少しの変化
ーーとあるそこそこ高級な喫茶店
穏やクラシック音楽が流れる店内、全体的に華美な装飾はなく、上品な印象を受ける奥のボックス席に座りながら、俺は目の前にある報告書類を読み終えて、深く溜め息をついた。
「いかがなさいますか?」
報告書を持ってきてくれたやり手の紺色のスーツ姿の男性に、俺は軽く頭を下げてこう告げた。
「内々に警察の通報は出来ますか?」
「ええ、大丈夫です。貴方のお父様から、お話もありましたので」
「お願いします」
「いえ、私共としても知った以上、これを放置する訳にはまいりませんので」
俺は「お願いします」と頭を下げ、紺色のスーツ姿の男性は席から立ち上がる。
「あ、最後に」
「はい?」
「盗撮の件はどうでしたか?」
「ああ、今のところ、あの件は彼は関わっていないようですね。……それも今後分かるかもしれませんが」
「そうですか……」
俺はどうしたもなかと、頭を悩ませた。
☆★☆★
体操服。
一昔前はブルマという、神器を女子達は身に付けていた。
俺はおっぱい派だが、お尻派は「ブルマ姿でその場にしゃがみこんでもらい、下からブルマに包まれたお尻を崇めたい!!」と魂の叫びを上げるほどの衣装だ。
まあ、今はハーフパンツだが。
……個人的にはハーフパンツも中々のエロスがある気がするけど、今はおいておく。
「まあ、分かったのはこれくらいだけど、相葉」
「何?」
うっすらと汗をかき、相変わらずポニーテールとうなじがセクシーだ。
相葉は優依ほど胸の大きさを隠していないのでやはり胸が目立つ。
後、相葉は意外と尻も大きいな。
「夏休み近いけど、倉林先輩のことは少し様子みた方が良いかもしれない」
四時限目の体育後終わり、俺は相葉に声をかけて、体育館の外にある水道の前で相葉に頼まれていた趣味や好みを教えた。
「どういうこと?」
「そのままの意味だ。悪い噂がある」
「……噂は噂でしょう?」
「まあ、警告はしたぞ」
俺は真面目な顔をしながら、相葉を全体で捉えながら、相葉の柔らかそうなエロっぱいを凝視しないように必死で視線をコントロールする。
おっぱいの固さは優依がやや固めなら、相葉のおっぱいはやや柔らかいだろう!
何で分かるかって? おっぱい好きなら、相葉のおっぱいを見れば分かる!!
でも、彼女いるのでその場で相葉に背を向けてその場を後にする。
★☆★☆
人は誰でも隠し事を持っている。
そう言う意味では、倉林先輩は運がなかった。プロの探偵を使って自分が調べられるとは思わなかっただろうな。
「盗撮の犯人はやっぱり分からず仕舞いか」
「そうみたい」
放課後の文芸部の部室で、俺は優依と二人きりで何時ものように過ごしている。
今日は優依の読んでいるラノベの新刊の発売日なので、優依はソファではなくて、パイプ椅子に座りながら、ラノベの新刊を読んでいる。
新刊を読んでいるところを邪魔されるのは俺も嫌なので、今日は大人しくスマホゲームでデイリーミッションを消化する。
「「…………」」
お互いに無言で、ただ時間だけが過ぎていく。
しばらくして、遊んでいるスマホゲームのデイリーミッションを終えた俺がゲームを終了して、ジュースでも買ってこようと優依を見ると、優依はまだラノベを読んでいる。
俺は優依に声をかけるか少し考えて、止めておくことにした。
紅茶でも奢ろう。
そう思って静に部室を出て、自販機のある学食まで移動する。
俺はこの時、近道を選んだ。上履きだったが、面倒くさいから近道をしたのだが。
「前から気になっていたんだよ。相葉のこと」
「え、で、でも」
相葉が茶髪のイケメンに校舎裏で壁ドンされてるのを目撃した。
お前等部活はどうした?
