない人もいました。あの、やって頂けないでしょうか…?』
「うーん、ボクは・・・」
「おい、大輝。これ、もしかしたら俺たち殺されるかも……」
「俺、やるよ!」
「お、お前!」
「だって、人が困ってるんだろ、やるに決まってんじゃん。ま、俺がやるなら、お前らもやらないっていう選択肢は無いよな?」
「う、うん。」
「やるだけやってみるか〜」
「そう来なくっちゃ!!って事で、やりまーす!!!!」
『ほ、本当ですか!?』
「あったりめーだろ!」
『あ、ありがとうございます!』
『おい、お前!こっちにこい!』
『しょ、処刑はやめてください……』
『うるさい!そういうのも全部アマ様が決めるんだ!』
(おいおいマジかよ…)
「俺、ちょっと行ってくるわ。」
「正気か?大輝!?」
「俺がお前に嘘ついたことあるか?」
「いや、そういう問題じゃ…っておい!」
「おいお前ら!何やってんだ!!そいつを離してやれ」
『き、貴様!何者だ!!』
「あ?聞こえねーのか?離せっつってんだろーが!!!!」
『何!?貴様、やる気か!?』
「おい大輝バカ!!!何やってんだーー………!」
ザ・ワールド・イン・ア・ドリーム @S-HAL
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