第3話

「シャワーもタオルもありがとうございましゅ……たしゅかりまちた」


見られているのが恥ずかしくて、とりあえず胸とちんちんをタオルで隠しながらお礼を言う。


「全然いいよぉ、身体温まったでしょ?」


人懐っこい笑みを浮かべて、柔らかい口調で言ってくれるけど、姿勢はそのまま。


「はい、おかげしゃまで」


相変わらず見られたままだから早く身体を拭かなきゃと手を動かしているのに、なぜか拭いても拭いても水滴が身体に着いてしまう。



ご主人様に飼われてから3年……なにもかもやってもらっていたから、とうとう自分自身の身体さえ自分で拭けないのかと愕然とした。

「ダメだぁね、なは……頭から拭かないとぉ」


君はいつの間にかぼくの目の前に来て、ふかふかなタオルで頭を包み、ガシガシと拭いてくれた。


驚いたぼくが顔を上げる。



綺麗に光る瞳が淀んだぼくちんの瞳と重なり、胸が高鳴った。



「なに見てんのぉ? 」


その問いに答える前に唇を塞がれた。


「ん、んンッ!?」


離してと言おうとして口を少し開けたら、舌を入れられて歯列を撫でられる。


流れ込んでくる唾液が舌でかき混ぜられ、ぼくの舌とも絡まっていくから一つになりそうになる。


君がぼくの口の中を蹂躙しながらぼくのタオルを抜き取り、今度は身体を拭いていくからピクピクと身体が反応する。


平たい胸だけど、胸の形をなぞるように円を描いて拭き、お腹も楕円形に拭く。


背中は引っ掻くように拭くたびにクチュッと音を立てるから変な気持ちになる。



 最後にちんちんをタオル越しに包まれ、2回しごかれると離された。


「あっ、ハッ、アッあ……アっ」


いきなり起きた出来事が理解出来ないのと酸素不足で息が上がったので、へたりと座り込むぼくちん。


「甘い、より……も痛いほう、がいい」


息を整えながら、途切れ途切れに言うと、君はふんっと鼻を鳴らした。


「あが甘い? そんな冗談言ってないで早く着替えてぇ」


ふふふと不敵に笑う君の声を聞いて、置いてあった着替えに触れる。


ぼくちんのサイズくらいのワイシャツはまだわかるけど、他にあったのは小豆色のTバックと水色のゾウさんパンツだった。


「ごめんなぁ、あが小さいからズボンはなかったのよぉ……それがイヤならワイシャツのみってのもアリだけど」


ミツが着てたやつ、下着まで洗っちゃったしなぁ……なんて付け加えて、君は意地悪な顔をする。


「ひとまずそれで勘弁して。髪乾かしてあげるから早くしてなぁ」


籐で編んだ椅子を洗面所の前に置き、パンパンと叩いた君を見たら、ぼくは覚悟を決めて小豆色のTバックを手に取った。



 「お願いしましゅ……あの、名前」


今さらだけど、君の名前を聞いてみる。


「あ? ああ、ヒサメ」


「ヒサメしゃん、でしゅか」


珍しい名前で素敵でしゅねと付け加えて置いてある椅子に座ると、クスクスと笑う君。


「たぶん、ミツの方が年上だからヒサメでいいよぉ」


「えっ、ぼくちん……28でしゅ」


「あ、26」

天使だった君……ヒサメがぼくより年下だったことより、成人だったことにびっくりした。


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