ザ・ワールド・イン・ア・ドリーム
@S-HAL
第一話
夢の中で夢だと気付いた時、あなたは何をしますか?川に飛び込む、物を壊す、中には、屋上から飛び降りてみたりする人もいるでしょう。そうです。夢の中では「何でも出来る」のです。何をしても罪に問われないし、何をしても実際は誰も傷つかない。そんな「何でも出来る」世界で、もし、自由ではなくなってしまったとしたらー?
「えー、ここは、ここを因数分解して、その後にこうして、、、」
(つまらん・・・)
俺の名前は桜木大輝。普通の高校生。今は数学の授業中。俺が一番不得意な教科だ。
(あーなんか眠気が、、)
zzz…
「ん?」
気付いたら、教室だった。どうやら寝てしまったらしい。
周りにはクラスメイトが喋ってるし、今は休み時間のようだ。
(授業中に寝るとか何ヶ月ぶりだよ、、)
「おい、寝てたら起こしてくれy…」
ん?おかしい。何かがおかしい。
なぜなら、黒板の日付が4月2日だったのだから。
(何だ、この違和感。なんか、現実じゃないような……
まさか!これ、夢か!?)
いやいや絶対そうだって。ってことは何でも出来るんだよな。うーん何しよう、まず最初は、、、
「あのよ、大輝。」
「おー!こうちゃん!」
彼の名前は五十嵐孝樹。通称こうちゃん。俺の親友だ。
(こうちゃんって夢の中で何話すんだろう。)
「ん?どーした?」
「あのよ、絶対理解できないと思うんだが、
これ、夢だよな。」
え?何言ってんだ?夢の中で向こうから夢だと言ってくることある?
「実はボクもなんだ。これ、夢の中だよね?」
彼は坂上将太。こいつも俺の親友だ。
って、マジでこいつら何言ってんだ?これは俺の夢の中のはずだけど、、、
「ちょっと、お前らさっきから何言ってんの?たしかにここは夢の中だけど、俺の夢の中であって、お前らの夢の中じゃ………!!」
(なんだ!?なんか、目の前がもやもやして・・・)
『………………い。』
「え?」
うっすらと人影が見える。
『……………さい。』
「え?ちょ、もう一度言ってもらっても・・・」
『…………ださい!』
(はぁぁぁぁぁぁ!?!?ちょっと!!初対面でそれは失礼すぎるでしょ!)
『助けてください!』
「何っ!?!?!?!?」
『・・・・・・』
「ちょっと!いるんですよね!君は一体…」
「!!!!」
(え!?)
「おい大輝、授業中に寝るとか珍しいな。」
もう数学の授業は終わり、今は休み時間らしい。
(いや、俺は確かに聞いた。知らない人から『助けてください』という言葉を。)
「それにしても、すごいな、大輝が寝た後、孝樹と将太も同時に寝るとか、親友って体内も一緒なのか?」
「え?そうなの?」
「そうなんだよ、お前が寝た瞬間、あいつらも寝始めて、そして、お前が起きた時、あいつらも起きたって事だ。すげーな。怖いわ。」
(俺だって怖いわ。)
「あのよ、大輝。」
「お、こうちゃん、将太、どうした?」
「俺、今変な夢見たんだ。」
「え!ボクもなんだ。」
嫌な感じが脳裏に浮かぶ。まさか、そんなことって、、、
「夢の中にお前らが出てきて、そこで夢の中だとは思えない会話をして、その後に知らない人から『助けて』って言われたんだ。」
おいおい嘘だろ。俺のとドンピシャだ。
「実は俺も同じ…」
「ボクもなんだ。」
マジ、かよ、
「ってことは、ボクたちは夢の中で会ってたってこと?」
「そうだな」
「そういう事になってしまうな。」
「・・・・」
「不思議な事が起きてるが俺から一ついいか?」
「どーした?こうちゃん。」
「あの最後に出てきたあの女は誰だ?誰かの知り合いか?」
「いーや。知り合いでも何でもない。」
「ボクもあんな人見たことない」
キーンコーンカーンコーン…
その夜、
「いやー今日も疲れた〜今日は良く寝れそう〜どんな夢見るんだろ〜
ん?夢?…………
いや、まさか、、、」
「ここは…」
『えーっとはじめまして。』
(こ、この声は…!)
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