「だからさ、今度デートしてみない?」
「え?」
「実はさ、卒業した先輩から映画のチケットを貰ったんだよ」
「そ、そうなんですか?」
「うん、俺彼女とか居ないし、良かったらどう?」
「は、はい! いきます!!」
相葉は嬉しそうに笑い、倉林先輩はその場を去った。
「…………」
俺はそれを微妙な気持ちで見守った。
浮いた話を聞いたことの無い相葉のもしかしたら初恋。
「なるようになるかな」
それから二日後、相葉が倉林先輩と出掛け前日、倉林先輩は学校を休んだ。
教師は急な親の仕事の都合で引っ越しの準備かある。と説明したらしいが、警察に捕まったと言う噂は直ぐに広まり、それを聞いた相葉は目に見えて落ち込んでいた。
「知っていたの?」
「噂はな」
「そう……」
放課後、相葉から連絡が来て裏庭のベンチに相葉が座り。俺は相葉と正面に立っている。
「先輩は」
「うん」
「お酒と薬で、レイプしていたんだって、卒業した先輩達と」
「らしいな」
エロげみたいな話だが、探せば意外とある話だ。
まさか、自分の学校の先輩がやっているとは思わなかったが。まあ、男子の間であの先輩の悪い噂は多かった。
相葉との会話で、盗撮の関係者では? と疑うくらいには。
「倉林先輩は」
「うん」
「なんで、あんなことしたのかな? 先輩の性格、猫被りしてたなら別に犯罪しなくても如何わしいこと出来たと思う」
自分が獲物の一人になっていたこともかんけいしているのだろう。
怒りと悲しみが混じった表情の相葉。
まあ、イケメンで外面良いからやろうと思えば可能だっただろう。
けど、仲間を作ってやらかしたのだ。集団で嬲るのが趣味なんだろう。
自分達が上の存在。優越感。支配欲を満たしたかったのかもしれないな。
「さあな、それは本人にしか分からないな」
俺の言葉に相葉は俯きながら言った。
「……倉林先輩ね」
「うん」
「話すようになって、チラチラ私の胸を見てたの。私は昔から胸をからかわれて、本当に嫌だった。胸が大きいと同性にもやっかみ受けるし。けど、好きな人になら見られてもいいかなって、それに先輩はガサツな私を女の子として優しくしてくれてさ……」
気まずいな! 偶然とはいえ、初恋を潰したの俺だからな。だから「ああ」と相槌を打つ。
それから十分くらい、相葉は愚痴をこぼした。
「ありがとう最後まで聞いてくれて」
「気にするな」
「ほんと、ありがとう。かなりすっきりした」
「そう言えば、クラスの奴等や部活の奴等には倉林先輩とのことは?」
「まあ、片想いなのは知られてるね。……遊びに誘われたのは言ってない」
今回のこと、被害者になりかけたことを言いふらすわけにもいかないしな。
「あー、何でこうなるんだろう。いいかなって思う人は、彼女いたするし」
「うーん、ちなみにどんな男が良いんだ?」
「好み?」
「うん、倉林みたいなイケメン?」
「まあ、顔は良い方がいいけど」
考える相葉。消化不良で失恋だ。立ち直るには少し時間が掛かるかもな。
「相葉なら彼氏がほしいなら、比較的簡単には作れそうな気がするけどな」
「え、なんで? 私、ガサツで口煩いって、男子から言われてるわよ」
「まあ、それは事実だけど」
「事実なんだ……」
「けど、それを差し引いても人気はあるぞ。あまり言いたくはないが、相葉は胸が大きいし」
「やっぱり、先に胸なの!?」
「……もう少し自然に胸を隠す努力したらどうだ? 無防備過ぎるぞ」
「うっ、そうなの?」
「ああ、そうだよ」
優依の努力を知っているから、余計に相葉はなにもしていないように見える。
まあ、積極的人の胸を凝視する方も悪いが、デカイ胸にまったく無頓着なのも問題だと思うぞ。
「それと相葉の結構魅力があると思うぞ」
「魅力?」
俺の言葉に難しい表情をする。
まあ、相葉は比較的お洒落とかしない。だから、相葉は自分が素材が良いことに気づかないのだろう。
後は女の子の視点の良い点と男の子の視点の良い点はやはり違う。
フェチとエロだ。いや、全ての男がそう言う訳ではないが。
「例えば髪型」
「髪型?」
「何時もポニーテールだろ?」
「う、うん」
「しっかりと結ぶ場所が高めのポニーテール。うなじが大人びた魅力になるし、運動部で汗を流すスポーツ少女と言うブランドが付加価値が付いてるぞ」
「えぇ……」
ちょっと引いた声を出す相葉。
「まあ、全員がそう言うことを考えているわけではないけど、おっぱいランキングでは健康的で良いって言う奴は多かったぞ。他のクラス奴等もな」
「健康的……?」
「そうだ、健康的な肉付きの良いスラリとした脚も人気だな」
「え……?」
困惑する相葉。無視して話を続ける。
「後、面倒見も良いだろ? だから、勘違いしてる奴も多いから気を付けなよ」
「勘違いって」
「男は優しくされるコロッと、コイツ俺のこと好きじゃね?って、勘違いだな。何人か相葉とは仲が良い。とか言ってたから、気を付けろ」
「ちょっと待って、何それ。気があるようなこと私してないよ?!」
驚いて思わず両手で頭を抱える相葉。
「片想いが実らなかった。傷ついている今がチャンスだ! と、押せ押せくるかもね」
「……それは、本気で気をつけるわ」
疲れた表情で呟く相葉。
で、そろそろ部活にいかなくてはいけないので俺達は別れた。
それから数日経ち予、想していた通りに相葉の片想いのことは露見した。
で、失恋した相葉に、今ならとば! とアプローチする奴が出たのだが、事前の警告もあり。相葉はアプローチをさらっと受け流した。
顔か! 結局は顔なのか!? とアプローチかけた男子は泣いていた。
★☆★☆★
ーー睦月の自宅 自室
「はい、じゃあ、被害者達は訴えると? 分かりました。まあ、そうでしょうね。はい、ありがとうございます。あ、それと盗撮の一件は? まあ、強く否定ですか。証拠もないのですね? ははは、学校側も焦っているでしょうね。ええ、はい、分かりました」
俺はスマホの通話を切り。
溜め息をついた。
「盗撮犯は倉林先輩ではないか。まあ、この騒ぎだ。警察が動いていると噂が流れているし、大人しくしているだろう」
俺はそう考えて、身体を解す。
最近は優依がラノベの新刊と新しいシリーズにはまっていたから、ソフトなコミュニケーションだったから、そろそろ、ぎゅーっとしたコミュニケーションをしたいな。
けど、と俺はカレンダーを見る。
「六月下旬に入ったな」
部室も暑くなってきたし、暑さ対策を考えるかな。
水着とか夏用のマットとか。
小型冷風機とか? ああ、バイト代が……。
あ、でも、汗まみれの優依を抱き締めるのも悪くない?
うん、悪くないかも。
「よし、やるぞ!」
俺は気合いをいれて、準備を始めることにした。
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