※清水優依 付き合うまで


私、清水優依は小学生の時から、変質者に狙われやすかった。


大学生くらいのフルフェイスのヘルメットを被った男に「ズボン汚れてるよ」と言われながら尻を揉みしだかれたり、中学生の時には中年の男に後ろから抱きつかれて身体を撫で回されたこともある。


直ぐに警報ブザーで難を逃れたけど。私にとって男というのは、文字通り危険生物だった。


それは今も変わってはいない。高校生になりクラスメイトの男子生徒は、性的な話を平気でする。小学生の時のようなまだ理解していない下ネタではない。本当に性的に意味を理解している下ネタ。


そういう男子生徒には、嫌悪感しかない。


じゃあ、何故私は睦月さんと恋人同士になれたのか。


切っ掛けは偶然、睦月さんだけ他の男子生徒とは、少し違うことに気付いたからだ。


文芸部の所属してお互いに顔を合わせて三週間くらい経って、私は睦月さんが私に興味があることは理解していた。


ただ、私の胸を睦月さんが割りとガン見していたので、嫌悪感も持ち合わせていた。


実は私の隠していた胸の大きさを睦月さんが見破っていることに気付いて、私は内心かなり焦っていた。


もしかしたら、校内でも襲われるのではないか? そんな考えが浮かんで、私は防犯ブザーや痴漢撃退スプレーなどを用意して警戒していたのだが、ある時ソファに座っている睦月さんを見て、違和感を覚えた。けれどその違和感が何なのか、その時は分からなかった。


数日後、帰りの電車の車内で、私の迎え側に座った中年のサラリーマンが、座って膝の上に乗せたスクールバックが原因で私の胸が強調され、中年のサラリーマンが私の胸をガン見して、股間を勃起していたのだ。


私は気持ち悪いと思い、席を移動した。


勃起、生理現象だけど、勘弁してほしい。不意に何らかの原因で男子生徒が勃起しいるのは女子生徒達は知っている。意外とアレは目立つのだ。制服のズボンやジャージは。けど、皆見て見ぬふりをしてあげている。指摘することではない。


私はそこで、ようやく気付いた。


睦月さんは思い出す限りは私の胸をガン見しても、勃起していなかった。


いやらしい目だったけど、もしかして睦月さん、性的な目で私を見ていない?



気になった私は数日、睦月さんを観察した。


睦月さんは、私をちらちらと見ていた。


いやらしい目で見ているのは確実だった。

けど、勃起していなかった。何故? とは思った。


でも、それが分かると、私の心の中から徐々に嫌悪感が消えていった。


胸をじろじろ見られるのは良い気分ではない。ないけど。嫌悪感が無くなっていくと、次は余裕を持って睦月さんを観察出来た。


睦月さんが私を見ている目はいやらしいけど、その目は睦月さんがたまにスマホでお気に入りの猫動画見る時の愛情も混じっていることに私は気付いた。


え、私の胸は猫と似たようなモノなの?


物凄く困惑した。


私は悩んだが試してみることにした。


スティク状の小型スタンガンを常に制服のポケットに忍ばせて、睦月さんとの距離を詰めていった。


初めて男の子にこういうアプローチ的なことをしたので、私は睦月さんと物理的に距離を詰めていく度に最初は襲われるのでは? という恐怖心で心臓がドキドキしていた。


けれど徐々に、睦月さんの誠実さ……というか、隠してはいるけど、ストレートに私が好きだっていう、言動に徐々に惹かれて、ドキドキは恋愛の意味に変わっていった。


自分でも少しチョロいと思う。


でも、睦月さんのオタクだけど、身綺麗なところとか、運動部ほどではないけど身体を鍛えてうっすらと腹筋が割れていたり、細いように見えて身体はがっしりして、男の子としての魅力を知った。


だから、睦月さんに告白されたとき、素直に嬉しかった。


今までオタクで、不細工だと言われ続けて、いじめられて、真っ直ぐに好意を向けられたことはなかった。


それもあって、私は真っ直ぐに好きだという、睦月さんの告白に「はい」と答え。


喜んだ睦月さんに強く抱き締められて、私は胸が熱くなった。


こうして、私と睦月さんは恋人同士になった。


ただ、あんなにおっぱいが好きだとは思わなかった。


でも、普段とおっぱいに甘えている表情を見て、私はついつい彼氏を甘やかしてしまうのだった。


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